偽善な僕の明るい世界救済計画
12話 突入魔王城。突入すると思った?
「禍々しいな……これ全部魔物で作られてるのか……」
「気持ち悪いわラインハルト様ー」
グラン軍は今、行軍を停止している。
魔王城と名付けられた城の存在を確認して、その対応を協議している。
過去の地図と照らし合わせて魔王がこの世界に現れたのはこの城の最深部、元首都メカロポリスの跡地であることは間違いなかった。
今は漆黒の光沢を放つ魔物の外郭によって覆われた気色の悪い城が建っている。
入り口と思われる場所があり、そこから延々と魔物が吐き出されている。
それを外で陣取るグラン軍が殲滅を続けているという状態だ。
強力な個体も多いが、ラインハルト達も協力しやすい陣取りをしているので、延々とコレが続いてもまぁ問題はないように思われた。
しかし、城への突入は目に見えた地雷であることは間違いない。
「俺の全力でも傷一つきやしない……」
悔しそうにデゲンスが悪態をつく。
「デゲンスが無理なら俺でも無理だな……」
「ラインハルト……たぶん私の次元停止と似たような構造。
どんな攻撃も遮断すると思う……」
「そうかぁ……」
「ただ……まだ下手くそ。接合部に歪みがある。
全体としてある程度以上の力を加えられた時に形態維持が破綻する」
「マイレニア嬢、俺結構本気でやったぜ~?」
「点や線の攻撃じゃ駄目。全体に面として攻撃する必要がある」
「具体的には?」
「みんなで四門開けば行ける」
「ぐっ……この世界吹き飛ばないかそれ……?」
「酷いラインハルト。私の次元停止はその程度の攻撃でほころぶような半端な仕事しない……
ひどいよ……ぐすっ……」
「あー! いや、ごめん。疑ってないよ!
ま、前にひどい目見たからさ! ついつい!
さすがマイレニアだな! 素晴らしい作戦だよ!
聞いていたなバセット! こっち来れるか?」
「もう来てるよ」
「おお、早いな。後は麒麟のじー様だな。
我が友よ、我が願いに答えて顕界せよ……」
ラインハルトが祈りを捧げると空間が歪み異次元への扉が開く。
「いやじゃ」
バタン。扉がしまった。
「…………、我が友よ、とっとと出てこい!」
ラインハルトは次元の歪みに手を突っ込むとそこから引っ張り出す。
「なにするんじゃラインハルト! こんな老体に今更なにをさせるつもりじゃ!!」
白髪を地面につくまで伸ばし、髭と髪が一体化して境目がわからない。
真っ白な眉と鼻、後は髭と髪で覆われている。
真っ青なローブの人物が麒麟。
ユキムラの友にして魔の真髄に至りし賢者だ。
「四門開くから協力してくれ」
「いやじゃ、あれやるとしばらく腰がたまらん。もうやらんぞ」
「はぁ……カーラ、すまないが頼む」
「はぁい! ねー麒麟様ぁ~。お・ね・が・い……」
「い、いやじゃ! カーラちゃんの頼みでもやらんぞ!」
「じいじ、カーラと僕で腰痛いの無くなるまでマッサージするから、お願い……」
セクシー押し付け攻撃とおねだり見つめ攻撃のあわせ技。効果は抜群だ。
「ラインハルト! これで最後じゃぞ!! もうやらんぞ!!」
「前にも~~聞いた言葉~~~♪」
こうしてラインハルトの友7人が全て一堂に会する。
過去を司るガードラ、麒麟。
今を司るデゲンス、カーラ。
未来を司るセリフ、マイレニア。
統括するバセット。
勇気を持つものラインハルト。
この8人が集まる時、四門を開くことが出来る。
「天よ! ガードラ、麒麟の名に置いて願う。門を開き給え!」
「地よ! デゲンス、カーラの名に置いて願う。門を開き給え!」
「生よ! セリフ、マイレニアが願う。門を開き給え!」
「死よ! バセットが願う。門を開き給え!」
呪文の詠唱と膨大な魔力が凝縮されていく。
