覇王の息子 異世界を馳せる
曹丕 断る
屋敷。お屋敷の中の広々としたお部屋。
ズラリと村人たちが並んでいます。10人ほどの人数がいます。
その中心には長老、あるいは村長でしょうか?どちらにしても、この村の権力者であり、代表なのでしょう。 白く長々としたお髭を蓄えたご老人が座っています。
それに対して、私たちは曹丕さんと関羽さん。
わたしはお二人の通訳として、このお屋敷に連れてこられたわけなのですが・・・・・・
尋常ではありません。村人たちから発せられてくるのは尋常ではない圧迫感です。
胃が痛いです。帰りたいです。
そもそも、わたしが訳さなくても、普通に意思疎通の魔法を使える人がいるはずです。
それを言っても曹丕さんは言葉や表現の機微などを理由に、わたしを連れてきました。
わたしも直家さんやマキビさんのように、我関せずを貫いて馬車に引きこもっていたいのであります。
あの後、わたしが馬車で少年を轢きかけた後です。
泣き始めた少年をどうすれば良いのか、途方にくれていました。
何を聞いても「救ってください」と一辺倒の返事ばかり。
ほとほと、困り果ていた頃合にやってきたのが、目の前に座っているご老人です。
そのまま、あれよ、これよと、状況もわからないまま、現在に至るわけなのです。
でも、これだけはわかります。わかるのです。
集まった村人たちの鬼気迫る表情から、これはただ事ではないと・・・・・・。
「さて、私がこの村で長を勤めさせていただいておる者です。このたびは、わたしの孫を助けていただきありがとうございます」
ご老人は、深々と頭を下げます。どうやら、馬車に飛び出してきた子供は、お孫さんだったようです。
「いえ、あれは―――」
とわたしは言いかけました。
馬車を走らせるなら、子供が飛び出しくるを想定して、急に止まれる速度で走行するのが常識です。
本来ならこちら側が謝罪するのが当たり前であり、もしも曹丕さんがいなければ大事故になってたかもしれないのからです。
しかし、謝罪を言いかけたわたしを、曹丕さんは止めました。
「いえ、前置きは無用。それを述べるために我々を呼んだわけでもあるますまい」
「・・・・・・確かに、その通りで」
次のご老人の動きに、わたしは驚かせました。
いきなり、深々と頭を下げたのです。続いて、部屋にいた村人全員が頭を下げていきました。
「皆様方《渡人》御一行さまとしてお願い仕ります。どうか我らをお救いくださいませ」
他の村人たちもご老人に続いて、次々に同じような言葉を口にしていきます。
それに対して曹丕は―――
「はて、この村に何が起こっているというのでしょうか?」
どこか白々しく、棒読みみたいな口調で返した。
「実は、この村は山賊に襲われているのです」
ご老人の言葉に、わたしは心底驚きを隠せずにいました。
そんな人たちがこの世の中に存在するなんて・・・・・・
時代は太平の世です。山賊なんて言葉は御伽噺しにしかでてきません。
驚くわたしとは対照的な表情を曹丕さんは浮かべています。
この村に近づく時の皆の様子から、事前に想像していたのかもしれません。
そんな曹丕さんはうなずくと、一言
「そう。それで?」とだけ返しました。
あまりにも、あまりにも反応です。大の男が涙すら浮かべて哀願している状況に、あまりにも素っ気無い態度でした。
これには村人たちも、互いに顔を見合わせています。
「もし、私たちに山賊退治など依頼したいのならば、私たちは帰らせていただきます」
そのまま、曹丕さんは立ち上がり、部屋を後にしていき、それに関羽さんが無言でついて行きます。
わたしも村人たち同様に呆気に取られていましたが、すぐに頭を振り、2人を追いかけました。
ズラリと村人たちが並んでいます。10人ほどの人数がいます。
その中心には長老、あるいは村長でしょうか?どちらにしても、この村の権力者であり、代表なのでしょう。 白く長々としたお髭を蓄えたご老人が座っています。
それに対して、私たちは曹丕さんと関羽さん。
わたしはお二人の通訳として、このお屋敷に連れてこられたわけなのですが・・・・・・
尋常ではありません。村人たちから発せられてくるのは尋常ではない圧迫感です。
胃が痛いです。帰りたいです。
そもそも、わたしが訳さなくても、普通に意思疎通の魔法を使える人がいるはずです。
それを言っても曹丕さんは言葉や表現の機微などを理由に、わたしを連れてきました。
わたしも直家さんやマキビさんのように、我関せずを貫いて馬車に引きこもっていたいのであります。
あの後、わたしが馬車で少年を轢きかけた後です。
泣き始めた少年をどうすれば良いのか、途方にくれていました。
何を聞いても「救ってください」と一辺倒の返事ばかり。
ほとほと、困り果ていた頃合にやってきたのが、目の前に座っているご老人です。
そのまま、あれよ、これよと、状況もわからないまま、現在に至るわけなのです。
でも、これだけはわかります。わかるのです。
集まった村人たちの鬼気迫る表情から、これはただ事ではないと・・・・・・。
「さて、私がこの村で長を勤めさせていただいておる者です。このたびは、わたしの孫を助けていただきありがとうございます」
ご老人は、深々と頭を下げます。どうやら、馬車に飛び出してきた子供は、お孫さんだったようです。
「いえ、あれは―――」
とわたしは言いかけました。
馬車を走らせるなら、子供が飛び出しくるを想定して、急に止まれる速度で走行するのが常識です。
本来ならこちら側が謝罪するのが当たり前であり、もしも曹丕さんがいなければ大事故になってたかもしれないのからです。
しかし、謝罪を言いかけたわたしを、曹丕さんは止めました。
「いえ、前置きは無用。それを述べるために我々を呼んだわけでもあるますまい」
「・・・・・・確かに、その通りで」
次のご老人の動きに、わたしは驚かせました。
いきなり、深々と頭を下げたのです。続いて、部屋にいた村人全員が頭を下げていきました。
「皆様方《渡人》御一行さまとしてお願い仕ります。どうか我らをお救いくださいませ」
他の村人たちもご老人に続いて、次々に同じような言葉を口にしていきます。
それに対して曹丕は―――
「はて、この村に何が起こっているというのでしょうか?」
どこか白々しく、棒読みみたいな口調で返した。
「実は、この村は山賊に襲われているのです」
ご老人の言葉に、わたしは心底驚きを隠せずにいました。
そんな人たちがこの世の中に存在するなんて・・・・・・
時代は太平の世です。山賊なんて言葉は御伽噺しにしかでてきません。
驚くわたしとは対照的な表情を曹丕さんは浮かべています。
この村に近づく時の皆の様子から、事前に想像していたのかもしれません。
そんな曹丕さんはうなずくと、一言
「そう。それで?」とだけ返しました。
あまりにも、あまりにも反応です。大の男が涙すら浮かべて哀願している状況に、あまりにも素っ気無い態度でした。
これには村人たちも、互いに顔を見合わせています。
「もし、私たちに山賊退治など依頼したいのならば、私たちは帰らせていただきます」
そのまま、曹丕さんは立ち上がり、部屋を後にしていき、それに関羽さんが無言でついて行きます。
わたしも村人たち同様に呆気に取られていましたが、すぐに頭を振り、2人を追いかけました。
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