ただの世界最強の村人と双子の弟子
第40話 合流
===魔神視点========================
「う、うぅぅぅん……」
体が揺れるのを感じながら妾は目を覚ます。どうやらまた妾は気絶しておったようじゃ………。目の前には灰色と黒色が交互にある髪が見える………。確かその髪の色はエルガじゃったような………。
「おっ、起きたみたいだね」
「………ここは?」
「森の中さ」
「……ああ、そういや洞窟から森に向かって………それからどうなったんじゃ?」
「どうなったも何も、オリナ以外は何もなかったよ?」
「………あれ?お主、こんなに背が高かったか?」
妾は今、エルガにおぶられているのは分かったのじゃが、地面から少し高いし、妾の頭とこやつの頭の位置が近いような気がする……。
「ああ、それくらい出来るよ。何たってフェニックスになれるんだから、これくらい訳ないよ」
「……そういや、お主も規格外じゃったな………」
「はは、酷いな………」
===リリ視点========================
「もうすぐかな?」
「うーん、何か遠くに崖が見えているけど………」
私とルルは話し合いながら進む。一応、"千里眼"もしてもらってがっつり探すつもり。
「おーい、そんなに早まるなよー」
ちょっと後ろでは、さっきまでオリナと喋っていたエルガさんがいる。オリナはまだ体が重いって事でまだおぶられているけど………
「…………っ!何か来る!」
「べえっ!」
ルルの緊迫した声に私とエルガさんも身構える。後ろでオリナが情けない声を出したけど、気にしてられない。私とルルは『ソウルウェポン』を顕現させ、エルガさんは気に入っているというモデル・ウルフになり、犬のような耳に、鋭い爪、腕や脚、横腹まで、銀色の体毛を出しています。
そして、いよいよ飛んで来たものの正体が………!
「あぁぁぁぁあっ!!」
「しっ!師匠!?」「お師匠様!?」「うっわ~、ユウキか……」
一人だけおかしな反応をした人がいましたが、そんな事より師匠です!師匠が飛んで来ました!良かったです!師匠が無事で………!!
「おいおいおい!どけろ~!リリ!!」「……っ!姉さんっ!!」
「へ?」
意識を正常に戻したら、目の前には師匠が………
(ゴッチーーーン!!)
「いってぇぇ!!リリの頭!いってぇぇ!!」
「なっ!なんて事を言うんですか!?訂正してください!!師匠~!!」
綺麗に頭と頭がぶつかりましたが、私は大して痛くなく、師匠が悶絶して転がり回っていました。その時に失礼な事を言ったので、師匠に訂正を求めるました……。
「あ、イタタタタ。まだ頭がズキズキする………」
「まだ言いますか師匠!」
「いや、だっておかしいだろっ!?さっき太ももを貫通されて激痛が走ったのに、それを上回る激痛を弟子との頭ゴッツンコで受けたんだぞ!!そりゃー引きずるに決まってんだろっ!!もっと言ったら、胸を貫かれた時より痛ぇ!!」
「それは流石にあり得ませんっ!!」
「い~や、ほんとだ!胸を最近二回も貫かれた俺が言うんだ!間違いねぇ!!」
「いや、そんな争いよりさっさと本題に入ろうよ」
確かに、師匠の太ももには握りこぶしあるかないかくらいの穴が空いており、師匠の体からは魔力がほとんど感じられません。身体中は傷だらけなのは言うまでもありません。
「あっ、そうだな……。でもその前に……」
師匠はゆっくりと痛そうにしながらも立ち上がり、私とルルの近くに立ち、
「なんでお前らがここにいるんだっ!!」(ゴチン!ゴチン!)
