ただの世界最強の村人と双子の弟子

ヒロ

第19話 ティフィラの実力

===ティフィラ視点=================

  今日はなんと、1000年前に音信不通になったユウキに来て欲しいって!!これはもしかしてプロポーズ!?じゃないと連絡して来ないよね!?なら早く会いに行かなくちゃ!!

「もちろんです!!3日後に会いましょう!!」(ブツッ!!!)

  何やら弟子だの何だの言ってたけど、きっとそれはただの口実!私に会うための口実に違いないわ!!

「とりあえず、《ラーグ村》に"転移"!」

  一瞬で視界が村の正門に変わったけど、守衛らしき人が驚いてるけど、そんなの気にしない!!!"身体強化"魔法を全力でかけて一直線に森に向かう!!3日もかからないけど3日後って言ったのはユウキに驚いて欲しかったから!!ユウキに喜んで欲しかったから!?

  速すぎて他の人には視認すら出来ない程のスピードだけどこれぐらいじゃないと早く会えない!!すると突然、

「きゃぁぁぁっ~~~!!!」

  女性の悲鳴を聞いて思わず立ち止まる。……………ってあれ?女性?この森にはユウキしか居ないはずじゃ……。もしかして………今………ユウキは………他の女と……同居中!?

「ふっふふ、ふふふふふふ。許さない!」

  何で!私を差し置いて!!他の!女と!!!許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!

「ガルルッ!!」
  視界の隅で《サーベルウルフキング》が象徴でもある身体中から生えた刀身を私に向けて突っ込んで来たけど、どうせ、

「キュイ!」
(ドゴォーーン!)

  私から出て来た『魔法精霊』が撃退してくれるもの。

「さあ、早く会いに行って真実を確かめなくちゃ」
  まだユウキが他の女といるなんて信じない!きっとさっきのはここに腕試しに来た冒険者に決まってる!

「待ってて、ユウキ!」
  "身体強化"魔法を体に負担がかかるくらいかけて一気に森の中を突き進む。真実を確かめる為に………!

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

「これは一体どう言うこと!?」
  必死に走り回って着いた家に入るとそこには料理の準備をしている銀髪の女、ユウキと一緒に話をしている茶髪の女、ユウキのもとへ駆け寄ろうとしていた金髪と青髪の女の子が…………いた……。

  そん……な、ユ…ウキが………、他の………女と………。

  私を差し置いて他の女達と……!
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!

「とりあえず、他の女は死んで」
  口から自然に出た言葉はそれだけだった。

===ユウキ視点====================

  ちっ、思った以上にティフィラの来るスピードが速かった!それより、あいつの目、全然光が無い…………!

「とりあえず、他の女は死んで」
  
  ヤバイっ!あいつ、本気だっ!!

「技姫!」 

「はいっ!」

  俺は右手元に技姫を本来の姿で顕現させ、ティフィラがリリ達に向けた"ファイアブレス"を技姫の能力の1つ"あらゆる状態に変化する"を使って技姫をみんなが後ろに隠れるくらい巨大な盾に変形させてティフィラとみんなの間に立ち、衝撃に備える。

(ボゥゥゥゥゥッ!!!)

  家の玄関から放たれた"ファイアブレス"は技姫の盾でずれたりし、家はもう半壊、いや半燃していた。

  やはり、ティフィラの魔法は強力だ…!少しずつ押されている……!

「ねぇ、どうしてそんな奴らを守るの?」
  ティフィラの感情の無い声が激しい炎の轟音の中でも鮮明に聞こえてくる。

「大事な奴らだからだ!攻武!」

「おうよっ!"黒炎衝"!!」
  攻武は焼けて無くなった2階部分らしき高さまで飛び上がる事で炎より上に移動し、自身を手元に顕現させ、水すら燃やし尽くす黒炎をティフィラの"ファイアブレス"にぶつけ、徐々に燃やし尽くしていった。それを見て分が悪いと思ったであろうティフィラは距離を取るため飛び下がった。

