神装聖剣ファフニール

なつめ猫

武器屋(5)

 ハンスムは、すぐにディフェンダーを手にとると、店の奥へと向かっていった。
 しばらくしてから、金具を叩く音が聞こえてくる。
 するとエイレンが近づいてくる。

「ねえねえ?」
「――ん? どうした?」

 エイレンが、カウンター前に立って、ディフェンダーのバランス調整が出来上がるのを待っていた俺に話しかけてきた。

「カズトが選んだのって、いつもカズトが使っている木刀の硬いやつだよね?」
「まあ、そうだな……」
「でも……ディフェンダーなんて必要だったの?」
「必要かどうかと言われれば、予備の武器として必要だったというところか……」
「そうなんだ……」
「ああ、それに桂木神滅流は、もともと刀身に凄まじい負荷がかかるからな。それを軽減するために終焉の森に生えている樹齢数千年の大木から削りだした木を使って、魔術回路を刻んでいるわけなんだが……」
「あー。たしかに! 終焉の森に生えている御神木は硬いよね!」
「そういうことだな、だから基本は、木刀で事足りているんだが……」
「素材がないから使えないってこと?」

 俺は、エイレンの言葉に頷く。
 正直、御神木から削りだしたものでないなら、どの武器を使っても大差などない。
 ただ、日本刀は桂木神滅流の技を振るう上で最適な武器であるし、ディフェンダーについては店で一番頑丈なだけであった。

 しばらくすると、ハンスムが戻ってきた。
 そして、ディフェンダーを俺に差し出してくる。
 数度、ディフェンダーを振り重心を確認しているとハンスムが「どうだ?」と問いかけてきた。

「問題ないな」
「それは良かった。とりあえず、武器は用意してやったからな、五体満足でもどってこいよ?」

 ハンスムの言葉に俺は頷きながら腰に日本刀を差す。
 そしてディフェンダーを背中に背負う。

「しかし、1年前に購入した物だが、まったく売れなかったから、もう売れないと思っていたな」
「一年前?」
「ああ、それは旅の剣士が売りに来た物だ。なんでも何れ必要となる者がくるだろうって金貨1枚で売って行った。まぁ、その後は、まったく売れなかったがな!」

 ハンスムは溜息混じりに話してくる。
 だが、俺はハンスムの話を聞いて余計に興味が湧いた。

「売りに来た剣士の特徴は?」

 日本刀を使う人間。
 森を出てから、日本刀を使っていた人間を俺は見た事がない。
 もしかしたら祖父か? と思ってしまう。

「口元を隠していたから良くは分からないが年は40歳くらいで金髪碧眼の男だったな」

 俺は落胆する。
 祖父は少なく見積もっても90歳前後だ。1年前で40歳はない。
 つまりまったく無関係な人間が売りに来たって事になるのか?
 でも何れ必要になる者があらわれるという言葉を聞くと、首を傾げずにはいられない。
 どちらにしてもこれ以上は考えても答えは出ない。

「そうか、世話になったな。また、何かあったら……」
「その時は、金を払えよ!」
「分かっている!」

 ハンスムの言葉に、俺は答えたあとカウンターの上に置いてあった筒を手にとり店から出た。
 店から出てしばらく歩く。
 さすがに、貿易都市ロマネの元々の玄関口通りだったということもあり人の数は多い。

「ねえ? カズトが持っている銀色の筒は何なの?」

 エイレンが、ハンスムの店から離れたことを確認したのか聞いてきた。

「ああ、これはな……。ここだと、あれだから、少し歩こうか」
「うん!」

 エイレンを連れ立って、俺は貿易都市ロマネの道を歩き、人通りが少なくなってきたところで、自分が借りている宿に入る。
 部屋に入ったところでエイレンに椅子を勧めたあと、手に持っていた銀色の筒に目を落とす。

「実はな、これは神代文明の遺産になるんだ」
「神代文明の遺産って!? そ、それって!?」
「ああ、たぶんこれは……俺も祖父が持っている本でしか見た事はないが」

 俺は、体内の生体電流を暴走させないように手に持っている柄に集中させる。
 まだ本調子でないことから、いつも通りに生体電流を扱うことが出来ないが……それでも手に持っている柄に、生体電流を流すことには成功。

 手にもっている柄の先端から空気が震える音と同時に1メートル程の光の刃が生まれた。

「カズト、それって……」

 エイレンの言葉を聞きながら、祖父の持っていた本に書かれていた物と同じだと少し感激しながら振るう。
 真空の刃を生み出す事は出来ないが、強度を気にせずに使用できる武器というのはかなり使い勝手がいい。
 しかもこの武器は、超高温の熱量を発しながら攻撃をする事もあり威力も相当高い。

 俺は魔力を流すのを止める。
 すると柄の先端から作り出されていた光の刃も霧散する。

「これは、フォトンブレードっていう神代文明の武器だな。まぁ簡単に言えば人の精神エネルギーを共感金属を利用して増幅させる事でエネルギーとして利用した上で武器として利用できるようにした白兵戦用武器だと本には書かれていた」

「う、うん?」

 エイレンが頭を押さえながら、「よく分からないけど、すごい武器なんだね!」と語りかけてきた。

「そうだな、すごい武器だ、とりあえず、あの場でハンスムに言わなかったのは、神代文明時代の武器なんて問題になるからだ」
「そうなの? 人間ってそんな下らないことで問題になるのね? よくわかんない!」
「だろうな。龍とは違うってことだな」




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コメント

  • cardinal

    フォトンブレードに魔力を流す描写が
    ありましたけど
    和人って魔力が一切ないんですよね?

    0
  • ノベルバユーザー42648

    刀なら分かるけど、何で日本がない世界の話なのに日本刀という名前があるんですかね?

    3
  • ノベルバユーザー810

    なんで索敵【魔法】を使えているの?魔法は使えないんじゃないの?設定大丈夫?てか作者の頭大丈夫?

    6
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