神装聖剣ファフニール

なつめ猫

オアシスの都市ウィンデル(3)




「アリス、お前のせいで奴隷商扱いされているんだが?」
「――え? どうしてですか?」

 アリスが、アンゼムの方へと視線を向ける。

「いや、この男が幌馬車を素手で運んでいたもので……、それで不審に思い確認していたところなのです」
「そうなんですか? カズトさんは、元々・旅の剣士さんですよ? ですから商人は、旅のついでにやっているだけですので奴隷商人でもなんでもないですよ?」
「本当なのか?」

 いまだに懐疑的な視線を向けてくるアンゼムに俺は思わず溜息が出る。
 どうして、いつもこう平和な旅が出来ないのかと思う。

「はい! だってアンガスの町長からの許可証をもっていますよね?」
「そういえば……」

 どうやら判断がつかないようだな。
 面倒ごとは困ることだし、さっさと宿で休みたい。
 ここはさっさと通してもらうように話を誘導した方がいいだろう。

「アンゼム」
「何だ? どうしてお前はいきなり俺の事を呼び捨てしてくるんだ?」
「そんなことはどうでもいい。武芸者なら、幌馬車を引ける奴くらい何人かいるだろう? そいつらの力比べをした方が早いんじゃないのか?」
「力比べだと?」
「ああ、腕相撲で俺の腕力を見てみたらどうだ?」
「――ほう……」

 俺の提案にアンゼムが目を細める。

「誰か、先生を連れてこい! こいつの腕力を見て見る」
「カズトさん――」

 兵士達に、アンゼムが命令を下している。
 すぐに兵士は町の中へと走っていき姿が見えなくなり。

 その間に、アリスが近づいてくる。

「どうかしたのか?」
「カズトさん、手加減してくださいね。カズトさんが本気を出すと問題になってしまいますから」
「分かっている。お前は、俺をどういう目で見てきているんだ」
「だって、カズトさんは敵対した人に遠慮しないので――」
「たしかに、その通りだが――、こういう時は相手にこちらの実力を見せればいいだけだからな。全力を出す必要はない」
「そうですね……」

 しばらく閉門した門の前で待っていると黒髪の美女が姿を現す。

「――ん? あれは……」

 思わず首を傾げる。
 
「カズトとやら! このお方と腕相撲をしてもらおうか! この方は、人族の女性に見えるが! 黒龍神族のエルザ様なのだ! この方と腕力勝負をして勝てれば認めてやろう!」

 おいおい、一般の剣士に竜と力勝負を強制してくるとか……。
 
「……どうして、ここにお主がいるのだ!?」
「エルザ殿、この方をご存知なのですか?」
「――う、うむ。こやつは我エルザの知人なのだ。こやつなら幌馬車を引くことなど造作もないことだ」
「そ、そうでしたか……。エルザ殿が、そう言われるのでしたら……」
「おいアンゼム」
「――は、はい」
「それでは町の中に入ってもいいな?」
「もちろんです……」

 俺を睨みつけながら頷いてくる。
 どうやら、嫌われてしまったようだな。
 まぁ、別にいいが……。

「――さて、アリス。さっさと宿を取りにいくぞ」
「――は、はい。良かったですね。何の問題も起きないで」
「そうだな」

 幌馬車のハーネスを持ったあと、幌馬車を引いて移動する。

「まてまて! カズト! どうして、ここにいるのだ?」
「居るも何も、逆にどうしてお前がここにいるんだ?」


 

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