僕と最強幼女と狂った世界

土佐 牛乳

決着とケチャップ 8



「数歩、数歩だ。お互いにあるいてそれからだ」

 お互いに情態を向けて、数歩数歩、まるで時計の秒針が一つづつ動くように、彼らはその体を足を動かしていた。そして歩いてい行く中間あたりで、その繰り返す動きは早くなっていく。そしてだんだんと音が大きくなるにつれて、幅も大きくなり、その体は、ついに同時に勢いよく動き出した。まるでお互いが等倍の速度で同時に動いている、振り子のようでもあった。
  そして二人はお互いを、お互いに潰すようにして動き出した。
  現状は一対一。だれかに仲間がいるということもなく、または誰かが一人かけているというわけでもない。それが彼らであったのだ。だれもがその手を伸ばすように彼らもまた、同じ境地を歩いているというわけではない。しかし全てを掛けたような戦いに余韻というものも感じられるわけではない。それが彼らの戦いであった。

 僕は今、彼と、つまりは一二先輩のお父さんと戦っている状態なのである。そんな僕はスタフェリアと共に過ごす未来のために、僕は僕として、そして僕のためでもあるためにこの戦いをしているのである。それが僕であった。誰がしてといっているわけでもない。
  一つも迷わず定まらず僕のための戦いであった。
 僕は彼が動き出すように歩いてきたため、僕もまた同時に彼と動き出した。まるで今にでも始まりそうな緊迫した空気を体中で、感じている。喉はひどい水分不足で少ない唾が飲み込めるというわけでもなかった。それほどまでに、この空気を僕は、一身に浴びてこの戦い、つまりは一二先輩のお父さんとの戦いに挑んでいた。
  数歩、足の感覚が、この神経を極限にまで張り詰めた現状で、しっかりとした感触が味わってきた。まるで靴を履いているにも関わらず、はだしで歩いているようなそんな足の肌触り、そして足の筋肉を使って全て体の移動のために使っているという頭の筋肉の認識が情報として、僕の頭の中に入ってくる。
 僕はごくりと唾を飲み込んだ。まるで濃密で粘着質がある唾である。その唾を喉に押し込むようにして飲み込んでみた。まるで高濃度な水を飲んだ音が聞こえてきた。たしかに彼には言い訳ができないくらいに僕は緊張をしていた。なぜこのようにまで緊張をしているのか僕にはわからない。だけれど、僕にとっては体の反応のようなものであるためあまり気にはしないように暗示をしていた。
  その間に相手は動きを少しだけはやめていた。それに合わせて僕もその足を速めることにした。踏み出す足幅は同じではないなと僕はわかっている。それでもこのまま、遅れてしまうといや僕が彼の歩の早さを抜いてしまわなければ僕は確実に、あっという間に死んでしまうだろうという脅迫概念のようなものが確かに僕の心の中に芽生えていた。
  そして、僕は彼よりも早く、少しだけ歩を速めた。奴もまた僕に合わせるのかそれとも僕よりも早くしようとしている。彼は負けず嫌いの性格なのだろう。
 まあ僕には勝たなければならない理由があった。それは口を酸っぱくしていうように僕は何度でも言おう。いいや自分に言い聞かしているのかもしれない。
  僕はスタフェリアとこの日常のために戦う。ただそれだけであった。
  ただそれだけのために戦うことができるほどに、僕の中でスタフェリアはそれそれ相応の人物となっていた。
  さあそろそろ奴とわずか二歩で戦いが始まってしまうだろう。これまでの説明全ては十歩足らずの移動の中での独白と描写であった。その行動がどれだけ濃厚であったのか僕にはわかる。それが、意味のないようなところまでが戦いの神髄であると僕は勝手にそう思っている。

 一歩。

  お互いに動きの変化はない。それは一つの風のように。

  二歩。

 状況が一転、まるで物語が転の領域に踏み入ってしまったように彼らは動き出した。まるで全てを潰すように彼は、剛腕なる肉体で、その大きなハンマー牙付きを僕の頭を潰すようにして振り下ろしてきた。
 体のわずかな予備動作で反応ができた僕は寸分、頭を避ける。そして同時に体を横にするように避けた。まるで未来を見てきたかのような避けである。しかし攻撃は、まるで攻撃をされていると認識された瞬間に当たったような速度であった。つまりは光のような速度であったのである。それを僕は避けることができたのだ。
  僕は避けた動作を使って、彼の左わき腹へと下から抉り取るようなボディーブローをぶつけていた。まるで彼のわき腹は、鉄板のようでもあったが、しかしながら、その拳は確かに内臓にダメージを与えたような攻撃であったのは僕の拳からわかっていた。
  並みの人間なら確実にそのダメージを食らったことで、その身を包まってそのダメージに悶えているような場面。
  しかし彼の状態は全くとダメージを受けるような素振りをしてはいなかった。
  まるでその程度かと、彼はあざ笑っていたかのような顔である。その上体は一つの要塞のような鉄砲一つの威力では全くとダメージを打っていない、そのような振る舞いであった。おおきな山のような要塞。それが彼の印象であった。

「確かに先ほどよりは力が入っている。しかしながら本気がそれとは……」

 僕の顔の横でそうせせらぎらうような声で彼は言ってきた。
  子供と相手をしているかのようなそんな口ぶりである。

 僕は次に彼の攻撃が来ると予想して、彼から突き飛ばされたようにその体を右の方へと飛び出すように動き出した。彼の次の攻撃は確実に僕の体を野球のフルスイングのようにしてぶち当てるはずだと考えていたのだ。そして僕はそのまま倒れ込むように背面回転ジャンプをする要領で彼の動向をしっかりとゼロコンマ数秒足らずを見逃すことなく、まばたきなどはしないだろう眼光で見ていた。

「まあいい…… では戦いというものを教えてやろう」

 その発した二節目あたり、彼はまるで僕と行動を一緒にしていたかのように僕の体の倒れる速度を超えたスピードで僕の近くへと寄っていた。漠然と、唖然と、口を開けてしまうほどの彼のその移動速度。人間ではない。そうそれは人間ではないのだ。

「……これが、戦いだ」

 バーアンッ!! 彼は僕の左ひじから体にかけて当てて吹っ飛ばすように僕の体が飛ばされた。まるで軽いサンドバックを飛ばすゲームのように¥、僕をサンドバックにして見立てたように軽々と、物理法則ともに軽く飛ばしたように僕にぶっぱなった。
  左腕は僕の認識速度を越えた、破壊で血と肉かはたまた骨なのか僕にはわからないほどにぐちゃぐちゃとなった。まるで動物を食肉として潰しているようなそんな光景が僕の横で一瞬にして広がっていたのだ。そして次に肋骨をポッキーを折ったような、そんな軽い音とともに、何本が折れてしまっている。それらが一瞬の出来事であった。
  まるで交通事故にあったかのようなそんな唖然とした瞬間のできごとが僕の目の前で広がっていたのだ。僕は認識ができるという以前の、何がどうなってしまったのかというその光景が、漠然とただ。目の前の現状を作り出しているだけであった。とにかく無茶苦茶である。








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