僕と最強幼女と狂った世界
決着とケチャップ 6
「な、なんでッ!! あなたなんでよ! こんな攻撃なんて避けられるでしょ!?」
華憐はスタフェリアがただ堂々と進む姿に、何とも言えぬ桁外れなバケモノの風格が漂っているその姿に、震えていた。スタフェリアは、数々の攻撃があたりボロボロになり、しかしながら、攻撃が効いているにも関わらずその歩は止むことはない。まるで何か大きなバケモノ、龍と戦っている気がしている華憐であった。どんな攻撃を受けても、その顔はただ、華憐を見据えて堂々と歩く。まさに華憐には理解が不能であった。
そして、あせりが出始め、彼女の手に持っている扇子の魔法陣から出ているその魔法道具の手は、汗で手が滑りそうなほどになっていた。べとべととした嫌な汗が華憐から吹き出ている。このまま押し切れるだろうと、思っていた矢先に、スタフェリアのまさかの行動についに彼女は、たしかにここままであれば彼女は、倒れるであろうとわかっていた。しかしながら、このような絶対的な有利な状況下にも関わらず、華憐は焦りのおかげで、ある特大魔法を目の前の化け物に撃ってしまおうかと考えていた。
いまは、スタフェリアは、とんでもない量の攻撃を受けているためボロボロの状態である。特大魔法を受けてしまえば、どんな再生力の持ち主でも、木っ端みじんに、それは煙と化してしまうだろう。ここでやらなければ、いつやるのかと彼はそんな発想になった。
  そして、彼女は決意のままに、その攻撃を止めた。
スタフェリアは”それ”を待っていたのであった。彼女が魔力切れを起こして魔法が止まるのを、微小の防御壁で攻撃を耐えながら、ただ一つの”隙”を待っていたのだ。その攻撃を一心に受けてはいたが、体はまだ動けていた。そのような幸運、いや華憐の思い通りに、いやただの賭けに彼女が理由はともあれ思い通りに動いているのが、彼女にとっては本当に目を瞑って針に糸を通すようなかけでもあったのだ。
  瞬間。
  スタフェリアは、その身を瞬く間に、まばたきも許さないような、全身を使った猛スピードで彼女の近くへと瞬間移動のような移動をした。それに華憐は、しまったと慌てて間合いを取るも、そのスタフェリアとの距離は、手を伸ばせば届きそうな程の距離であった。
  華憐は悔やんだ。あのまま連撃を食らわせておけば、確実にスタフェリアを倒すことができたはずだと、なぜこうも気が乗っている時の自分はここまで追い詰められると分かっているにも関わらず、慢心が過ぎることをしているのかと。それは、後悔のような回想であった。あのまま、連撃を当てていけば、スタフェリアは、連撃と移動が当たればかなりの致命傷となっていた。だからスタフェリアは初めは横に避けていて、このままでは埒が明かないと考えて、策ができたと同時にそれをやった。あまりにも賭けの要素が多すぎている策であったが、ここまで華憐が、狙い通りに動くとは思わなかった。
  しかし彼女スタフェリアは、本気を出していなかったというのもあった。いや今の彼女は本気を出せない状態なのである。
  スタフェリアは華憐の顔をぶん殴った。体の表面には魔法使い特有の防御壁があったため、致命傷は無かったものの、そのまま勢いよく吹っ飛ばされて、その衝撃で華憐は意識を失ったのであった。数歩歩き、その気を失っている華憐のとどめを刺そうとスタフェリアは歩き出した。数歩数歩、その音に華憐は絶望を噛みしめていた。なぜこうも自分は愚かなのであろうかと、自信を戒めていると瞼の上で影のようなものが覆いかぶさった。
  誰かが、自分の顔を見ていると感じている華憐。
全てを諦めていたその時。
「ハイストップ、祖龍さんよそこまでですよ」
相座時之氏守刄が、これからとどめを刺そうとしているスタフェリアの行く先を止めていた。
「わかいもの、そこをどけ」
そういったスタフェリアは何も感じさせないようなそんな表情をしながら、倒れている華憐を見ていた。まるで虫を見ているようなそんな表情であった。
「一二の闘神さんとの契約でね。これを破ると僕のメンツも立たないよ」
まるで茶化すように守刄は答えていた。続けて「恋敵だからってそんなにまで熱くなることはないでしょう?」そう聞いた守刄の顔は、スタフェリアをあざ笑うかのようであった。まるで思春期の子どもと相手をしているかのようなそんな顔である。
「おい…… そこまでしてこの余の邪魔をしたいのかのう?」
その表情は見えることが無いほどに、銀髪の垂れていた髪の毛の中には眼光。
「いーやー、世界滅ばされちゃったらたまりませんから、許してくださいよ」
それでも守刄の振る舞いは変わることは無かった。まるでもとに戻せるからどうでもいいと言っているかのようでもある。
  一瞬。
  時が止まったような現象がこの世界で流れた。そして再生する。何もなかったかのように戻った。「とにかくスタフェリアさん、今日のところは終わりということで、お願いしますよ」鼻をほじりながら答える守刄。
「くそったれめが、このバケモノめッ!!」
スタフェリアは何かよからぬものを一瞬見たかのような、絶望の底を見てきたかのようなそんな顔になっていた。顔は青ざめ、そして額からは冷え切った汗が出ている。
「バケモノの君が言うセリフではないだろう? まあいいさ、僕たちと比べるなんて次元が違う話なんだよ、まるでアリと人を比べるようにね」
スタフェリアの心底青ざめている顔を、あざ笑うかのように見た後、守刄は、視界を次の戦闘へと移していた。スタフェリアは、呆然と立ち尽くしていた。
「決着が着いたようだぜ、イノシシのおっさん」
夜久は片手で、その相手と戦闘を行っていた。左腕はまるでもがれたようにその肩から先は、無くなっていた。まるで切られたような断面。夜久はその肩を肉を潰すことによって止血をしていたのであった。そのような処置であると、もって体は数分。
絶対的な絶望のなかであるにも関わらず夜久には、ある秘策、いや一つの突破口があった。それを虎視眈々と体が無くなっているにも関わらず冷静なまなざしでただ時を待っていた。
「気絶をしているだけのようだ。私にはわかるよ」
「あんたそれでも、先輩のお父さんなのかよ?」
「戦いとは、失うものだ。しかし戦闘が終われば私も一人のお父さんとなるだろうな」
「なるほど、アンタには二重人格のように、戦闘モードと通常モードがあるんだな」
「さよう、お前を倒したら、スタフェリアも倒して見せよう」
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