神装聖剣ファフニール

なつめ猫

父と母の出会い(10)カイザルドside




「世界が滅びるだと?」

 嘘を言っているようには見えない。
 だからこそ――、その言葉の意味を理解した時に絶句すると同時に、あまりにも現実離れしすぎた内容に一瞬だけ思考が停止する。

「はい」
「それは、アルトラス大陸の南部が戦火に焼かれて民が住むことが出来ない不毛な土地になるということか?」
「いいえ、違います。この世界――、アガルタが文字通り崩壊するという意味です」
「そんなバカな! そんな事がありえることがない!」

 それに深海の大破壊竜なぞ聞いた事もない。
 そんな存在がいるのなら、どうして今まで――、この世界は無事であったのか。

「私が言ったことは、全てが現実――、本当の事です」
「……ならば、それが本当だという証を見せて貰いたいものだ」

 あまりにも突拍子すぎる。
 信じるには馬鹿馬鹿しいほどに――。

「分かりました」

 私の提案に――、証を見せろという言葉を聞いた彼女――、ユリカは頷く。
 それは、出来ないという意味なのだろう。
 
「――ならいい。それよりも君の魔法を教えて貰いたいものだ。それにより一日でも戦乱が早く収まるのなら……」
「カイザルド様は、誤解されていらっしゃるようです。私が分かりましたとお伝えしたのは、深海の大破壊竜の証拠を御見せしますとお伝えしたのです」
「何!?」

 彼女が手を上げると共に周囲に影が出現する。
 その影は急速に範囲を広げていく。

「上か!?」

 ドラゴンが下降してきたのかと思い空を見上げると――、そこには巨大な船舶のような物が浮かんでいるのが視界に飛び込んでくる。
 上空に浮かんでいる巨大な船のような物の大きさは少なくとも全長100メートルを超えるだろう。
 それほど巨大な船が空に浮かんでいるという事実。
 そして、先ほど見せられた見たことがない発動形式を持つ魔法。

「あ、あれは……」
「神代文明時代に建造された最新鋭の星間航行艦ノーチラスです」
「神代文明時代の……遺産だと……? あれが……」
「はい。そして――、ファフニール遺伝子を受け継いでいる可能性のあるカイゼル王国第一王位継承権を持つカイザルド様を神代文明時代の遺跡まで案内する乗り物となります」

 彼女はスカートを掴むと、貴族風にカテーシ――、挨拶をしてくる。
 その様子から町娘と思っていた――、否――、思わされていた事に歯ぎしりすると共に、違う意味で目の前の女性に俺は興味が湧いた。

 神代文明時代の遺物――、それも現存し動かせる物を保有しているコネクションと知識。
 どれをとっても、現行の技術の遥か先を行っていることは明らか。

「分かった。連れて行ってもらうとしようか」
「ありがとうございます。それでは――」

 彼女が光の魔法を放ったかのように見えたが、魔法陣も展開しておらず詠唱もしていなかったこともあり何の魔法を使ったのかが理解できなかった。
 それでも、新しい知識――、現在の戦乱が激化する南大陸の状態を打破し国民を救う術があるのなら、喉から手が出るほど欲しい。
 たとえ教えて貰わずとも、解析し――、自身の魔法として流用出来るのなら、それだけでも価値がある。
 
 降りてきた船に、ユリカという女性に連れられる形となり乗り込んだあとは、船はカイゼル王国の王都ルゼニアの方へと進み始めた。




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