BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode6 #5「静かな城内」

 「ふあああ…」

 重堂の大きな欠伸が部屋に響く程白凪達は静寂な空間で過ごしていた。

 「どうした力也?昨晩は随分寝ていたのにまだ足りぬというのか?」

 欠伸をする重堂を横目に見ながら透斎が問いかけてきた。

 「バカ、暇ですることねーから眠たくなんだよ!」

 重堂は再び欠伸をしながらそう言い返す。透斎は「ふむ」と短い返事を返すと顎に手を当て何やら考え込み始めた。

 「なら散歩などどうだ?1日中寝床で転がっているよりは退屈しなかろう」

 「ケッ、メンドクセー!お前の趣味はジジクセーんだよ!」

 少し間が空いて透斎は提案を持ちかけてきたが重堂はふてくされたかのようにベットに横になり透斎の誘いを断った。

 「まったく、お前という奴は」

 透斎は重堂のあまりの態度の悪さを見て呆れたようにため息を溢した。

 「では渚、お前は行くか?」

 そしてそんな重堂を横目に渚を誘い出した。

 「うんいいよ。私も暇だったし」

 すると渚は腰掛けていた椅子から立ち上がり考える間も無くほぼ即答で返答した。

 「それでは参ろうか」

 「ケッ、行ってこい行ってこい」

 透斎と渚が外に出ようとしていたが重堂はそっぽを向いて一切見向きもせず気だるそうに手を振って見送りをしていた。その態度を見て再びため息が溢れる透斎。

 「そういえば渚、先日この近辺で甘味処を見つけたのだが…」

 「………」

 だがしかし去り際に透斎は渚と会話している所を寝たふりを装い重堂は密かに耳を傾けていた。

 「そこの立て看板に掲示されていたあんみつが実に美味そうだったのでな。今度其方でも誘ってみようと思ってな」

 「ホント!?楽しみー!?」

 「………」

 2人は会話を弾ませている様子だったが、明らかにその会話は重堂を誘き出そうとしている罠であった。

 重堂は大の甘党だった。甘いものには目がないのは3人共知っている。だから透斎は重堂の聞こえている場所でその話を持ちかけたのだ。

 「………」

 だが重堂もそれには気づいている。しかし『甘味処』という魅惑的なワードに脳内を惑わされていた。

 「では行くか」

 「うんそうだね」

 「早く行こうぜー!」

 そして気がつけば重堂は2人よりも先に部屋から出ていた。あまりの行動の早さに2人は暫し呆然と立ち尽くしていた。

 「まったく、お前というヤツは…」

 透斎はため息を漏らしながらも後を追うように部屋を出て行った。

 「あっ、そうだ。仙も一緒に…」

 2人を追いかけようとした渚はふと白凪の事を思い出して部屋に戻ってきた。

 「zzz…」

 部屋に入るとベットで腕を枕にして爆睡している白凪の姿があった。

 「起こすのも可哀想だし、いっか」

 渚は寝ている白凪を見て起こそうとはせずそのまま部屋を出て行った。

 ---「………」

 3人が外出して静まり返る城内。そんな中、密かに城内に侵入した3人の女の姿があった。

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