  俺はそれを確かめた後、技姫を日本刀の状態に戻し、攻武も俺に並んで自身を両手で縦に構えた。

  これが攻武達に肉体を持たせた事によるアドバンテージの1つで、こちらの頭数を増やせるだけでなく、攻武達は自身を扱えるのでかなり強い戦力となる。それは守姫も同じで、

「ご主人様!リリとルルはこちらでお守りしますから存分にやってください!」
  こういった戦力の分担もアドバンテージの1つだ。

「攻武、あいつが『精霊術』を使ったら真っ先に俺の中に戻れ。いいな?」

「了解っと、それにしてもまるで1000年前みたいだな。あの頃は肉体は持っていなかったが」

「そうだな、それより、行くぞっ!!」

「おうっ!!」

  俺と攻武は左右で別れて横からの同時攻撃をしようとするが、ティフィラはそこまで甘くない。俺に右手、攻武に左手を向け、

「"インフェルノ" "ブリザード"」

  俺に"インフェルノ"、攻武に"ブリザード"をかましてくるが俺たちもそこまで甘くない。

「『魔導』 "魔法封印"」
「"黒炎衝"!!!」

  俺はティフィラの手元の魔素を消し、魔法をキャンセルし、攻武は普通に"ブリザード"を燃やし尽くし、俺らはスピードを落とさずティフィラに接近し、すれ違いざまに俺は右腕を、攻武は左足を軽く斬りつけ、ティフィラと距離をとり様子を見た。

「うっうぅぅぅ~~~!!痛いっ!!痛いよ~~!!!ねぇ、どうしてこんな酷い事をするのっ!!!」
  ティフィラは"回復"魔法で傷を癒した後、すぐさまティフィラの体の至る所から300体程の精霊が出て来た!精霊は単純に光る小人みたいなもので、それらは俺らに手を向け、

「…………っ!攻武!戻れっ!!」
  攻武を強制的に俺の中に戻し、精霊どもが撃ってきた"精霊"魔法と呼ばれる精霊にしか扱えず、精霊にしかその傷を癒す事が出来ない厄介な、辛うじて属性があるのか、赤や水色、黄色、茶色といった属性がありそうな色の魔法が俺に雨のように連射してきた!

「………っ!"グランドキャニオン"!!」
  俺は目の前に高さ10m、横幅20m、厚さ2mの城壁の一部を生成し、魔法の雨をやり過ごしているが、壁の破壊速度が異常だ……!あと1分もせずに完全破壊され、俺は魔法の雨に撃たれて瀕死になる。ちっ!やっぱり厄介だ!『精霊術』!!

  『精霊術』はエルフ族しか使えない人族でいう『ソウルウェポン』みたいなもので、生まれながらに体内に精霊を一般的には3体保持し、それぞれに役割を与えて精霊とエルフ族のコンビネーションが可能になる。そして、最大の特徴は、『精霊術』を使うのに必要な魔力がめちゃくちゃ少ない事だ。それにより、長時間の戦闘どころか、長期間の戦闘が可能になり、さらに、精霊自体が侮れない強さを持っている事から数の少ないエルフ族が連合国建国まで他の国や魔族に対抗出来ていた理由の大きな一つだ。

  あいつは腰まで伸ばした綺麗な銀髪と緑色の目、大きめの胸に身長170cmとエルフ族特有の細長い耳という容姿をしているが、目はとにかくエルフ族はほとんどみんな緑系統の色の髪なのに、あいつは銀髪になっている理由が『エルフ族強化兵器計画』の影響だ。

  『エルフ族強化兵器計画』とは、俺の『人族強化兵器計画』のエルフ族バージョンで、体内に誰かわからないエルフを殺しまくり、体内から出てくる精霊を捕獲して、研究者はティフィラの体に無理やり精霊を体に定着させた。当然、体に合うか分からない精霊を無理やり定着させられたから体には俺の時のように激痛が走り、それを24時間された事による過度なストレスで髪の色が抜けてしまったそうだ。

  思えば初めて会った日もこんな感じだったな……。

  いや、昔を思い出すのは後だ。そろそろ壁がもたないしな……。
  よし、反撃開始といきますか!!

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  ティフィラとユウキの初めて会った日は【大英雄の過去編】にて詳しく書こうと思います!
  因みにユウキの次に強い人類最強は勿論ティフィラです!!
  デメリットがほぼ無い『精霊術』と強力な魔法が他の人達を寄せ付けません!
  さて、次回はリリ視点が少しとユウキ視点がメインとなると思います。








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