「ひぃぃぃいっ!!」
拳骨を振り落としてきました!それには流石に予想外で、私達はそのまま倒れ込んでしまいます。オリナは拳骨を受けていないのに、膝を抱えて震えています。
「いっ!いや、だって!!」「お師匠様の為に!!」
「うるせ………ぇ」
「「え?」」
再び師匠が拳骨を振り落とそうと手を挙げるのを見て、私は目を瞑りましたが、拳骨は来ず、代わりに何かの液体が私の顔に落ちました。恐る恐る目を開けると、赤黒い光のようなものに胸と両腕、右足の太ももを貫かれ、血反吐を吐いた師匠がいました。師匠を貫いた光は、暫くすると抜け、師匠はそのまま、私とルルのところに落ちて来ます。それを見て、漸く現実に戻ってこれて………
「……!師匠!!」「……!お師匠様!!」
私とルルで抱き抱えて受け止めます。師匠は呼吸こそしていますが、弱々しく、もう虫の息といえる状態です。
「……!我が主人!!」「……!ユウキ!!」
ちょうどティフィラさんと技姫さんが駆けつけてきました。その後ろに恐る恐る師匠を見ているオリナがいます。エルガさんは、光が戻って行った場所を射殺さんとばかりに睨みつけています。
「ユウキっ!ユウキっ!しっかりしてっ!!ユウキっ!!!」
「今から体内に戻り、内側から治療を開始します!」
「わ!妾に何か出来ることはないかっ!?」
慌てふためくオリナに、涙を流しながら声をかけるティフィラさん、早々に元に戻った技姫さん。みんな、師匠がやられるなんて思っていなかったから慌てている。でも、私とルルは冷静に状態を見ている。だって、師匠を助ける為には冷静にならないといけないから!
「ティフィラさんとオリナは師匠に回復魔法や止血、魔力の譲渡をしてください!!」
「………エルガさんはここを守ってください」
「私とルルは!」
「………あの光の相手をします」
「ちょっ!待てっ!!」
後ろから呼び止めるエルガさんの声が聞こえるけど気にしない。"身体強化"を使って一気に奥に向かう。すると、行く手を阻むかのように、師匠を貫いた光がたくさん飛んでくる。以前の私達なら驚いたけど、今は驚く時間すら惜しい……!
「ルルっ!!」
「………任せて」
ルルの張った防壁は私達を包み、赤黒い光を防いでくれる。………何故だか分からないけど、普段以上の力が出せる!心に恐怖も無い!ルルと一緒ならっ!!私とルルは進む。奥に潜む敵を目指して……。
「……何これ?」
突き進んだ先にあったのは、赤黒い光が蠢く空間。その中心に人かどうかも分からないものがある。
「取り敢えず!あの中心を叩くよっ!ルル!!」
「………分かってる、姉さん!」
ルルの放った"クラノサグト"を、私の『ソウルウェポン』で吸収し、一気にその中心を斬りつけるけど、
(ガキィィィン!!)
「うわっ!何これ硬っ!!」
「………!姉さんっ!!」
「え?きゃぁぁぁっ!!」
「姉さんっ!!きゃっ!」
剣を弾かれ、体勢を崩した私に、赤黒い光が押し寄せ、強い衝撃を与えてくる!ルルもどうやら同じようで、悲鳴が聞こえた。私もルルも吹っ飛ばされ、ちょうど同じところに転がった。
「ぐぅっ!!かはぁっ!!」
「うぅぅっ!がはぁっ!!」
何とか立ち上がろうとしたけど、口からは血が出て、血溜まりが出来る。ルルも隣で同じようになっていた。力を振り絞って出来たのはルルと背中合わせで座る事だけ。奇しくも親と同じ状態になりました。
ああ、私達は死ぬのかな?師匠ですら負ける相手に突っ込んでいったから当たり前かな……。
『ん?死ぬのは怖くないのかって?』
『はい、私は死ぬのは怖いです。ですから、それを克服する為にも師匠の意見をと思いまして……』
何故か思い出す師匠との会話。……これが走馬灯ってやつなのかな?
『うーん、それより俺は自分が死ぬ事より、他の奴が死ぬ事が怖いな』
『『え?』』
『俺は自分が死ぬ事によって、他の奴が死んで欲しくない。だから…………』
「「……た…た………かう」」
私とルルが同じ事を呟いた瞬間、私達を中心にして輝き始めた…………。
===============================
少し遅れてしまって申し訳ありません!
