神装聖剣ファフニール

なつめ猫

大陸の異変(9)




 人通りが少ない大通りを歩く。
 
「アリス、昨日よりも人通りが少ないようだが?」
「ええ、昨日は夜遅くまで皆さん飲んでいましたから……、まだ寝ているのでしょう」

 彼女の言葉に疑問を抱きながらも、深く首を突っ込むことでないかと思い黙って後ろを着いていくことにする。
 大通りを歩き、路地に入りしばらくすると2階建ての建物が見えてきた。
 
「あれが、町長の家なのか?」
「はい」

 アリスは、「しばらく待っていてください」と、答えてくると小走りに建物に近寄り扉を数度ノックしたあと「アリスです。カズト様をお連れしました」と、大きな声を発していた。
 
「アリス?」

 建物の扉が開き中から出てきたのは20代の女性。
 ただ、俺が今まで見てきた人間とは聊か赴きが違うように見える。

「ネーア、カズト様をお連れしたとヘリバイン様にお伝えしていただけますか?」
「わかったわ、少しまっていてね」

 中から出てきた女性はすぐに建物の中に入っていく。
 そして、すぐに戻ってきた。

「ヘリバイン様が用意をしているから客間まで案内するわ」
「カズト様、行きましょう」

 アリスと、ネーアと呼ばれた女性に案内された客室には凝った作りをした椅子やテーブルが置かれていた。

「それでは、こちらのお部屋でお待ちください」
「わかった」
 
 ネーアが客間から退出したところで俺は椅子に腰かける。
 しばらく待っていると、室内に老婆とヘリバインが入ってきた。
 二人ともテーブルを挟んだ反対側の椅子に座ると、俺のほうを見てくるが先に俺の方から用件を切り出すことした。

「アリスから、会いたいと聞いていたが何か用件でもあったのか?」
「はい。じつは――」

 ヘリバインが一枚の地図と木の板をテーブルの上に置く。

「これは?」
「はい。これはアンガスの町の住民という証である身分証明書と最新の地図になります」
「これをくれるのか?」
「はい、バルティア様のお知り合いであり私達を救ってくださいましたから、それに旅をしているようでしたら必ず役に立つかと――」

 ヘリバインは指を組みながら答えてくる。

「なるほど……」

 俺は頷きながら地図を広げる。
 地図には無数の赤い点が描かれていた。

「この赤い点は?」
「はい、赤い点は居住する者が居なくなった町や村になります。黄色が居住する者がいる町や村です」
「ふむ……」

 地図を見る限りでは、バルティアの居た砦が北西の国境沿い。
 そこから南東に視線を動かす。

「白い線は道というところか」

 俺の問いかけにヘリバインは首肯する。

「そうか。それにしてもバルティアの居た砦からアンガスの町まで赤い点が多いが、黄色の点も3つほどあるんだな」
「はい。以前は10近くあったのですが……」
「……」

 ヘリバインの言葉に俺は無言になる。
 これ以上は、首を突っ込まない方がいいだろうと思ってだ。

「心遣い感謝するが、魔物を倒したのは何となくだったから気にしなくていい。それよりも、そろそろ暇しても?」
「少し、お待ちくだされ。実は、カズト様にお願いしたいことが……」
「お願い?」
「はい。実は、町の近くに発生した迷宮を何とかしてほしいのです。もちろん報酬はお支払いいたします」
「それは町の兵士だけでは無理なのか?」
「それが……、じつは侵食型迷宮なのです」
「……ふむ」

 町長の言葉を聞いて貿易都市ロマネで発生した侵食型ダンジョンのことを思い出す。
 あの時は、深遠の大破壊竜を倒すために作られた神兵を倒すためにエイレンと協力して神装聖剣を発動させて倒せたが……。
 
「つまり……、昨日、襲ってきた昆虫の魔物は――」
「はい。ダンジョンから沸いてきた物です」

 俺は深く溜息をつく。
 ダンジョンから魔物が出てくるということは、ダンジョン内にかなりの数の魔物が居るということだろう。

「それで、その報酬がアンガスの町の住民証明書と地図って訳か?」
「はい」




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