流れ星が落ちた場所で僕は君と出会った。

パクリ田盗作@カクヨムコン3参戦中

式典第2試合



「午前中は各国企業それぞれの新型機の性能が公表されました。そして、午後からは参加企業によるトーナメントが行われます」


式典は午後の部に入り、司会進行が午後のスケジュールを会場に知らせる。


「それぞれの企業の意地をかけた戦いとなるでしょう。そして、これから始まる試合は、O・C・U企業同士の戦いとなります。まずは志田てる銀時産業の可変型フレームアーマ、 ゼニアスP8、パイロットはマックス・パトリック中尉です!!」


司会のアナウンスと同時に会場上空を一機の戦闘機が旋回し、人型に可変しながら試合会場へと降り立つ。
会場はパイロットのパフォーマンスに大いに湧き上がり、惜しみない拍手が会場を包む。


「わずか一月であの腕前とは、心躍る相手となりそうだ。さあ、一曲お相手を願おうか!」


パイロットのマックスは観客たちの声援や拍手に答える様子もなく、対戦相手側のコーナを見つめている。
その顔はまるで恋い焦がれた憧れの人との再会を心待ちする恋人のようであった。


「対するはO・C・U軍事産業体のブラックドッグ。パイロットは、訓練期間一月の新人、マイト・ダイナーです!!」


ブラックドッグは戦闘機動で会場上空にたどり着くと、逆噴射で姿勢制御しながら試合会場に降り立つ。逆噴射の突風で試合会場のゴミや紙吹雪が吹き荒れた。


「負けて当たり前かもしれないけど……やれるところまでやって見せる!」


「それでは、試合開始です!」


司会の宣言とともに双方のフレームアーマーの火器管制システムがロック解除される。最初に仕掛けたのはマックスが操縦するゼニアスP8だった。


「こちらから行かせてもらう。呆気ない幕切れとならないことを祈るぞ!」


ゼニアスP8が戦闘機に可変してマイトが操縦するブラックドッグに接近する。


「戦闘機状態から接近!? とっ、とにかく、近づいてくるなら、迎え撃つ!」


いきなりの可変からの急接近にマイトは驚くが、戦闘機動で後方に距離を取りながらメインウェポンの突撃銃で迎撃する。


「そう簡単にあたってやるわけにはいかないな! そして、見るがいい、私がこの状態から始めたわけを……」


マックスは巧みにマイトの攻撃を交わし、更にブラックドッグに戦闘機状態で近づく。
ブラックドックは戦闘機動で距離を開けようとするが、ゼニアスP8の戦闘機モードのほうが速度が勝っているのか、距離を縮められていく。
ゼニアスP8のコクピット内では衝突の危険を知らせるアラームが鳴り響く。だがマックスは回避行動を取らず、スロットルレバー握る拳の指がタイミングを図るようにリズムを取っている。 ある一定のリズムになるとスロットルレバーを手前に引き、可変操作をした。


「これが私の必殺技! ―――マックス・スペシャルだ!!」


突撃の勢いをつけたまま、ゼニアスP8は人型ロボットに可変し、ブラックドッグに対して、右腕に装備された模擬用のアームブレードで切り裂く。


「高速で近づいてきて変形攻撃!? ブラックドッグ! 損傷チェック!!」
「ソンショウジンダイ  ヒダリウデタイハハンテイ  ソンショウニヨリ、シュツリョクテイカシマス」


マイトは驚愕しながら損傷をチェックする。コクピットに表示される機体ダメージは甚大で、左腕大破判定で機能停止、攻撃を受けた際の衝撃が計算され、大幅に出力が低下してしまった。


「まだまだやれる!! 確かに強力な一撃だったけど―――」


マイトは操縦桿を操作し、フットペダルを限界まで踏み込んで反撃に移る。
マックスの攻撃には虚を突かれたが、マイトは可変によるタイムラグによってフレームアーマーの機動性能が一時的に低下する弱点を見抜いていた。


