花魁男子!!
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はい。ということで、番の契約もやらなくて済んだし、暇だね俺。
あいつらは未だに番があーだこーだ言い合っている。
とりあえず元の世界に帰れればいいんだけど?
ここまで現実離れしてると夢なのかもっていう気すら出てこない。
そういうもんなんだって。
人間疑問を捨てたら終わりだとは思うけれど、ここまできたらしかたがない。
本当にやることの無い俺は、遊郭の外に出ることにした。
着物のまま行こうとしたら、門番に止められた。それで、服をくれたんだけど...
なんじゃこりゃ?
なんかマリモみたいなカツラにだてメガネ。ダボッとしたパジャマみたいなのを渡された。
さすがにださすぎるよこれ。上下グレーってどうよ?
まあ小学生のときはこんな格好のときもあったけど、いまはさすがにないよ!
「あの...さすがにこれはちょっと...?」
「あー、ださいっすよね。」
え?わかってて渡したの?
「瑳都里さんにそれ渡せって言われたんすよ。俺もこの格好の方がいいと思いますし。」
「え?なんで?」
「詳しいことは聞かないで欲しいっすね。瑳都里さんに怒られちゃうんで。」
「理由ぐらい教えてください。」
変な理由だったらぶん殴るぞ!
「そんなうるうるした目で見ないでくださいっす!!うぅぅ...」
いやそっちこそうるうるした目で見るなよ!
ぐっここはにらめっこだっ!
「事件に巻き込まれるからっすよ。それだけっ。いいから着てくださいっす!」
遊郭の外に出してもらえるだけで自由なのだと門番は言う。
まあたしかに花魁って誘拐されそうだしな。
高値で取引...まじでやめてほしい。俺は金じゃ買えないくらい高価だぞ!!
人間みんな物じゃないんだからな。ぜったい誘拐とかしちゃダメだぞ!
はい。
遊郭の外は高層ビルの建ち並ぶ大都会だった。
まるい形の車とか、宙に浮いてる自転車とか、見たこと無いものばかりだ。
そんなこんなと感心していると...。
バァッコォオオオオン
ものすごい爆発音がしたと思ったら、目の前が急に真っ暗になった。
「あれ−?美人の気配がしたんだけど...いないなぁ?」
そんな声がした気がしたけど、俺は意識を保っていられなかった。
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