神装聖剣ファフニール

なつめ猫

砕けた魔剣(前編)

「俺を誘き寄せるのが目的?」
「うん――」

 エイレンは、俺の言葉に即答してくるが、俺を誘き寄せるのが目的と言っても、俺は誰かに恨まれるような事はしてな――。

 途中まで考えたところで、王都ファフニールの王城で桂木神滅流の技を使ってきた者について思い出す。
 もし、仮に俺が追っていることに気がついたのなら。

 追いつかれないように足止めをした可能性も?
 いや――それはないな。
 俺と同じ【桂木神滅流】の使い手なら、通常の魔物程度では、【桂木神滅流】の担い手の足止めすら出来ない事は理解できているはず。

「そうか……ただ、俺を誘き寄せるわりには敵が弱すぎるというか――」
「うーん」

 俺の言葉にエイレンは顎に手を当てて考えているが。

「エイレン、俺を誘き寄せるという目的を調べたときに魔物の記憶を読み取ったんだよな?」
「読み取ったけど?」
「エイレン、魔物に指示を出した奴の様子は分からなかったか?」

 エイレンは否定の意味を込めて頭を振ってくると、「分からない。命令は、音声では無かったみたい」

「音声ではないと言うことは、魔法か何かの術式ということか?」
「ううん、私って表層心理しか読み取る事が出来ないから……」
「つまり――深層心理に働きかけて動かしている可能性があると言うことか?」
「わからない……でも、カズトも知ってるとおり記憶障害には、いろいろな要因が絡んでくるから――」

 俺はエイレンの言葉に「確かにな……」と返す。

「まぁ、命令されていたということが確認できただけマシってところか?」

 エイレンは頷きながらも、どこか納得できない表情で「カズト、一つ気になる点があったんだけどね」と問いかけてくる。

「気になる点?」
「うん。どうもね、白龍神族の固有魔法――記憶を読み取る力まで視野に入れていたみたい。でも、問題は……私達、白龍神族の固有魔法を知っている人なんて限られると思うの」
「たしかに……【終焉の森」に来る奴なんて限られるからな……」

 深淵の森で活動出来て、白龍神族を知っていて、【桂木神滅流】を扱える人間なんて、俺が知る限り祖父くらいしか思い浮かばない。
 ただ、祖父がローレンス王国に攻撃を仕掛けれるとは、到底思えない。

「やはり、不可解だな」

 俺はため息をつきながらエイレンの方へ視線を向けると、彼女は穴が開いた城壁から外を見ていた。

「どうかしたのか?」

 俺の問いかけにエイレンは、城壁の外を見ながら「カズト……こ、これは、少し不味いかも――」と答えてきた。

「何がマズイんだ? 一体、どうしたんだ?」

 俺は、エイレンの傍まで近づき城壁の外を見て溜息をついた。
 数えきれない魔物が貿易都市ロマネに近づいてきている。
 まだ、かなりの距離がある事から音は聞こえないが、すぐに地響きが聞こえてくるだろう。 

「カズトどう?」

 俺はエイレンの問いかけに頭を振る。
 自分の生体電流を操り、増幅し電波に変えてから飛ばし周囲の光景、生命活動を確認する【桂木神滅流:神眼】。

 俺の【桂木神滅流:神眼】の有効探索範囲は3キロを超えるが、その探索範囲内に魔物の数がぎっしりと表示されている。
 しかも、魔物が南側から向かってきている。

「まずいな――。ローレンス王国とカイゼル帝国の砦から生物の反応が見当たらないぞ?」
「か、カズト……そ、それって……!」
「ほぼ間違いないな、両国の国境の砦が魔物に落とされたとみて間違いない。魔物の数だが大体の概算でいいなら分かるがどうする?」
「い、一応聞いておく――」

 エイレンが、ため息交じりに答えてきたこともあり、俺も溜息まじりに3万くらいだと伝えると、「間違いなく足止めじゃなくて私達の命を取りにきてるよね!」と元気よく語ってきた。
 おれは、エイレンの言葉にそうだな、としか答えない。

「さて、ここで迎撃するのもいいが、あまり都市に近い場所で迎撃した場合、打ち漏らすと都市に住む人々に危害が及ぶ可能性がある。エイレン、お前は俺が打ち漏らした魔物の処理をしてくれ。俺は向かってくる魔物を殲滅する」

 俺は、エイレンに指示を出す。
 エイレンが頷くのを確認し、俺はペンダント型のアイテムボックスを起動してから空中から魔力がまだ回復しきっていない【水刃の太刀】を取り出し右手に携え近づいてくる魔物の群れに向けて走り出す。





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