四ツ葉荘の管理人は知らない間にモテモテです
管理人になったワケ
それは高校の春休み初日、桃園との出会いから二日前に起こった。
優しい日差しに照らされながら、おれはゆっくりと自分の部屋でくつろいでいた。
そんな中、大きな音を立てながら、姉ちゃんがおれの部屋に入ってきた。
「うわぁぁぁん! 蒼太ちゃん! お姉ちゃん、海外行きが決まっちゃったよぉぉ!」
姉ちゃんは、平均的な日本人顔であるおれたち家族の中で突然変異と言えるぐらい美しい顔をしている。そんな美しい顔をぐしゃぐしゃにしながら、おれに抱きつきながらそう叫んだ。
おれが言うのもなんだが、はっきり言うと姉ちゃんはブラコンだ。そんな姉ちゃんが海外に行くとは、おれも心配になる。いや、それ以前に…
「蒼太ちゃんに一年も会えなくなっちゃうなんて、お姉ちゃん死んじゃうよぉ! うわぁぁぁん!」
ぐすぐすと泣きじゃくる姉ちゃん。だから、それ以前に…
「姉ちゃんって、アパートの管理人やってるんだろ? なんで管理人が海外に行くんだよ」
そう、姉ちゃんは家の近くにあるらしいアパートの管理人をしているはずなのだ。
だからいつも家にくる(いや姉ちゃん曰くおれに会いにきているらしい)時間があると思っていた。
「違うよぉ、管理人はおばあちゃんに頼まれてしてた家業のお手伝いだよぉ。お姉ちゃんのお仕事は縁故入社でっ、日陰にいるOLぅ」
いや、日陰にいるOLは海外出張に行かないだろう。もしかして姉ちゃんはキャリアウーマンで、結構いい地位にいるのだろうか。全くもって知らなかった。
「蒼太ちゃん成分がないと、お姉ちゃん干からびて死んじゃうよぉ」
おれの考えとはよそに、姉ちゃんはもっともっとと力強く抱きついてくる。苦しい!
「ぐ、ぐるじいよ、姉ちゃん」
姉ちゃんの力が即座に力が弱まる。その辺りがブラコンなのだ。
「だったら、海外に行くまでにいつもより多く一緒にいればいいってことだろ? 一緒にいてやるから、落ち着けって」
そう言うと、姉ちゃんは何か閃いたようで、さっきまで泣いていたことを忘れたかのように、キラキラと目を輝かせた。
「やっぱり、蒼太ちゃんは賢くて優しいね! じゃあ、海外に行く二週間後まで管理人室で一緒に住もう! 決定だよ! 大好き、蒼太ちゃん!」
おれの迂闊な一言により、姉ちゃんとの同居が決定した……が、姉ちゃんは話をした二日後に海外に飛ぶことになった。
しかし、二日の間に代わりの管理人も見つかるわけもない。
ならば指南書を預けられたおれが管理人になろう。こうやって、おれは高校生にして管理人になったのだ。
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