妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
96:疲労と休息
どうやら俺は気を失った後、正気に戻ったティナに膝枕されていたらしい。
ティナは俺が起きたことに気づくと、そのままの態勢で俺を抱きしめる。
俺の顔にティナの胸が覆いかぶさる。
「ティ、ティナ。く、くるしい」
俺は抱きしめるティナの背中をポンポンと叩く。
「あっ、ごめんなさい」
ティナは俺を抱きしめるのをやめ、元の膝枕していた体制に戻る。
正直、死ぬかと思った。
ティナの奴、見た目とは裏腹に案外力がある。
俺は状況の整理を始める。
まず、明確になったのは俺の目的だ。それは『魔王を殺す』こと。
だが、クロノスが言うには魔王は俺と同じ神の使徒らしい。それにあの暴走の仕方だ。何か裏があってもおかしくはない。
今の俺ではまだ力が足りないかもな。最近は全力で戦えた試しはないんだけどな。
それと、クロノスから貰った力か。
(エル)
《はい、漆夜視ノ神瞳。漆瞳:時空ノ瞳の解析を始めます》
(あぁ、よろしく頼む)
元々、察しの良いエルだったが、最近は前にもまして俺のして欲しいことをしてくれている。
俺は、起き上がりティナの頭を撫でる。
「ティナ、何があったか覚えてるか?」
「い、いえ気づいたらここにしかも、私に向かってユウ様が倒れてくるんですから。本当に驚きましたよ」
「すまん、迷惑かけたな」
「いや、別に迷惑では……」
「ん?」
「な、なにも」
俺はティナの頭から手を退け、立ち上がる。
ティナも俺の差し出した手を取り、立ち上がる。
「ここ、祭壇ですよね。どうしてこんなんところに?」
「呼ばれたんだよ」
「え? 誰に……ってまさか」
「そう、そのまさかだよ」
まぁ、俺もまさかあいつの正体がほんとは女なんて思ってもいなかったがな。
とりあえず、まだ朝早いし無駄に体が重い。
もう俺のここでの目的は果たしたし、どうするかな。
俺はそんなことを考えながらティナをつれ、来た道を戻り巫女の里へと向かった。
ソルの家まで戻ってきた。日が上がりかけだが、周りはまだ暗い。
家の中に入るが、案の定まだ誰も起きていない。
俺はこの時もうこの後どうするかは決めていた。
どうするか? それは勿論。
「寝る」
「はい?」
「疲れが抜けきってないんだ、しばらく寝る。ティナも疲れてるだろ?」
「それはまぁ……」
「てことで俺は寝る」
「わ、わかりました」
ここまで歩いてきて分かったのが、今の俺の魔力が大きく削られていることだ。
俺はティナと別れ、部屋へと戻り布団に潜る。
すると、布団の中には先客がいた。
「むにゃむにゃ、ゆうちゃ~ん」
そう寝言で、俺を呼ぶのはヨリヒメだ。
ご丁寧に、布団の中でうずくまりながら俺が使っていた枕を抱きしめている。
《むむむ(うらやましい)》
なにやら、エルが唸っている。解析で何処かいき詰まったのだろうか?
「おい、ヨリヒメ。起きろって」
すると、ヨリヒメは枕を手放し俺の腕に手を掴むと、無理やり俺を布団の中に引き込んだ。
そのまま、枕代わりと言わんばかりに俺に抱き着いて来る。
もちろん密着状態なわけだが、ヨリヒメの髪からは女の子特有のいい匂いが、そして俺の背中に手を回しす。
そして、ヨリヒメは自分の足を俺の足に絡ませてくる。
「おいおい勘弁してくれよ」
「んふふ、ゆうちゃんのいいにおーい」
俺の胸に顔をうずくめて、ヨリヒメは寝言でそう言う。
そう、この状態で寝ていることが厄介なのだ。
ヨリヒメはこんな幼い見た目で、鬼だ。
もちろん力に関しては俺なんかより強い。
いつも、照れ屋で、強気なヨリヒメは自分からこういうことはしない。
普段見れないヨリヒメを見れるのは新鮮でいいのだが……。
「まぁいいか、寝よ」
俺は諦め、ヨリヒメに抱かれたまま、寝ることにした。
あれから時間がたち、もう夕方前だ。俺は結局この時間まで寝ていた。
精神的には大丈夫でも体は相当疲労していた様だ。
起きてからは、体の調子がとてもいい。
《ますたー。時空ノ瞳の解析が終わっています》
(後でお願いするよ)
《了解しました》
俺は家から出て、みんなを探す。
すると、すぐそこの広場らしき場所で、ティナたちは子供と遊んでいた。
俺はそんな光景を遠くから見ていると、いつの間にか輪の中から抜け出していたフロンが俺のもとにやってくる。
「ご主人様も混ざらない?」
「俺はいい、遠慮しとく。見てるほうが楽しい」
「なら私も見てる。ご主人様となりいい?」
「あぁ」
俺がそう短答を返すと、フロンも俺の横に腰を下ろす。
「ご主人様これからどうするの?」
「明日にはここを出る。とりあえずエルフの国に向かうかな。準備を整えて魔国へ向かう」
魔国と聞いた瞬間、フロンがビクンと震える。
自然とフロンの手が俺の手の上に重なっていた。
俺は手を裏返し、フロンの手を握る。フロンはこう返ってくると思っていなかったのか、すごい速度で俺の方を見た。
その顔は少し赤くなっていた。
「魔王は殺すよ、フロンのためにも俺のためにもな」
「はい。私はずっとご主人の傍に居ます。どこへでもお連れください」
フロンは笑顔でそう言った。俺は手を握っていない方の手でフロンの頭を撫でる。
「気が変わった。俺たちも混ざるか」
「はい!」
俺は立ち上がり、フロンも引っ張り上げる。手は離して、子供たちの話の中に混ざっていく。
しばらく遊んだあとは、昨日と同じくソルの家でティナの手料理を食べる。
「そういえば祭壇の件だが……」
気まずそうに、ソルは俺に向かって声をかける。
「いや、その件はもういい。言っただろう?気になってる程度だと。それに俺にも用事が出来た。明日にはここを出る」
「そっちは分かったが、ずいぶんと急だな」
「まぁ、な」
俺はカルの方を見る。その目はまるで俺を威嚇しているようだった。
俺は気づいている。こいつがティナに恋慕を抱いていることを。
だが、俺からは何も言わないし、手も出さない。だって決めるのはティナ自身だからな。
俺は早々にご飯を食べ終わると、部屋へと戻って寝る準備をした。
「さぁ、カル。お前には男気はあるのかな?」
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