BLOOD HERO'S
episode6 #14「指道 正道」
 「くるぞっ!!」
 炎美の叫びとほぼ同時に一斉に襲いかかってきた。
 「ッ!?」
 すると炎美達との距離を一気に縮め四方八方から拳や脚が飛び交ってきた。炎美達は反射的に避けるがあまりの手数に4、5発程顔や身体を掠めていた。
 「この人達、なんて速さなの?!」
 涼子はあまりの動きの速さに驚愕していた。見たところ相手の数は20人ぐらいで男女比はほぼ同等、服装は男は燕尾服、女はメイド服を全員身につけていた。
 そんな動きにくそうな身なりにも関わらず身体能力は強化系の能力者並であった。
 (コイツら全員、同じ能力なのか?!)
 相手の猛攻を何とか回避しながら炎美は思った。しかし一方の涼子は不審に思っていた。
 「何かおかしい…」
 「?」
 思わず口に出してしまう程だったが炎美には分からなかった。それが気になり「何が?」と炎美は涼子に問いかけた。
 「これだけの数がいて全員『身体能力強化』だなんて普通に考えればありえないの!?」
 涼子の経験で不審に思った事は2つあった。まず1つは全員が同じ能力であること。
 集団で犯罪を起こす能力者達は少なからず存在する。しかしそれぞれ能力は異なり同じ能力を持った集団の事例は今までにない。
 仮に同じ能力者を集められるとして新たな問題が生じる。それがもう1つの不審に思った事である。
 もう1つは彼等の能力が『身体能力強化』という能力である事である。
 世界人口の4割以上にまで増えていると言われているこの世界でも強化系の能力者は1割程。
 更にその中でも『身体能力強化』の能力を持つ能力者は最も少ないと言われている。強化系のほとんどは『パワー強化』や『スピード強化』等の極端な強化しかされない。
 例であげると鬼平 鬼吾郎の能力、『鬼人・悪鬼』は力を10倍にまで上げるだけの能力である。
 しかし鬼吾郎は半分鬼の血を引いている為、普通の人間より身体能力が高いのだ。
 だが今回の場合、ごく普通の成人男女が素早いスピードと怪力の持ち主並のパワーを兼ね備えている。普通に考えてそれは『身体能力強化』の能力によるものであると考えられる。
 「1人2人なら考えられなくもないけど、これだけの数を集めるのは至難だよ」
 涼子はそう言った。同じ能力者を集めるだけでも難航する筈にも関わらず比較的少ない能力を20人以上集めるとなるとほぼほぼ実現するのは不可能である。
 「じゃあコイツらは一体なんなんだ?!」
 だが今の状況からして涼子の発言は矛盾しているとしか炎美には思えなかった。ではなぜ彼等は人知を超えたスピードとパワーを持っているのか?
 「私の予想が正しければ多分、あの人の能力の影響かも」
 「あの人?」
 しかし涼子は炎美の疑問に答えようとする発言をしてきた。炎美は涼子の発言が気になり相手の猛攻を回避しながら涼子が視線を向けている方に視線を移した。
 2人の視線には立ち尽くしている年老いた男がいた。最初に見たところから一歩も動いてはいない様子でインカム越しで逐一仲間に指示を出しているようだった。
 「流石、能力者対策に特化していらしゃっる方々だ。見事な推測と言ったところでしょうか?」
 男は指示を出し終え2人に視線を移し話し始めてきた。
 「ご紹介申し遅れました。私、指道 正道と申します。ここの執事兼管理責任者を務めておりました」
 指道と名乗る男は自己紹介を始めると再びお辞儀をしてきた。
 (ここの執事って、まさか…)
 炎美は指道の話しを聞いてふと西城城の方に視線を向けた。どうやら指道は元々西城に仕えていた執事のようだった。 
 「この者達も私と同様、元はこの城の主人に仕える執事とメイド達でした」
 「ちょっと待って、『でした』ってことは、じゃあ西城氏は…」
 指道の話しの途中、思わず気になり割って入ってきた涼子。しかし指道が過去形で話す理由は2人共、何となく気がついてはいた。
 「先日、賊の奇襲にあいお亡くなりになられました」
 「………」
 2人の予感は見事に的中していた。西城は死に今は白凪達に占領されているようだ。そして彼等は何かしらの理由で白凪達に協力しているようだった。
 「ですが、我々は別に主人の仇を討とうなどとは思ってはいませんよ。元々主人も我々のことには無関心な方でしたから」
 「なっ、じゃああんたらは奴等のやり方に賛同して協力してるってことか?!」
 指道の冷淡な口調に炎美は指道に問いただす。炎美には主人の仇を討つ為に従ったフリをしているのかと考えていたからだ。しかし指道の表情は嘘をついているようには見えなかった。
 「いえ、私はただ私の責務を全うするだけのこと。彼等のやり方には興味も湧きません」
 「責務?」
 指道は炎美の問いかけに意味深な返しをした。炎美は疑問に思い聞き返すが相手の猛攻が更に激しくなり指道との距離がどんどん西城城の方に向かって遠ざけられていった。
 「どうやらお話はここまでのようですね。さて私の能力、『指導強化(エンヒュースメント)』を貴方方に打ち破れますかな?」
 炎美の叫びとほぼ同時に一斉に襲いかかってきた。
 「ッ!?」
 すると炎美達との距離を一気に縮め四方八方から拳や脚が飛び交ってきた。炎美達は反射的に避けるがあまりの手数に4、5発程顔や身体を掠めていた。
 「この人達、なんて速さなの?!」
 涼子はあまりの動きの速さに驚愕していた。見たところ相手の数は20人ぐらいで男女比はほぼ同等、服装は男は燕尾服、女はメイド服を全員身につけていた。
 そんな動きにくそうな身なりにも関わらず身体能力は強化系の能力者並であった。
 (コイツら全員、同じ能力なのか?!)
