妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
39:開かない箱
店の中を覗き込むとおっさんがいた。どうやら客と言い合いになってるらしい。
すると、その客が背中の剣を抜こうとした。俺はそれを止めるように、引き抜かれようとした剣の柄を抑えた。そして手には妙な違和感があった。
「こんなところで、剣を抜こうとするな」
俺が止めに入ったのに気が付いたおっさんは驚いていた。そして俺が止めた相手はというと、「お前の顔覚えたからな! 俺たちの邪魔をするな!」そう言って去っていった。だいぶお怒りの様子だ。
おっさんは「二度と来るな!」とこちらも怒っていた。そしてそのあと、俺の方に向かってくると頭を下げた。
「すまん。助かった」
「あれはあっちが悪い。俺は当然のことをしただけだ」
俺は本当のことを言っている。おっさんが死ぬといい武器を紹介してもらえなくなるからな。しょうがない、というやつだ。
「で、あいつは何なんだ? 俺は顔覚えられたらしいし」
「あぁ、あいつらは最近迷宮攻略に力を入れてる、聖神教だ」
聖神教。伯爵が言ってたやつか、確かなんか……なんだっけ。
《行動を見て、おかしな動きをしていれば止める。ですよ、ますたー》
確かそんなことをするって伯爵に約束したんだっけか。
まぁこっちに向かってきたら容赦しないけどな。
「そうか、まぁ気を付けるよ。で、昨日言ってた見せたいものって?」
俺がここ来た用件を伝えると、おっさんが「ちょっと待っててくれ」と言って奥の部屋へ向かう。
しばらくすると、おっさんは、縦長い黒い箱を持って来た。それはそこまで重そうではないが、普通の箱ではないのだ。
そのおっさんが持ってきた黒い箱には縦に線は入っているが、あけ口が見当たらないからだ。
「おっさん、なんだその箱は?」
「ここは武器屋だからな、もちろん武器が入ってる箱だ。開かないけどな!」
おい、使えないものを渡そうとするな。これがいいものだと。
「これは箱の中には1本の剣が入っている。俺は見たことないが」
「じゃあなぜ、中身がわかる?」
それはそうだ、開かない箱で、開けたこともないやつがなぜ、中身を知っている。
「これは、お前が来る1週間前ぐらいだったかな。開店前の店の先に置いてあったんだよ。ご丁寧に手紙付きで、そこには『ここには1本の剣が入っています、とても強力で危険な剣です。あなたが強いと思え、信頼できそうな相手に託してください』って書いてあったんだよ。で、一応武器鑑定したんだが、確かに中に剣があった。普通のとは少し形が違う剣だったが、でもステータスは一切読めなかった」
「その剣をなぜ俺に?」
だって俺がおっさんと知り合ったのは昨日だ。それは信頼を築けるような時間じゃない。
「まぁ、あの時はなんでお前なんかに託そうと思ったのかわからんが、今はわかる。お前は強い、相当な。そんでもって俺を助けるいいやつだ。なら渡してもいいかなってな」
「そうか、分かった「ちょっと待て」……」
俺が話してる最中に割り込んでくるな。
「ただでやるとは言ってない。まぁ俺のところを贔屓してくれよ、それで譲ってやる」
案外このおっさんがお人好しなだけな気がしてきた。
強力な剣か、興味はあるが今の俺に使えるのか? いま俺には不思議な状態にある。それは普通の武器が持てなくなったことだ。昨日の改変、統合作業のあとからだろう。それが判明したのはついさっきだ。あの聖神教の剣の柄を持った時だ。明らかに体が拒否反応を起こした。だから、今は試してみることにした。
「おっさん、俺の話を最後まで聞け」
俺がそういうと、さっきまでのふざけた顔が、少し真面目な顔になった。俺の表情を見て何かを察したのだろう。
「いま俺は武器が持てないかもしれない」
俺が口にした言葉を耳にして、真剣になりけかていたおっさんの表情が崩れた。
「あ? お前そこに、それは良さそうな剣ぶら下げてるじゃないか」
「これは特別だ。おっさん、金は払うから1本鉄の剣をよこせ」
おっさんは俺の言葉に不思議に思いながらも、近くにあった鉄の直剣を俺に投げてよこす。
俺は投げられた剣をキャッチする。柄を握った手には、さっきと同じ妙な違和感を感じる。持ってられないほどではないが、いやな感じだ。
そして受け取った剣の刀身は柄の方から黒く染まっていき、やがて折れた。
その光景を目にしたおっさんの目は見開いていた。当然ださっきまで普通だった剣がいま折れたのだから。
「こういうことだ分かったか?」
俺はそのまま刀身のない柄を、折れた刀身の元へ転がした。
あとでステータスを確認しようか。
「でこれでも、その剣を譲ってくれるのか? その開かない箱が開いたとしても、すぐに折れるかもしれんぞ?」
せっかく強い剣でも、壊れてしまったら意味がない。
ティナや、フロンに持たせるのにはまだ不安が残る。
今は鑑定できないし、流石に漆夜視ノ神眼は使えない。
「あぁ、それでも渡すぜ、男に二言はない」
そう言い切ったおっさんは信頼できる人物のようだ。まぁ信頼を向けられて、今はいい気分だ。
「わかった、ならありがたく貰っていく。そうだな、俺を信頼してくれるなら、俺も信頼しよう。秘密にしてくれよ」
そう言って俺は右手で地面に置かれた、黒い箱に手のひらを乗せる。そして、棺のスキルを発動。別空間へと、黒い箱を仕舞う。
その光景を見たおっさんは、また目を見開いた。
「そ、それはマジックアイテムかなんか使ったのか?」
そういえば、別空間にものを保存できるマジックアイテムがあると聞いたことがあるな。
棺の能力だが、一応空間魔法と言っていいのか? まぁいいか。
「違うな、空間魔法と呼ばれるものだよ。秘密にしといてくれよ。俺の名前はユウ。これからもよろしく頼む。アル」
俺はそう言って出口へ向かった。そして店を出る直前。アルに呼び止められた。
「ユウ、分かったぜ! これからもよろしく頼む」
うれしそうな表情をしているアルの顔を見てから、俺は宿へ向かって歩き出した。
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