BLOOD HERO'S

ノベルバユーザー177222

episode5 #16「反撃!」

 (とは言ったものの、どうすっか?)

 炎美は今の状況から打破する策を模索していた。

 片腕は骨まで折れ肋骨も軽く何本か折れているかもしれない。マトモに戦えるコンディションではまずない。

 悪い状況はそれだけではない。規則上、相手が能力使わない以上はこちらも能力を使用出来ない。フィリナの場合は特例中の特例らしいが…

 「次いくぞオラァ!!」

 「くっ」

 考えごとをしている炎美のことなど気にすることなく突撃してくる鬼平。

 (そりゃあ悠長に考える時間なんか与えてくれるワケねーよな)

 炎美は一旦距離を取ろうとひたすら後ろに下がった。コンクリート住宅だった場所から少し離れるカタチになった。

 「逃げてばっかか!?反撃してこいやーー!!」

 さっきまでの殺意は消えていたものの逃げてばかりの炎美に鬼平は苛立っていた。

 (そうしたくても出来ねーから下がってんだてーの!)

 炎美は心の中で悪態をつきながらも頭の中で策を練り始めた。

 (考えながら行動あるのみ!)

 そして炎美はとうとう足を前に動かし始めた。

 「!?」

 2、30メートル離れた距離から一気に5メートル圏内にまで入ってくる炎美。鬼平も流石に今の速さには虚を突かれた。

 (一撃喰らって立ち上がったのは見事だがまだこんなに動けんのかよ!?)

 鬼平は驚いていたがそれ以上に高揚していた。本格的に戦えることに顔から喜びを隠しきれていなかった。

 「しゃあー!!いくぜーー!!」

 鬼平は木の棒を全力で横に振った。鬼平の予想では炎美は姿勢を低くしてそのまま突っ込んでくる。それを想定して振り切った勢いで足蹴りを入れる。

 しかし炎美の次のとった行動は想定外だった。

 「うおりゃっ!!」

 「なっ!?」

 炎美は手に隠していたコンクリートの破片を投げつけてきた。大きさ的には鬼平の顔がちょうど隠れるぐらいだった。

 「ちっ!」

 鬼平はギリギリ顔を横に動かし回避したが振っていた木の棒は中途半端なかたちで振り切ることが出来なかった。

 「オラァーーー!!!」

 「ッ!!」

 振り切れずにいた鬼平の懐は完全にガラ空きになっていた。イヤ正確には既に炎美が入り込んでいた。懐に入った炎美は走ってくる勢いで拳を力強く握り振り被った。振り被った炎美の拳は鬼平の顔面にクリーンヒットした。

 「オオオーーー!!!」

 顔面を殴った炎美はそのまま拳を振り切った。鬼平の顔から鈍い音と口鼻から血を吹き出した。そして全身の力が入りきらず鬼平は体勢を崩し吹っ飛ばされた。

「BLOOD HERO'S」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く