神装聖剣ファフニール

なつめ猫

エルランス国王陛下が空気だな(後編)

「カズトは私が好きに決まっている!」

 ミニ化している80センチくらいのもふもふ龍であるエイレンが威高々に宣言してくる。

「カズト様は私がお嫌いですか?」

 ラフラは俺に問いただしてくる。
 二人の話を聞いて俺は否定的な意味合いを込めて頭を振る。

「いや……俺は、二人とも同じくらい……どうでもいいかな?」

 俺の答えを聞いたラフラとエイレンはショックを受けていた。
 すると、離れた場所から数人の男達と女性のゴタついているような声が聞こえてくる。

「アンジュ様! お待ちください。何が起きたか分からない以上、謁見の間に入るのは危険です」

 謁見の間の入り口から、赤いドレスを身に纏ったラフラを大人っぽくした美女が謁見の間に姿を現した。
 そして、謁見の間の状態を見渡し呆けた後。

「こ、こここ、これは一体どういうことです? ラフラ! 貴女、また問題起こしたのね!」

 アンジュと呼ばれていた20歳くらいの美女がラフラに近づくと、一度ラフラを引っぱたいた。

 俺は二人の関係性が分からない事から身動きを取る事ができなかったが、もう一度アンジュという女性がラフラを平手打ちしようとしたので腕を掴んで止めた。

「それは誤解だ。謁見の間を7割くらいの原因はこのエイレンが原因だ! ラフラは関係ない」

 俺は腕に抱き抱えているミニ龍化したエイレンをアンジュとやらに見せる。
 するとエイレンを見たアンジュは体を振るわせると、俺が抱きかかえていたエイレンを見て顔を少しだけやさしげにすると、それに気がついた俺を強気な目で見てきた。

「貴方、見た事がないわね。王族でもない人間が、わたくしに意見をするなど……」

 そこでアンジュと呼ばれていた女性は、話の途中でエイレンの威圧に当てられて、体を震わせながらその場で気絶して倒れた。
 どうやらミニ龍化してもエイレンの威圧は健在のようだな。

 それにしても、このアンジュという女は何者なんだろうか?
 一緒に入ってきた兵士達は倒れたアンジュという女を介護しているし。

 それに……。

 俺はラフラの方へ視線を向ける。
 ラフラは自身の頬に手を当てながら体を震わせていた。
 まるで、それは小さい頃から折檻された子供特有の様子に近い。

「カズト、この女……そこの女のお母さんだと思う」

 俺が抱きかかえているエイレンが少しだけ口調を和らげるとトーンを下げた声色で俺に話しかけてきた。

「この女が、ラフラの母親? その割にはすぐにラフラを引っ張ったいていたが?」

 俺は疑問を口にしながらもエイレンの言葉には妙に納得してしまっていた。
 この国の王女であるラフラに害を及ぼせるのは、両親か兄妹くらいなものだ。

「カ、カズト殿」

 そこで俺にエルランス国王が話しかけてきた。
 あ、そういえばエルランス国王陛下と謁見の途中だった。
 途中からエイレンとかラフラと言った濃い人達が出てきたから、まるで存在を忘れていた。

「すいません、エルランス国王陛下……謁見中だと言う事とエルランス国王陛下が居ると言う事をすっかり失念していました」

 俺の言葉に、エルランス国王陛下は額に青筋を立てていた。
 正直に話したのに怒るとは大人げないものだ。

「おほん。すまない、カズト殿。そしてエイレン殿。この者はローレンス王国のエルランス国王たる余の妻であり王妃でありラフラの母親でもあるのだ」



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