 相手の猛攻を何とか回避しながら炎美は思った。しかし一方の涼子は不審に思っていた。
 「何かおかしい…」
 「?」
 思わず口に出してしまう程だったが炎美には分からなかった。それが気になり「何が?」と炎美は涼子に問いかけた。
 「これだけの数がいて全員『身体能力強化』だなんて普通に考えればありえないの!?」
 涼子の経験で不審に思った事は2つあった。まず1つは全員が同じ能力であること。
 集団で犯罪を起こす能力者達は少なからず存在する。しかしそれぞれ能力は異なり同じ能力を持った集団の事例は今までにない。
 仮に同じ能力者を集められるとして新たな問題が生じる。それがもう1つの不審に思った事である。
 もう1つは彼等の能力が『身体能力強化』という能力である事である。
 世界人口の4割以上にまで増えていると言われているこの世界でも強化系の能力者は1割程。
 更にその中でも『身体能力強化』の能力を持つ能力者は最も少ないと言われている。強化系のほとんどは『パワー強化』や『スピード強化』等の極端な強化しかされない。
 例であげると鬼平 鬼吾郎の能力、『鬼人・悪鬼』は力を10倍にまで上げるだけの能力である。
 しかし鬼吾郎は半分鬼の血を引いている為、普通の人間より身体能力が高いのだ。
 だが今回の場合、ごく普通の成人男女が素早いスピードと怪力の持ち主並のパワーを兼ね備えている。普通に考えてそれは『身体能力強化』の能力によるものであると考えられる。
 「1人2人なら考えられなくもないけど、これだけの数を集めるのは至難だよ」
 涼子はそう言った。同じ能力者を集めるだけでも難航する筈にも関わらず比較的少ない能力を20人以上集めるとなるとほぼほぼ実現するのは不可能である。
 「じゃあコイツらは一体なんなんだ?!」
 だが今の状況からして涼子の発言は矛盾しているとしか炎美には思えなかった。ではなぜ彼等は人知を超えたスピードとパワーを持っているのか?
 「私の予想が正しければ多分、あの人の能力の影響かも」
 「あの人?」
 しかし涼子は炎美の疑問に答えようとする発言をしてきた。炎美は涼子の発言が気になり相手の猛攻を回避しながら涼子が視線を向けている方に視線を移した。
 2人の視線には立ち尽くしている年老いた男がいた。最初に見たところから一歩も動いてはいない様子でインカム越しで逐一仲間に指示を出しているようだった。
 「流石、能力者対策に特化していらしゃっる方々だ。見事な推測と言ったところでしょうか?」
 男は指示を出し終え2人に視線を移し話し始めてきた。
 「ご紹介申し遅れました。私、指道 正道と申します。ここの執事兼管理責任者を務めておりました」
 指道と名乗る男は自己紹介を始めると再びお辞儀をしてきた。
 (ここの執事って、まさか…)
 炎美は指道の話しを聞いてふと西城城の方に視線を向けた。どうやら指道は元々西城に仕えていた執事のようだった。 
 「この者達も私と同様、元はこの城の主人に仕える執事とメイド達でした」
 「ちょっと待って、『でした』ってことは、じゃあ西城氏は…」
 指道の話しの途中、思わず気になり割って入ってきた涼子。しかし指道が過去形で話す理由は2人共、何となく気がついてはいた。
 「先日、賊の奇襲にあいお亡くなりになられました」
 「………」
 2人の予感は見事に的中していた。西城は死に今は白凪達に占領されているようだ。そして彼等は何かしらの理由で白凪達に協力しているようだった。
 「ですが、我々は別に主人の仇を討とうなどとは思ってはいませんよ。元々主人も我々のことには無関心な方でしたから」
 「なっ、じゃああんたらは奴等のやり方に賛同して協力してるってことか?!」
 指道の冷淡な口調に炎美は指道に問いただす。炎美には主人の仇を討つ為に従ったフリをしているのかと考えていたからだ。しかし指道の表情は嘘をついているようには見えなかった。
 「いえ、私はただ私の責務を全うするだけのこと。彼等のやり方には興味も湧きません」
 「責務?」
 指道は炎美の問いかけに意味深な返しをした。炎美は疑問に思い聞き返すが相手の猛攻が更に激しくなり指道との距離がどんどん西城城の方に向かって遠ざけられていった。
 「どうやらお話はここまでのようですね。さて私の能力、『指導強化(エンヒュースメント)』を貴方方に打ち破れますかな?」
「現代アクション」の人気作品
書籍化作品
-
-
1512
-
-
32
-
-
310
-
-
26950
-
-
141
-
-
4
-
-
159
-
-
0
-
-
23252
コメント