魔王城を囲うように4つの巨大な門が召喚される。
神の領域を利用する超絶魔法の準備が開始される。
「ラインハルトが願う、その力の執行を。
全てを灰燼浄化する神の力、今ここに紡いで悪しきものを救う光となれ」
ゆっくりと門が開き、物理世界には存在を許されないほどの力が吐き出される。
ラインハルトは全力を持ってその力を留め凝集する。
全力全開のラインハルトなら造作もないが、今のラインハルトは全力全霊を持ってその力のコントロールに当たらないといけない。
「……ぐぅ、光の奔流よ……我が前に立つ試練を打ち破る……剣となれ……
四門全開!!!! 穿て!! 神の裁き!!」
大地に立つラインハルトの突き出した2つの腕の前で恐ろしい量のエネルギーがうねりを上げ、次の瞬間、魔王城に向かい解き放たれる。
爆風が戦場を吹き荒れるが、7人の戦士たちが包み込み全ての力を魔王城へと叩きつける。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ギシギシと魔王城の外壁が軋みをあげ、悲鳴のようにバリバリと音を立てる。
もし皆が押さえ込んでいなければ、周囲の大地は蒸発し、大気もプラズマ化して大惨事になることは間違いない。
何と言っても、過去に一度やっているからだ。
マイレニアの指摘通り、甲羅のような継ぎ目からビシビシと連結にヒビが入り始めていく。
「ウウウウオオオォォォォォォ!!」
ラインハルトが吠える!
面で撃ち抜かれている神の裁きがうねり回転していく、回転は徐々に速度を上げ更に強力に敵の結界を引き剥がし、砕きにかかる。
ベキ……ボコン!
一箇所の外壁の破綻がきっかけだった。
連結部が激しく砕け、全ての次元停止が破綻する。
膨大なエネルギーは結界突破に使用され、対消滅を起こしていたが、余波のようなエネルギー流はそのまま魔王城へとぶつけられる。
結果……魔王が死ぬ気で貼った結界を残して、ほぼすべての物が消滅した。
消失と言ったほうがいいかもしれない。
魔王軍も含めて……
「気持ち悪いわラインハルト様ー」
グラン軍は今、行軍を停止している。
魔王城と名付けられた城の存在を確認して、その対応を協議している。
過去の地図と照らし合わせて魔王がこの世界に現れたのはこの城の最深部、元首都メカロポリスの跡地であることは間違いなかった。
今は漆黒の光沢を放つ魔物の外郭によって覆われた気色の悪い城が建っている。
入り口と思われる場所があり、そこから延々と魔物が吐き出されている。
それを外で陣取るグラン軍が殲滅を続けているという状態だ。
強力な個体も多いが、ラインハルト達も協力しやすい陣取りをしているので、延々とコレが続いてもまぁ問題はないように思われた。
しかし、城への突入は目に見えた地雷であることは間違いない。
「俺の全力でも傷一つきやしない……」
悔しそうにデゲンスが悪態をつく。
「デゲンスが無理なら俺でも無理だな……」
「ラインハルト……たぶん私の次元停止と似たような構造。
どんな攻撃も遮断すると思う……」
「そうかぁ……」
「ただ……まだ下手くそ。接合部に歪みがある。
全体としてある程度以上の力を加えられた時に形態維持が破綻する」
「マイレニア嬢、俺結構本気でやったぜ~?」
「点や線の攻撃じゃ駄目。全体に面として攻撃する必要がある」
「具体的には?」
「みんなで四門開けば行ける」
「ぐっ……この世界吹き飛ばないかそれ……?」
「酷いラインハルト。私の次元停止はその程度の攻撃でほころぶような半端な仕事しない……
ひどいよ……ぐすっ……」
「あー! いや、ごめん。疑ってないよ!
ま、前にひどい目見たからさ! ついつい!
さすがマイレニアだな! 素晴らしい作戦だよ!