「その攻撃の後には隙がある!!」


ゼニアスP8に突撃銃を密着させて接射攻撃をするマイト。
マズルフラッシュとともに密着した銃口から破裂したペイント弾の液体が吹きこぼれていた。


「なんと! 一撃で仕留めきれなかったうえに、反撃の一撃をもらうとは! ふふ、いいぞ、素晴らしい! 滾るぞ!」


マックスは反撃を食らったことに驚くが、すぐに笑みを浮かべ狂喜乱舞する。が、すぐに笑みを消すとブラックドックを睨み。


「だが、ここまでだ!」


右腕のアームブレードでブラックドックのコクピット部分を狙う。


「負けるにしても、腕の一本ぐらいは貰ってやる!」


マイトも負けじと突撃銃の引き金を引き続ける。



「試合終了!! 勝者はマックス選手です! しかし、マイト選手も素晴らしかった! 皆さん両選手に惜しみない拍手をお願いします!!」


試合終了を知らせるサイレンとともに双方の機体の火器管制システムがロックされる。


双方のコクピットモニター、及び試合会場の巨大スクリーンにはダメージレポートが表示され、判定はマックスのコクピットを狙った攻撃によってコクピット大破判定……つまり、マイトの負けを表示していた。


「腕を一本持って行かれたか……」


マックスはモニターに表示される自機のダメージレポートを見て呟く。
マイトの攻撃によって左腕大破、マックスの攻撃が数秒遅れていれば勝者と敗者は逆転していた。


「僅かな時だったが心躍るものだった。ぜひ、また戦い愛たいものだな」


マックスは笑みを浮かべ、ブラックドックのパイロットであるマイト・ダイナーのプロフィールを見て再戦を願った。


「負け……か……当たり前といえば当たり前だけど、悔しいなあ……」


一方マイトは悔し涙を流していた。できることなら突っ伏して泣き叫びたかったが、パイロットシートのシートベルトが体を固定しており、突っ伏せなかった。


「もっと訓練して、いつか追いついて見せるから! そう、次はホワイト・スノーと一緒にあの人を倒して見せる……」


マイトはパイロットヘルメットのフェイスゴーグルを収納すると涙を袖で拭いて再戦を誓う。マイトの相棒であるホワイト・スノーと一緒に戦って勝つことを心に決めた。


「まあ、当たり前といえば当たり前の結果よね」


観客室で観戦していたアナスタシアが感想を述べる。


「だなー、まあ、一撃目を耐えて、腕一本なら頑張ったほうだろ」


飲み終えたビール缶で山を作ったヨシュアがアナスタシアに続き感想を述べる。


「素人の戦果としては十分、そして、素人でもあそこまでできるというパフォーマンスにはなった。私からしてみれば大成功だ」


アナベル少佐は満足した様子でうんうん頷きながら感想を述べる。


「マイト君もきっと何かを得たでしょうし、依頼も成功。言うことなしだわ」
「俺もマイトのおかげで美味い仕事にありつけた。マイト様様だぜ」
「さて、後は他の試合でも見てのんびりと過ごすとしよう」


三人がマイトを迎えに行こうと観客席を立った瞬間、会場全域で大規模な爆発が発生し、建物が爆破の振動で揺れ、観客達が悲鳴を上げる。


「な、なんだ今の爆発は!?」


アナベル少佐はとっさに身を伏せ頭部を守りながら周囲を伺う。


「おいおい、まさか襲撃か? どこの馬鹿だよ、おい……」


ヨシュアは爆破の振動で転倒し、自分が作ったビール缶の山に突っ込んでいた。


「ちょっと、ちょっと……今外に出てる機体は全部模擬戦装備よ!? 攻撃されたら、ひとたまりもないわよ」


アナスタシアは窓ガラスに近づかずに外の様子をうかがって叫ぶ。


「ちいっ……アナベル、格納庫に連絡入れとけ。使える機体は全部、実弾積ませろ! 俺も出るぞ!!」
「ああ、わかった! すぐに手配させる!!」


ビール缶の山から這い出したヨシュアはすっかり酔いが冷めて、傭兵の顔になる。アナベル少佐に指示を飛ばすと、ヨシュアは格納庫へ向かおうとする。
アナベル少佐は通信機を取り出すとどこかに通信を試みているが、襲撃の混乱で混線しているのか、舌打ちする。


「っ……シンデレラがいないから、私は何もできないわね。ヨシュア、マイト君をお願いね! 私はアナベル少佐を手伝うわ!」
「おう、まかせとけ! どこの馬鹿か知らねえが痛めつけてやるさ」


ヨシュアはアナスタシアにそう言うと観客席の通路から格納庫へと走っていく。
アナベル少佐は他の観客の避難誘導しながら再度通信を試みて、どこかに指示を飛ばしている。アナスタシアはアナベル少佐と共に避難誘導を行った。


会場内はパニックに陥り、あちらこちらで爆発や襲撃者の戦闘用ロボットが暴れていた。

          

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