「う、うぅぅぅん……」
体が揺れるのを感じながら妾は目を覚ます。どうやらまた妾は気絶しておったようじゃ………。目の前には灰色と黒色が交互にある髪が見える………。確かその髪の色はエルガじゃったような………。
「おっ、起きたみたいだね」
「………ここは?」
「森の中さ」
「……ああ、そういや洞窟から森に向かって………それからどうなったんじゃ?」
「どうなったも何も、オリナ以外は何もなかったよ?」
「………あれ?お主、こんなに背が高かったか?」
妾は今、エルガにおぶられているのは分かったのじゃが、地面から少し高いし、妾の頭とこやつの頭の位置が近いような気がする……。
「ああ、それくらい出来るよ。何たってフェニックスになれるんだから、これくらい訳ないよ」
「……そういや、お主も規格外じゃったな………」
「はは、酷いな………」
===リリ視点========================
「もうすぐかな?」
「うーん、何か遠くに崖が見えているけど………」
私とルルは話し合いながら進む。一応、"千里眼"もしてもらってがっつり探すつもり。
「おーい、そんなに早まるなよー」
ちょっと後ろでは、さっきまでオリナと喋っていたエルガさんがいる。オリナはまだ体が重いって事でまだおぶられているけど………
「…………っ!何か来る!」
「べえっ!」
ルルの緊迫した声に私とエルガさんも身構える。後ろでオリナが情けない声を出したけど、気にしてられない。私とルルは『ソウルウェポン』を顕現させ、エルガさんは気に入っているというモデル・ウルフになり、犬のような耳に、鋭い爪、腕や脚、横腹まで、銀色の体毛を出しています。
そして、いよいよ飛んで来たものの正体が………!
「あぁぁぁぁあっ!!」
「しっ!師匠!?」「お師匠様!?」「うっわ~、ユウキか……」
一人だけおかしな反応をした人がいましたが、そんな事より師匠です!師匠が飛んで来ました!良かったです!師匠が無事で………!!
「おいおいおい!どけろ~!リリ!!」「……っ!姉さんっ!!」
「へ?」
意識を正常に戻したら、目の前には師匠が………
(ゴッチーーーン!!)
「いってぇぇ!!リリの頭!いってぇぇ!!」
「なっ!なんて事を言うんですか!?訂正してください!!師匠~!!」
綺麗に頭と頭がぶつかりましたが、私は大して痛くなく、師匠が悶絶して転がり回っていました。その時に失礼な事を言ったので、師匠に訂正を求めるました……。
「あ、イタタタタ。まだ頭がズキズキする………」
「まだ言いますか師匠!」
「いや、だっておかしいだろっ!?さっき太ももを貫通されて激痛が走ったのに、それを上回る激痛を弟子との頭ゴッツンコで受けたんだぞ!!そりゃー引きずるに決まってんだろっ!!もっと言ったら、胸を貫かれた時より痛ぇ!!」
「それは流石にあり得ませんっ!!」
「い~や、ほんとだ!胸を最近二回も貫かれた俺が言うんだ!間違いねぇ!!」
「いや、そんな争いよりさっさと本題に入ろうよ」
確かに、師匠の太ももには握りこぶしあるかないかくらいの穴が空いており、師匠の体からは魔力がほとんど感じられません。身体中は傷だらけなのは言うまでもありません。
「あっ、そうだな……。でもその前に……」
師匠はゆっくりと痛そうにしながらも立ち上がり、私とルルの近くに立ち、
「なんでお前らがここにいるんだっ!!」(ゴチン!ゴチン!)
