神装聖剣ファフニール

なつめ猫

帝都ルゼニア(7)




「何かあるのか?」
「ううん、もしかして――、リメイラール教会の人間が関わってきているのかと思ったのだけれど……」
「リメイラール?」
「ええ、ローレンシア大陸って知っているわよね?」
「そりゃ――」

 俺達が暮らすアガルタの世界にはいくつか大陸が存在する。
 一つは、ローレンシア大陸。
 一つは、アリスが来たエルアル大陸。
 一つは、未開の地エルリダ大陸。
 
 ――そして最後に、俺達が暮らすアルトラス大陸。
 
 他に小さな島などが無数に存在しているが、大きく分けて大陸は4つと俺が読んだ本には書かれていた。

「ローレンシア大陸が何かあるのか?」
「ローレンシア大陸は、リメイラール教会が強い力を持っているの。そしてリメイラール教会は神代文明時代の遺産を幾つか運用しているってお父様から聞いた事があるわ」
「つまり、俺の親父であるカイザルドが乗っていた飛行船は――」
「リメイラール教会が関与している可能性があるわ」
「また厄介な……」
「あくまでも仮設だけど……、エルアル大陸からエルフを派遣してきたエルフガーデンの動向も気になるし、これは――、かなり大きな問題に発展しているのかも知れないわね」
「溜息しかでないな」

 たしかに、神代文明時代の遺跡で見た深海の大破壊竜を見た俺としては、国どころか惑星全体が滅びる問題に発展するのは想像に難くないと思うが――、それにしても他大陸の勢力がすでに動き出しているとなると早急な対応が求められるだろう。

「そうね」
「どっちにしても、カイザルドに会わない事には始まらないってところか」
「ええ」
「それより魔力は、どのくらい回復したんだ?」
「6割ってところね」
「帝都ルゼニアに到着するのは、どのくらいかかりそうなの?」
「あと4日ってところか」

 幌馬車のハーネスを手で持ちながら走り続け言葉を返す。

「分かったわ。それでは、私も神装聖剣を行えるまでに魔力の回復を急ぐから、カズト君も移動をがんばってね」
「善処する」

 荒野の中、俺は幌馬車を引く速度をより一層上げて走る。
 


 ――それから2日ほど幌馬車を引き続けたところでようやく視界に緑が混ざってきた。
 まだ樹木の高さは、そんなに高くはないが――、明らかに増えていく緑は大地が死んでいないことを見せつけていくようで――。

「カズトさん!」

 幌馬車の御者席から話しかけてくるアリス。
 ちなみに、ルメリアは姿を他国の人間に見られると不味いということで、幌馬車の中に隠れている。

「何だ?」
「そろそろ帝都が近くなってきましたけど……」

 地図を見ながらアリスが問うてくる。

「そうだな」
「馬か何かで幌馬車を引いた方がいいと思います。さすがに素手で幌馬車を引くのは目立ちすぎるような気がします」
「たしかに……」

 最近は、街道沿いということで――、すれ違う商人も増えてきた。
 その商人たちは、全員が全員――、俺が幌馬車を引いているのを見ると表情が引きつるのだ。
 それなら、帝都ルゼニアに向かう前に近くの宿場町か村で馬を手に入れた方がいいな。

「はい。近くですとポンドという宿場町があるみたいです」




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