僕と最強幼女と狂った世界

土佐 牛乳

急展開


「ここで相性の問題をするとしよう。一つものつまりは、窮極の存在は多数つまりは複数のモノには勝てず、そして複数のモノは異端に弱いものであり、そして異端は究極に弱い。
  まるでジャンケンのように相性が決まっているのが、この世界のルールでもあり、基準でもあり、歴史でもあった。しかしながら、それを覆すような事例は極まれにであるが、あったりするわけでもある。大抵は、スタフェリアが、夜久と組んで二人の衆として、窮極の男に立ち向かっているように、対策はしておくものである。この場合の相性の割合は1.5対1といった感じだろうか。
  その相性性によればスタフェリアは、異端というカテゴライズに入るわけであるが、しかしながら彼女が相性のために夜久をこしらえたのも無しという話でもなかった。相性が悪いにも関わらず死んでいないのは、彼女はどうしようもなく強い存在であるからだ。この相性という概念はどうやら最近になってできたようでもなかったりあったりなので、この世界の概念というものは、順次植物が成長していくように変わっていくということが推測できる。よってこの世界は狂っているのである、まあ私一個人の感想であるのだけれど」

  これらすべての独白は、戦いを静観していた相座時之氏守刄のものであった。
  それは哲学的な考え方でありながらも、彼は淡々と誰かに言うのでもなく一人による解説をしていた。
  彼はまた、どの三角関係ともにまったくと分けることのできない者であった。
  それは彼がこの世界を一つの媒体として観見しているからであった。そこに無用な干渉はあっても、取り仕切るだけのそれだけの人であったからだ。


 そして場面をもどしてスタフェリアと夜久の激闘。
  夜久は、男にパンチを仕掛けていた。ハンマーを彼女の拳とと衝突させていた男は、その夜久の顔に向かってきたパンチを数センチずらすことで後ろに避けると、そのまま夜久の腹に左足を、変則的な動きを見せて上から叩き割るような回し蹴りを夜久の体にお見舞いするが、それに反応して腕を頭の前でクロスさせて防いだ。
  男は夜久が防いだと見越してハンマーを使って夜久に次の攻撃をお見舞いしようと、腕を背中へと振り上げるが、隙を見せたことにより、スタフェリアのパンチが彼の岩のような腹へとぶち当たった。
  立ったまま、地面をえぐるようにして、彼は衝撃と共に、後ろへと移動した。
  そして静止とともに、膝を付けて腹を抑えた。

「まだやるのかのう?」

 スタフェリアは迎え撃つようして聞いていいた。

「降参…… といった方がいいのだろう。だが、ワシにはできんよ」

「賢明ではないのう、まるで動物のようではないか?」

「まあな、最近の動物は人間の土地開発によってどんどんと衝動物になっているがな」

「お前もその影響が見られる、いい加減に貴様はどうにかならんのか?」

「どうにもならないだろう、それが今の現状だ」

「しかしよ、貴様がここで敵わぬことで命を散らしてもお前の家族はどうなるのじゃ・」

「ワシは巻けることは考えてはいない」

「さすがは闘神と呼ばれていただけはあるわい」

 彼女が言い終わると、少し傷が癒えたのか男はゆっくりと立ち上がった。そして

「そこの鬼よ」

「なんでしょうか?」

「貴様はなぜ戦う?」

「そりゃあ、彼女の手下だからですよ。それ以上でもそれ以下でもありません。彼女が戦うのならば、僕も戦う。それもまた僕の運命でしょう?」

「ほう貴様には、自分というものがないのだな」

「よく言われます。何と言っても僕は生粋の空っぽ人間ですから」

「そんなお前がスタフェリアに惹かれたのもなんとなくわかるわ」

「あなたはどうだったんですか? 昔はスタフェリアと仲が良かったんでしょう?」

「関係が良くても、関係がいいだけでただそれだけだ」

「へえ、僕に負けずといろいろとあったんですね」

「そうだ、ワシにも彼女の頑固さは、目を貼るものがあった」

 彼はそのように言って、彼女を見た。彼女はそれをそっぽを向くようにして視点を変えた。

「そろそろ決着をつけなければな…… 尺が終盤に差し掛かっておるわい」

「物語は三分の二辺りだ、まだまだこれからというものもあるけれどね」

 夜久とスタフェリアが話して、そして二人は動き出して戦闘が始まった。
  地面をえぐるようにして、彼女は地面を蹴った。そして瞬時に察知した男がスタフェリアのパンチをハンマーで受け止めて、夜久は横から殴るようにして、男へと差し掛かった。
  神具がお互いの攻撃を相殺した音は、空間に穴をあけたような、凄まじい衝撃音となった。まるで鉄砲を撃ったような、地震の前兆と言われる衝撃音と音が似ている。
  その衝撃音にさらされつつも、夜久は、男のミッドレンジへと入ると、瞬間にしてありったけの手数を誇るパンチを彼に当ててた。それは三発ほど辺り、しかし彼はあえて攻撃を受けていたようで、その身を切らせて骨を断つやり方に、僕に反撃の糸口を見つけて、僕の顔面へとパンチを当てて、次に攻撃をしようとしていたスタフェリアの体格さえも凌駕しそうな上から放たれたパンチを、ハンマーでまた、打ち返した。
 一瞬の出来事でありながら、双方は同じようなダメージになっていた。
  夜久は背中から落ちるようにして地面を滑って、静止して、スタフェリアは、空中で体を整えたのちきれいに地面に立った。

  
 沈黙。


  夜久は血と唾が混じったものを小さな声と共に吐いた。
  そして手を後ろに付くようにして上体を起こす。


「どうやらこのワシも貴様らとまだやりあえるようだな」

 男は上機嫌で言って、ハンマーを杖のようにして前に両手で地面をついていた。
 そして次の瞬間男は、ある誰かが、ここに来ていることに気づいた。
  それは彼の弱点でもあり、彼の守りたいと願っている者でもあった。

「お父さん、久しぶり」

 男は、その後方から、つまりは耳の後ろから聞こえてくる一つの少女の声に驚いた。それは何かの始まりを告げるような音でもあり、それは何かを試しているかのような声でもあり、それは誰かを捜しているかのような声であった。

「せ、先輩ッ!!」

 それは夜久も、彼も知っている人間であった。










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