神装聖剣ファフニール

なつめ猫

貴族の動乱(19)




 落下していく空中城砦――、それは炎上している帝都ルゼニアを囲んでいる城壁の上に落ち――、地響きを立て振動が2キロ以上離れている場所まで伝わってくる。

 神装聖剣を解除した後、建物の屋根の上に降り立つ。

「――ッ」

 膝から崩れ落ちかけたルメリアを抱きかかえる。
 
「大丈夫か?」
「やっぱり、かなり魔力を使ったみたいね。それより、これからどうするの?」
「どうするも何も俺の感知外だからな」

 相手の戦力は3万と聞いていたが、高さ幅ともに500メートル近くはある空中城砦が落下したのだ。
 そして、その際に発生した余波はかなりの物で――、部隊を後方に展開していたとしたら壊滅的打撃を受けた可能性は非常に高いだろう。
 まぁ、帝都ルゼニアの守備兵も相当な被害が出たと思うが、戦いに身を置く以上、死くらいは覚悟しているのだから、俺が気にすることではない。

「それじゃどうするの?」
「放置しておく」
「――え? いいの?」
「問題ない。そもそも加速粒子砲を打ってきたから対応しただけで、普通の兵士同士の戦いなら一般人に迷惑が掛かることは少ないはずだろう。たぶんな――」

 まぁ、それに――。

 帝都ルゼニアの王城の方から、少なくない数の騎兵の動きが焼け落ちた城壁の方に向かっているようだし俺があまり首を突っ込むのはな。

「とりあえず、休憩するか」
「そうね。カズト君が、そうならそれでいいわね」

 ルメリアを抱きかかえたまま建物の屋根の上から降りて宿に戻る。
 そのあとは、軽く食事をして眠ることにし――、階段を上がりそれぞれの部屋に戻ったところで――、階下の宿入り口のドアが音を立てて開かれたのが聞こえてきた。
本当に微かな音であったが――、聞き間違えることはない。

 一応、桂木神滅流:神眼で確認しておくが宿の1階に来たのは人間の形を取っているのだけは分かる。

「一応は、人間か」

 まぁ、俺の感知では誰が来たかまでは分からない。
 出来れば宿の主人が戻って来てくれた方が俺としては助かるんだが――。

「まぁ、用事があれば会いにくるだろ」

 部屋のドアを閉めて鍵をかける。
 神装聖剣は、融合者の魔力をかなり消費するが、実際は使い手も相当な消耗を強いられる。
 しばらくは、ゆっくりと休みたいところだ。

 ――ドンドンドン

「カズトさん!」

 どうやら、宿に尋ねてきたのは俺の知り合いのようだ。
 それも――。

「アリスか。何か用か?」

 ドアを開けると、そこには金髪碧眼のエルフが立っていた。
 他には、同行している人間は居ないようだが――、

「何か用が無いと来たらダメなんですか?」
「いや、お前はカイザルドに会いに来るためだけに俺に同行してきたんだろう? ――なら俺と一緒にいる意味は無くないか?」
「いえ、そうは行かなくて――」
「――ん? 何かあったのか?」
「じつは――、帝都ルゼニアの城壁を破壊したのはカズトさんだって! 反乱を起こして捕まった貴族が保身の為に嘘をついているんです!」
「いや、間違ってないぞ。半分くらいは当たってる」
「――!?」





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