神装聖剣ファフニール

なつめ猫

父と母の出会い(4)カイザルドside




 ――王都ルゼニアから南に馬で走る事4日の距離――、国境に近い城塞都市ルビアンド。

 カイザルドが有するカイゼル王国軍は、隣国のシルフィード王国軍を蹴散らし残党を殲滅。現在は、城塞都市ルビアンドの防衛により怪我などを追った兵士の治療などを行っていた。

「ふむ。こんなものでいいだろう。痛みはあるか?」
「もう大丈夫です。王太子様、ありがとうございます」
「気にすることはない」

 俺は、怪我人の治療を魔法で行ったあと次に向かう。
 治療系の魔法は、攻撃魔法と比べても数倍という多くの魔力を消費する。
 その為に、回復魔法を使える魔法師は非常に少ない。
 もしくは数度、魔法を使えば魔力が尽きるほどだ。

 まずは兵の治療。
 それが最優先。
 戦線に復帰できる兵士が増えれば、それだけ国防が有利になるからだ。

「傷は塞がったな。あとは、しばらく安静にするといい」
「王太子様、ありがとうございます」
「怪我をした兵士の治療を行うのは当たり前だ。民を守ってくれているのだからな」
「王太子様……」

 感激した様子で俺を見てくる瞳。
 立ち上がると、怪我をした兵士達の誰も彼もが俺を羨望の眼差しで見てくる。
 
 これは王族として――、国を守る者を助ける為として行っているに過ぎない。
 つまり、また戦場に駆り出しているだけの対処療法。
 根本を断たないかぎり、何時か消耗戦によりカイゼル王国は滅びることになるだろう。
 
 少なくともアルトラス大陸南部では、現在は3つの国が台頭してきている。
 国力は、カイゼル王国の10倍を超える。
 いまは、3か国ともカイゼル王国からは距離も遠く――、そして何よりカイゼル王国は貧しく経済と軍事力ともに乏しい。
 ただ――最近では三か国の台頭により力を付けようとする小国も増加。
 少しでも国力を増そうとする国が侵略を仕掛けてくるようになった。
 経済的に豊かではないにしても民を守る為には、軍事力強化は急務と言う事で徴兵制の導入を父は行った。
 その結果、怪我人は増加していく一方。

「王太子様?」

 徴兵された一市民である男が俺を見上げながら声をかけてくる。

「何でもない。今日は我々が町の防衛に回る。他国からの侵略によく町を守ってくれた。例を言うぞ」

 俺は、それだけを言うと連れてきた騎馬兵を連れて城壁に向かう。
 そして――、城塞都市ルビアンドを守るための順番を決めたあと、総督府へと向かう。
  
「王太子様、こちらが執務室となります」
「ごくろう」

 総督府に勤めている文官に言葉を返しながら執務室に入る。
 そこは泥棒が入ったのか? と、言うほど荒れていてシルフィード王国軍が攻めてきた時に、軍事機密や機密文書を敵側に渡さないようにと搔き集めて逃げた痕跡が色濃く残っている。

「これは、政務を始めるのが大変そうだな」

 俺は一人――、執務室内を片付けていく。




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