妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
29:温もりと決意
俺はとっさに左目を抑えた。そして、痛みに耐えながら俺は目を開く、すると目から光が漏れだした。暗かったこの空間は、少しだけ明るくなった。それと同時に、俺の目の前にはあるシーンが流れた。それは、俺が義親父に殺されるシーン。見たこともないはずの両親が車に轢かれるシーン。そして、ティナの護衛たちが殺されるシーン。俺は殺したい衝動に駆られかけていた。けどそんな俺の理性を保たせてくれていたのは。ティナたちだった。もちろんこの場にいるわけではない。思い出すだけで落ち着くのだ。だからこそ、俺は誓う。
俺の大切なもの。こいつらの幸せを奪うものを絶対に許さないと。
いつの間にか目の痛みも引いていた。俺はそのまま暗い中を沈んでいく、底にある光を目指して。
◇◆◇
俺が目を覚ますと、体に妙な重みを感じた。体を起こし、横を見ると、ベットの上にはティナが寝ていた。
すると、俺の布団が、もぞもぞと動き出した。そして、俺のお腹のあたりからムラクモの顔がひょこっと出てきた。
俺はとっさに周りを見渡す。壁には、刀の入っていない鞘が立てかけてあった。そして俺は察した。子の足に当たる生温かい感触の正体がわかったのだ。
「ムラクモはそこで何をしているんだ?」
この状況をティナに見られたらやばい。ただでさえ、エルさんが無言の圧力駆けてきてるのに、せめてもの救いはヨリヒメが寝ていることだ。
「ユウ、うなされてた。涙も流してた。寂しいときは人肌で温めるといいって聞いた。……だめだった?」
俺の問いにムラクモはこう答える。
俺のためを思ってしたことだ、それをどうやって俺が怒こることができるのだろうか。
ムラクモのサラサラしている髪を俺は撫でた。
「そうか、ありがとう。だけどな、こういうことはあまりするなよ」
無表情だが、ムラクモは頷いた。そして俺は、ぞっとするような視線を感じた。俺はその視線の正体を知っている。
横を向くと起き上がったティナがいた。その表情は怒りに震えていた。
俺はティナが何を言うよりも早く。
「ごめんなさい」
と謝った。そのあと、いつの間にか服を着ていたムラクモはティナに怒られていた。
そして、支度を整え下へと降りた。
「あっユウさんおはようございます」
下に降りると、いち早く俺を見つけたリナが挨拶をした。
「おはよう。朝ごはんを頼めるか、今日は夜には帰ってくる予定だから、夜ご飯も頼みたい」
「わかりました。机に座ってお持ちください」
そういうと、リナは台所の方へ戻っていった。
しばらくすると、レナが食事を運んできた。
「どうぞです」
「ありがとう」
そういって、俺はレナの頭を撫でた。
「はわわ、ありがとです」
そういうと、すぐに台所の方へ戻って言った。
ムラクモにするような感じで、頭を撫でたせいか、ティナからはジト目を向けられた。
『……』
そういえばダンジョンについて聞きたいことがあったんだ。
「ティナ、罠があるとか言ってたけど、俺もティナも、罠解除のスキルはないよな」
「はい、通常なら、迷宮区の入り口で、ほかの冒険者が募集をかけてたり、入れてくれるところを探してますね、ちなみにギルドは迷宮区の隣で内部でつながってますね」
「だけど、俺のスキルやムラクモ、ノワールについては隠したい」
俺のことはまだここでは噂になっていない。できれば面倒ごとは避けたいのだ。
俺の想いを察したのか、ティナが代案を立てる
「でしたら、やはり奴隷でしょうか」
そういえば、ここの世界では奴隷がいるのか。
(エル。この世界での奴隷のシステムは?)
《はい、奴隷はお金で購入でき、奴隷商やオークション等で購入できます。契約は、首輪型、紋章型の二つあり、紋章型だと、動きの差しさわりがないので少し高いです。奴隷のシステムにも、ステータスと同じような画面が存在して、事細かく契約内容が設定できます。なので、秘密を漏らしたりすることは設定さえしっかりすれば問題ないかと》
なるほど、本当に個々の世界はステータスもそうだが、まるでゲームみたいだな。あんな神がいるのだ。こういうのが好きな神がいてもおかしくない。もちろんあの神とは混合神である。
「わかった、なら午前は奴隷商のところへ、午後からはギルドへ行くとしよう。けど、ティナは奴隷とか、大丈夫か? あんまり好きではなさそうだが」
奴隷はあまりいいものではない。貴族の遊び道具にされたり、性欲処理や囮やなんかにも使われるだろう。まぁ、俺はそういう風に扱うつもりはないが、もしそんなことをすれば、ティナやムラクモ。ヨリヒメとかには嫌われるだろうしな。
「はい、ユウ様は貴族たちのような扱いはしないと分かってますから、ただ、少し心配ですが」
「何がだ?」
「ユウ様は、むっつりなので」
えーっと? 否定はしないけどそれはひどい。
「ちょっと待て、まだ女の子を買うなんて決まってないだろ」
「ユウ様は、男をPTに入れたいですか? 私はあんまり男の人にはいい思い出はないので、もちろん伯爵や、ヘイルさん。ユウ様は違いますよ? でも奴隷になってしまうような男の方だと、あまり」
それもそうだ。奴隷になる理由はいろいろあるが、よくあるのがお金がなく自分を担保に入れられたとか、孤児の子供だとか、後は犯罪奴隷だ。まぁ、犯罪奴隷は買う気はしないよな。
「まぁ、それもそうだが、とりあえず見てから決めよう」
「はい」
問題は鑑定が使えないってとこだが、そこはエルにカバーしてもらうか
《お任せください》
いまだヨリヒメは寝ている。まぁ、さっさと向かうことにしよう。
俺達は席を立ち、台所にいるリナとレナにお礼を言ってから、奴隷商のもとへ向かった。
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