神装聖剣ファフニール

なつめ猫

帝都ルゼニア(3)




 言葉を返しながら――。
 いくつもの武器が入っている樽を指差す。

「アリス、エストックが幾つか樽に入っているだろう? それを、全部渡してくれ」
「――え? あ、はい」

 アリスは頷き樽の中から、自身の背丈ほどもある剣身が1メートル30センチほどの剣をよろめき乍(なが)らも差し出してくる。
 エストックは、ウィンデルの城下町の武器屋で何本か購入しておいたものだ。
 まぁ、実際には投擲武器として使おうと考えていたので、用途は殆ど考えていなかったが――、今回は料理に使えるから良かった。

「これで最後です」

 ――本数は3本。
 
 人数分としては丁度いいかも知れないな。
 
「そういえば、ルメリアはどうしている?」
「ルメリア様は、まだ寝ていますけど……」
「そうか」

 とりあえず、暑くならないうちに出発したいからな。
 さっさと朝食の準備をするとしよう。

 エストックを抱えて薪まで戻ったあとは柄の部分を地面に刺し剣身の部分に切り分けた地竜の肉をぶっ刺していく。
 そして剣身に刺しておいた肉が、薪で焼かれるようにエストックの角度を調整してから塩を振る。
 しばらくすると、肉が焼ける音と共が辺りに木霊する。
 
「さて、次はスープだな」

 鋼鉄に近い地竜の骨を木刀で叩き割り、それを鍋の中に入れて鶏ガラスープならぬ龍ガラスープを取る。
 そのあと、ニンジン、ゴボウ、大根などの乾物などを水で戻しナイフで切り分けたあとは、竜ガラスープの中に投入。
 最後に焼けた肉を切り分けたあと、スープに投入し味のアクセントとして利用する。

「よし! 出来た!」

 我ながら久しぶりの竜種を利用した料理だ。
 中々だと自負している。
 まぁ、終焉の森には竜とか鹿とか熊くらいしかいなかったからな。
 他は竜の餌になるし……。
 竜の調理に得意になるのも致し方ない。

「カズト君……」
「起きて大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫。それより、これは……、竜の肉ですか?」
「そうだな」
「懐かしいわね」
「そうか?」

 俺は、ルメリアの言葉に思わず首を傾げる。
 
「だって、カズト君が私を助けてくれた時に振る舞ってくれたのは竜の肉だったでしょう?」
「かもしれないな」

 どれだけ前の事を言っているんだ。
 というより、終焉の森によく来ていたルメリアには、よく家に泊まっていた。
 何のために何度も来ているか疑問に思っていたが、以前からダラダラしていた彼女には何の目的もないのだろうと考えて食事の用意をしていた。

 ただ、食材が限られている終焉の森で出せるのは竜か鹿か魔力で暴走した熊くらいな物で、何度――、竜の肉を食卓に並べたのか思い出せない。
 なので、最初に振る舞った肉は竜の肉の可能性は非常に高い。
 
「とりあえず飯にしよう」
「アリス、俺がルメリアを座らせるからな」
「わかりました」

 体を支えていたアリスからルメリアを預かり彼女を座らせたあと、木の器に竜ガラと乾物を入れ煮込んだスープを盛る。
 あとは、肉をエストックから切り出して、コレも木の器に載せていく。
 最後にパンを同じく器に。

「これはルメリアの分な」
「悪いわね」
「気にするな。前からの付き合いだしな」

 ルメリアに食事を渡したあとは、アリスにも同じものを盛っていく。

「アリスは、これな――」
「はい。それにしても……、本当に地竜を倒したんですね」
「分かるのか?」
「はい。向こうに濃厚な魔力の残滓を感じますので……」

 よく見るとアリスの目が緑色に光っている。
 エルフ特有の物か……。

「とりあえず食べよう。あまり遅くなると暑くなるからな」

 いま居る場所は、街道沿いとは言え荒野のど真ん中。
 太陽が昇ればあっという間に木陰に無いから暑くなる。

「そうね」
「はい」

 二人が食事を始めたのを見ながら、俺はエストックに刺してある肉を切り分けルメリアの皿に盛っていく。

「カズト君!?」
「竜種の肉は魔力をふんだんに含んでいるから、多めに食べておけ」
「……わかったわ」




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