ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし

ノベルバユーザー173744

14……ティーパーティー

 何回か踊っていたものの、リティは体力が足りないのと、ハイヒールだと履き慣れていない為によろけることが多い。

 最後には抱き上げて、ソファに座らせると隣に座る。

「す、すみません。お兄様。まだ練習しなきゃ……」
「と言うか、リティは病み上がりだから無理はダメだよ。ねぇ、リナ、レナ?」
「はい」
「リティの靴は何センチの高さ?」
「11センチですわ。お嬢様は小柄ですので……」

 リティを見つめて考え込んだティフィは、

「どうせ、ドレスだから見えないと思うから、ヒールじゃなくてサンダルで、つま先からかかとまで靴底のあるタイプに変更しない?普通、その高さも怖い筈だし、その上ダンスはかなりの苦行だよ」
「ですが、陛下や妃殿下にも無礼に……」
「と言うか、見えないから大丈夫。それに転んで怪我をしたらその方が心配です。私は」
「……」

双子の侍女は、幼い主人を見つめる。
 クッキーをちまちま食べている様は、ハムスターのようである。
 怪我をされては困る……。

「かしこまりました。奥方様や旦那様に相談致します」
「私も言っておくよ。それに、サンダルに見えないように飾りをつけるのもいいかもね。リティ?美味しい?」

 口の中にあるクッキーをモグモグと食べ終えたリティは、嬉しそうに笑う。

「はい。美味しいです。ティフィお兄様も食べられますか?」
「そうだね。どれが美味しいかな?」
「えっと、これがゴマ入りのクッキーと、チョコチップと、チェナベリージャムのです。あ、紅茶とえっと、抹茶と言うのが珍しいです」
「あぁ、抹茶はグランディアの特産品だよ。紅茶とか緑茶と同じお茶の葉をすり潰すんだよ。そうするとお茶の成分が全部口にできるでしょ?すり潰したお茶の粉を熱いお湯に入れて、よく混ぜて飲むこともあるんだ」
「少し苦いです」
「その苦味が美味しいんだよ。あぁ、そうだ。シェールドから送ってきて貰った抹茶アイスクリームを持ってきたんだよ」

 その言葉に、扉がノックされ、

「失礼いたします。アイスクリームをお持ちいたしました」

 侍女が持ってきたのは、三種類のアイスののった器がある。

「殿下、そしてお嬢様どうぞ」
「緑色とピンク色、それに……」
「バニラにキャラメルを混ぜたものだよ。緑は抹茶、ピンクはベリーだね。食べてみて」
「は、はい」

 器とスプーンを手にして、緑色のをすくうと口に入れる。
 少し苦味はあるが、それ以上に深みとコクがあり、

「美味しいです!お兄様。凄く美味しいです」
「リティのその顔でよく分かるよ。じゃぁ、私も食べようかな」

 笑顔を返し、ティフィも自分の器からすくう。

「うん。美味しいね」
「お兄様、これを持ってきて下さったのですか?ありがとうございます」
「うん。これもだけど、父がね?リティに馬以外のペットを飼ってはどうかって」
「ペットですか?」
「そう。丁度、十六夜が生んだ子供が何頭かいてね?」

 パタパタとしっぽを振る。

「十六夜の子供を一頭贈ろうかなと。どんな子がいい?」
「ど、どんな子がいるんですか?」
「母親に似てる子と、父親に似てる子と、おばあちゃんの先祖返りの子もいるね」
「十六夜さんの旦那さん?」
「あれ?知らなかった?イザの旦那はミカだよ?」

 目を丸くする。

「ミカの奥さんですか!わぁぁ。十六夜さんに似たら美人で、ミカに似たらかっこいいですね」
「結構多いから、この家に三頭譲ることになってるから、おっとりした子を譲るね」
「わぁぁ。ありがとうございます。嬉しいです」
「明日にでも兄さんと叔父上に連れて帰って貰うからね。楽しみにしてて」
「はい。お兄様ありがとうございます。可愛がりますね」

 またダンスのレッスンをする約束をして、ティフィは帰っていったのだった。

「お兄様、優しいです」
「ですね」

 無表情の王太子だが、従姉妹になった少女にはかなり甘い。
 実際、甘いものはさほど好きではないのだが、アイスクリームは完食し、クッキーもゴマや穀物の混ざったものを口にしていた。

「それに、ミカの子供がお家に来るのです。お母様に相談して、お部屋に準備をしなくちゃですね」
「お嬢様は本当にお好きですね」
「リナ、レナ。だって可愛いですもの」



 ラルディーン家はお嬢様によって動いているのだ。

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