神装聖剣ファフニール

なつめ猫

嵐呼ぶ剣魔大会(9)アリエルside(前編)

 魔法文字を利用して闘技場上を別空間として作り替えていた結界を無理矢理破壊していく閃光を見て私は思わず「ドラゴンロア――?」と、呟く。

 膨大な魔法文字を利用して作り出す空間は、魔法文字を組み合わせる事で多種多様な空間を作り上げる事が出来るけど、今回使われていたのは、外部からの視認不可、内部からの脱出不可、一定時間経過後の解除の3つであった。

 普通の攻撃では、無数の魔法文字で編まれた空間を破壊する事は出来ないけど……黒龍神族が使う、龍咆哮――ドラゴンロアは別。

 あらゆる全ての魔法を無効化し破壊し尽くす問答無用の理不尽魔法! その魔法が、たった今! 決して破壊できないと言われていた最高硬度を誇る、無数の魔法文字により仕立てられた空間を完膚なきまで破壊したのだ。

「誰か、黒龍神光臨使ったんだよね……あとで、魔法文字のための賠償金とかすごくとられそう……」

 私は、目の前で崩壊していく空間を見ながらため息をついていると。

「なんだ……他の女共は別の奴らと戦ってたからこっちに来たんだが――こんな、よわっちいのしか残ってねーのかよ」
「え……?」

 私は声がした方へと振り向く。
 そこには、背中から漆黒色の1対の蝙蝠の翼を生やした男が立っていた。
 その男は金髪の髪をオールバックにしており、黒いタキシードを着ている。

 私は、その男の姿を見てすぐに誰かか思い至る。

「その姿は……魔族の方ですか?」
「俺の姿を見ても驚かないってことは、耐久力があるのか? それとも、それだけの実力があるのか? それとも……実力差が分からないほどの学生なのか? まあ、お前らが魔族と俺たちを差別してるがよ……お前らだって似たようなモノだろ? 造られたプロセスが違うだけでよ」

 目の前に立っている私のよりも頭一つ? ううん2つ分は身長が高い男は、薄ら笑いを浮かべながら金色に輝く獣のような瞳でまっすぐに私を見てきた。
 私はその目を見返しながら。

「何を言ってるか分かりません。ですが、どうやって剣魔大会に魔族が紛れ込んでいるのですか? ここは貴族学院に学生として登録している人間しか参加してはいけないはず」

 私の言葉を聞いた男は大声で笑う。

「お前らは人間は愚かだな! 俺たち魔族を自国内に引き入れたのはお前らの国の貴族達だぜ?」
「俺たち?」

 私は、ゆっくりと腰に差してある木刀を右手で抜くと目の前の魔族に向ける。

「まぁ、お前はここで殺すから教えてやるよ! 七魔皇の大半が剣魔大会に参加してるんだぜ? まずは剣魔大会に参加してるお前らを血祭に上げた後に、俺たちを魔族と知らず引き入れた貴族共を皆殺しにしてから――」

 魔族の男は、途中で語りかけるのを止めると、一足飛びに私に肉薄してくると片手を振るってくる。
 私は振るわれた腕を木刀で弾くと、互いに目を見張った。

「ほう――俺の拳を捌ける人間がいるとは思わなかったぞ?」
「こちらも、驚きました――」

 私は、片手で握りしめていた木刀を両手で握りしめる。
 【桂木神滅流:疾風雷神】を発動して、身体中の細胞を強化していたにも関わらず右手が痺れていた。

 さすがは、戦闘に特化した種族といったところだろう。
 イスペリア貴族学院では習っていたけど、本当に桁外れの力を力を目の前の魔族はもっている。

「さて、小手調べはこのくらいにしておこうか? どうやら、他の連中もお前の仲間とやらに敗れたようだしな」 
「私の仲間に――?」

 私の言葉に男は頷きながらも「まずは40%でいいか?」と呟き、私の方へ視線を向けてきた。
 とたんに私の全身に寒気が走る。

「俺の名前は、七魔皇の一人フェルデザード! お前を殺す者の名だ!」

 男の言葉が圧力となって私の全身に降りかかる。
 一瞬で、頭の片隅に鮮明な死のビジョンが浮かび――。
 私は、自分自信の直観に従って後方へ跳躍する。
 その瞬間、男の拳が大地に突き刺さり大地が爆発した。

「くうっ……」

 私は後方に跳躍していたことから直接の被害は受けなかった。
 ただ……私は飛んできた岩や石などの破片を避けきれず体中に切り傷を作っていた。

「ほう? よく避けたものだ。そういえば貴様の名を聞いていなかったな?」

 男は、私の方へと視線を向けながら語りかけてくる。
 その様子は、まるでこちらを歯牙にもかけないようにも思える。
 私は一瞬、皆の顔が思い浮かんだ後――。

「わたしは――」

 途中で私は話しを止め、口の中に転がっている異物を地面の上に吐き捨てる。
 地面に転がった異物であった歯を見て私は眉をひそめた。

「私の名はアリエル。フェルデザード……貴方は許さない!」





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