BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode5 #34「1年後の災難」

 ---それから鬼太郎達一同は屍鬼が戻って来るのを待ったが、屍鬼が山を下りて来る事は決して無かった。

 鬼太郎は心残りがありながらも皆と今後の事について話しあっていた。

 安生夫婦はとりあえず義彦の家に住む事は確定した。他の連中はこの際人間達との交流を深めていこうという意思になったが多少の不安もあった為、義彦の家の周辺に住もうとするのがほとんどだった。

 他の人達が前向きに考え出している中鬼太郎だけはココに残ると言い始めた。周辺は建物等はほとんど無く車も鬼太郎達が下りて来てから一台も車が通らない程、人気の無い場所だった。

 「私は屍鬼と約束をした。『必ず合流しよう』と!何か事情があって下りて来れなくなったのかもしれんがそれでも待ってみようと思う!」

 鬼太郎の考えに反論する者は当然いたが鬼太郎の曲がらない意思に渋々降りる形で残る事に決まった。鬼太郎が残ると言うと鬼初と鬼美恵は一緒に残ると言い出した。鬼太郎は反論したが自分の事を棚に上げられ承諾するしか無かった。

 こうして鬼太郎一家は町から離れた辺境の地で一軒家を自分達で建て暮らす事になった。

 ---それから1年後の事だった。鬼太郎は義彦達と定期的に連絡を取っていたが暫く音信不通になっていた。

 不安になった鬼太郎はわざわざ義彦が住んでいるマンションを訪ねてみた。しかし偶然居合わせた管理人から衝撃的な事実を知らされる。

 ---「亡くなった!?」

 唐突に告げられる2人の死。鬼太郎は困惑の色が隠せずにいた。

 「つい先月、交通事故に遭ったて聞いてます。一応お二人のご家族にご連絡を入れようとしたんですがどちらも連絡が取れ無くて…ひょっとしてご親族の方か何かですか?」

 「あ、いえ…」

 一瞬、親族と名乗った方がいいかとも思ったが後々調べられるのもめんど臭い事になると思い首を横に振った。

 「そうですか。なら私はこれで…」

 鬼太郎が親族でないと分かると管理人の女性はそそくさと立ち去ろうとした。親族と名乗れば色々と話を聞けたのではないかと少し後悔する鬼太郎。そんな時管理人がぼそりと衝撃の一言を放った。

 「ハア、お子さんもどっか居なくなっちゃうしホント何があったのかしら?」

 「!?今…なんて?」

 鬼太郎は今の発言を聞き逃さなかった。管理人が言った『お子さん』という言葉を聞いてふと美鬼の事を思い出した。

 「今、お子さんって聞こえたんですけど、出産してたんですか!?」

 鬼太郎は管理人を真っ直ぐな目で見つめ問いただしてきた。あの時美鬼のお腹には子供を授かっていた。1年経った今、出産していても可笑しくは無い。

 「え、ええ。つい最近ご出産されたみたいですけど…」

 そこまで話してくれた管理人だが途中で悩んでいるかのように口をごもらせた。どうやら何か言いたげそうにしているが親族でもない人に話していいのか?迷っているようだった。しかし少し沈黙すると重い口を開いた。

 「あの、ここだけの話なんですけど、事故に遭った時、そのお子さん…その場に居なかったそうなんです!」

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