聞いていたなバセット! こっち来れるか?」
「もう来てるよ」
「おお、早いな。後は麒麟のじー様だな。
我が友よ、我が願いに答えて顕界せよ……」
ラインハルトが祈りを捧げると空間が歪み異次元への扉が開く。
「いやじゃ」
バタン。扉がしまった。
「…………、我が友よ、とっとと出てこい!」
ラインハルトは次元の歪みに手を突っ込むとそこから引っ張り出す。
「なにするんじゃラインハルト! こんな老体に今更なにをさせるつもりじゃ!!」
白髪を地面につくまで伸ばし、髭と髪が一体化して境目がわからない。
真っ白な眉と鼻、後は髭と髪で覆われている。
真っ青なローブの人物が麒麟。
ユキムラの友にして魔の真髄に至りし賢者だ。
「四門開くから協力してくれ」
「いやじゃ、あれやるとしばらく腰がたまらん。もうやらんぞ」
「はぁ……カーラ、すまないが頼む」
「はぁい! ねー麒麟様ぁ~。お・ね・が・い……」
「い、いやじゃ! カーラちゃんの頼みでもやらんぞ!」
「じいじ、カーラと僕で腰痛いの無くなるまでマッサージするから、お願い……」
セクシー押し付け攻撃とおねだり見つめ攻撃のあわせ技。効果は抜群だ。
「ラインハルト! これで最後じゃぞ!! もうやらんぞ!!」
「前にも~~聞いた言葉~~~♪」
こうしてラインハルトの友7人が全て一堂に会する。
過去を司るガードラ、麒麟。
今を司るデゲンス、カーラ。
未来を司るセリフ、マイレニア。
統括するバセット。
勇気を持つものラインハルト。
この8人が集まる時、四門を開くことが出来る。
「天よ! ガードラ、麒麟の名に置いて願う。門を開き給え!」
「地よ! デゲンス、カーラの名に置いて願う。門を開き給え!」
「生よ! セリフ、マイレニアが願う。門を開き給え!」
「死よ! バセットが願う。門を開き給え!」
呪文の詠唱と膨大な魔力が凝縮されていく。
魔王城を囲うように4つの巨大な門が召喚される。
神の領域を利用する超絶魔法の準備が開始される。
「ラインハルトが願う、その力の執行を。
全てを灰燼浄化する神の力、今ここに紡いで悪しきものを救う光となれ」
ゆっくりと門が開き、物理世界には存在を許されないほどの力が吐き出される。
ラインハルトは全力を持ってその力を留め凝集する。
全力全開のラインハルトなら造作もないが、今のラインハルトは全力全霊を持ってその力のコントロールに当たらないといけない。
「……ぐぅ、光の奔流よ……我が前に立つ試練を打ち破る……剣となれ……
四門全開!!!! 穿て!! 神の裁き!!」
大地に立つラインハルトの突き出した2つの腕の前で恐ろしい量のエネルギーがうねりを上げ、次の瞬間、魔王城に向かい解き放たれる。
爆風が戦場を吹き荒れるが、7人の戦士たちが包み込み全ての力を魔王城へと叩きつける。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ギシギシと魔王城の外壁が軋みをあげ、悲鳴のようにバリバリと音を立てる。
もし皆が押さえ込んでいなければ、周囲の大地は蒸発し、大気もプラズマ化して大惨事になることは間違いない。
何と言っても、過去に一度やっているからだ。
マイレニアの指摘通り、甲羅のような継ぎ目からビシビシと連結にヒビが入り始めていく。
「ウウウウオオオォォォォォォ!!」
ラインハルトが吠える!
面で撃ち抜かれている神の裁きがうねり回転していく、回転は徐々に速度を上げ更に強力に敵の結界を引き剥がし、砕きにかかる。
ベキ……ボコン!
一箇所の外壁の破綻がきっかけだった。
連結部が激しく砕け、全ての次元停止が破綻する。
膨大なエネルギーは結界突破に使用され、対消滅を起こしていたが、余波のようなエネルギー流はそのまま魔王城へとぶつけられる。
結果……魔王が死ぬ気で貼った結界を残して、ほぼすべての物が消滅した。
消失と言ったほうがいいかもしれない。
魔王軍も含めて……
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