「ひぃぃぃいっ!!」
拳骨を振り落としてきました!それには流石に予想外で、私達はそのまま倒れ込んでしまいます。オリナは拳骨を受けていないのに、膝を抱えて震えています。
「いっ!いや、だって!!」「お師匠様の為に!!」
「うるせ………ぇ」
「「え?」」
再び師匠が拳骨を振り落とそうと手を挙げるのを見て、私は目を瞑りましたが、拳骨は来ず、代わりに何かの液体が私の顔に落ちました。恐る恐る目を開けると、赤黒い光のようなものに胸と両腕、右足の太ももを貫かれ、血反吐を吐いた師匠がいました。師匠を貫いた光は、暫くすると抜け、師匠はそのまま、私とルルのところに落ちて来ます。それを見て、漸く現実に戻ってこれて………
「……!師匠!!」「……!お師匠様!!」
私とルルで抱き抱えて受け止めます。師匠は呼吸こそしていますが、弱々しく、もう虫の息といえる状態です。
「……!我が主人!!」「……!ユウキ!!」
ちょうどティフィラさんと技姫さんが駆けつけてきました。その後ろに恐る恐る師匠を見ているオリナがいます。エルガさんは、光が戻って行った場所を射殺さんとばかりに睨みつけています。
「ユウキっ!ユウキっ!しっかりしてっ!!ユウキっ!!!」
「今から体内に戻り、内側から治療を開始します!」
「わ!妾に何か出来ることはないかっ!?」
慌てふためくオリナに、涙を流しながら声をかけるティフィラさん、早々に元に戻った技姫さん。みんな、師匠がやられるなんて思っていなかったから慌てている。でも、私とルルは冷静に状態を見ている。だって、師匠を助ける為には冷静にならないといけないから!
「ティフィラさんとオリナは師匠に回復魔法や止血、魔力の譲渡をしてください!!」
「………エルガさんはここを守ってください」
「私とルルは!」
「………あの光の相手をします」
「ちょっ!待てっ!!」
後ろから呼び止めるエルガさんの声が聞こえるけど気にしない。"身体強化"を使って一気に奥に向かう。すると、行く手を阻むかのように、師匠を貫いた光がたくさん飛んでくる。以前の私達なら驚いたけど、今は驚く時間すら惜しい……!
「ルルっ!!」
「………任せて」
ルルの張った防壁は私達を包み、赤黒い光を防いでくれる。………何故だか分からないけど、普段以上の力が出せる!心に恐怖も無い!ルルと一緒ならっ!!私とルルは進む。奥に潜む敵を目指して……。
「……何これ?」
突き進んだ先にあったのは、赤黒い光が蠢く空間。その中心に人かどうかも分からないものがある。
「取り敢えず!あの中心を叩くよっ!ルル!!」
「………分かってる、姉さん!」
ルルの放った"クラノサグト"を、私の『ソウルウェポン』で吸収し、一気にその中心を斬りつけるけど、
(ガキィィィン!!)
「うわっ!何これ硬っ!!」
「………!姉さんっ!!」
「え?きゃぁぁぁっ!!」
「姉さんっ!!きゃっ!」
剣を弾かれ、体勢を崩した私に、赤黒い光が押し寄せ、強い衝撃を与えてくる!ルルもどうやら同じようで、悲鳴が聞こえた。私もルルも吹っ飛ばされ、ちょうど同じところに転がった。
「ぐぅっ!!かはぁっ!!」
「うぅぅっ!がはぁっ!!」
何とか立ち上がろうとしたけど、口からは血が出て、血溜まりが出来る。ルルも隣で同じようになっていた。力を振り絞って出来たのはルルと背中合わせで座る事だけ。奇しくも親と同じ状態になりました。
ああ、私達は死ぬのかな?師匠ですら負ける相手に突っ込んでいったから当たり前かな……。
『ん?死ぬのは怖くないのかって?』
『はい、私は死ぬのは怖いです。ですから、それを克服する為にも師匠の意見をと思いまして……』
何故か思い出す師匠との会話。……これが走馬灯ってやつなのかな?
『うーん、それより俺は自分が死ぬ事より、他の奴が死ぬ事が怖いな』
『『え?』』
『俺は自分が死ぬ事によって、他の奴が死んで欲しくない。だから…………』
「「……た…た………かう」」
私とルルが同じ事を呟いた瞬間、私達を中心にして輝き始めた…………。
===============================
少し遅れてしまって申し訳ありません!
コメント