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第七十七章 幽鬼の如く
青い髪を揺らしながらグラフ樹海を歩く俺は、半ば強引に着せられたゴシックドレスの裾を持ちながら木の幹をよじ登る
リッチー曰くこのランタンを持ってこの服を着ればグラフ街まで霊魂を導けるらしい
「これは俺の趣味ではない・・・絶対にだ・・・」
フォレストゾンビが敬礼して道を開ける姿を無心で見つめながら、霊魂を従えグラフ樹海を進む
「しかしこれは便利だな・・・」
リッチーの目玉入りランタンを掲げると霊魂が道を教えてくれ、樹木がひとりでに動き出す
マーカーがついた木も動いてしまった気がしないでもないが気のせいだろう
霊魂の導くままに進むとあっという間に樹海を抜ける
「あれ?樹海って意外と狭いんだな」
樹海を抜け大森林を歩くこと数分、一向に敵がエンカウントしない
いや・・・正確には違うか
モンスターはいるにはいるがこちらを警戒して近寄ってこないのだ
霊魂のせいか?はたまたリッチーの目玉のせいか?
どちらにせよリッチーの目玉バンザイである
「このままいけば今日中に街に戻れるな!」
少し調子が良くなってきた俺はスキップしながら大森林を進む
霊魂を引き連れテンションが上がっている俺は大森林の中腹でNPCの物と思われる死体を発見する
「これはこれは・・・南無南無・・・」
ランタンを腰にさげて合唱していると霊魂の一つが死体の周りをぐるぐる漂っている
おや?これはもしかして?
試しにランタンを死体に掲げてみる
『ウヴォアアアアア!!!』
腐った死体が現れた!?
そう思った瞬間腐った死体の体がどんどん修復していき我を取り戻す!
『っは!?俺は一体!?』
おお!ほんとに生き返った!
だが様子がおかしい
NPCはポカンと口を開けてこちらを見たまま微動だにしないのだ
「あの・・・体の調子は大丈夫ですか?」
『ふつくしい・・・』
は?
両手を広げて俺に手を伸ばしてきたNPCをつい条件反射で殴り飛ばす
『っは!私はなんと無礼な・・・!あまりの美しさについ手を・・・!』
生き返って混乱でもしてるのか?
ぶつぶつ喋るNPCを放置して先を急ぐ
「しかし本当に生き返ったぞ!?」
改めてランタンの凄さを確認した俺は急いで街に戻るのであった
◇
城の中庭を走り抜けながら国王は冷や汗を流す
死んだ人間が生き返っているという情報を手にしたのだ
「そんな事ができる者・・・アンデットの王に違いない!」
城下町に死霊王現る
もしそんな事態になってしまえばこの国は終わりだ
死霊王がその気になれば一夜もかからないうちにゴーストタウンの出来上がりなのだ
そして死霊王に対する対抗手段は人間には無い
元々最弱の人間種
最近は冒険者なる人ならざる力を持った人間も確認されてはいるが今回ばかりは相手が悪い
「なぜこうも立て続けにおかしな事が起こる!?」
グランが突如冒険者を妃にと連れて来た時・・・いや・・・そもそも何故余に息子がおるのだ!?
先王が早死にして早期に国王になった余はまだグランとさほど歳が離れていない
そもそも伴侶となる人物すらいないのだ
今まで何も感じなかった疑問
しかしここに来て国王は初めてグランに違和感を感じる
だが今はそれどころではない!
「死霊種に見つかる前に逃げるんだ!一刻も早く!」
そう死霊王襲来の事態を知った国王は我先にと国外に逃亡を図っているのだ
しかし城門をくぐった所で門番を任せられている衛兵に引きとめられる
「国王陛下!?どうされたのですか!?」
「どうもこうもあるか!こんな所にいられるか!余は逃げるぞ!」
半ば半狂乱になっている国王は衛兵を振りほどいて走り出す
「はぁ!はぁ!ここまで来れば!!!」
もうすぐグラフ街から出られる!
そう言おうとして背筋に冷たい感触が走り物陰に隠れる
まさか・・・そう呟きながら街道の様子を伺う
そこでは一人の少女が舞っていた
青い髪が霊魂の光で反射し何とも言えない光を帯び、何を考えているのか物憂げな表情
大量の霊魂を背に、死者を導くその姿
着ている服はこの国の物とは全く異質な物
それは見るもの全てを魅了するような幻想的な光景
一つの霊魂が地面に潜っていったかと思えば、なんと先の戦で死んだ兵士がポカンとしながら立っている
見たところアンデットではない
「本当に・・・生き返った・・・?」
国王はまるで魂が抜き取られたかのように少女の舞いを眺める
「あれが・・・死霊王リッチー・・・?」
呆然と呟いた台詞に少女がビクリとしながらこちらを振り向く
認識された、その事に気づいた余はしまったと心の中で叫ぶ
死霊王はビクビクしながら口を開く
「見ました?」
はて何の事だろうか?
亡者を生き返らせていた所だろうか?
首を縦に振るうと少女は顔を真っ赤にしながらうずくまるとブツブツ呟きだす
「いや、決してテンションが上がって踊ってたわけじゃなく、あれはれっきとした儀式のような物で・・・!」
少女は強く立ち上がると城門に向かって叫びながら走り出す
「あと・・・!俺はリッチーじゃないです!」
走りさる少女の後ろ姿を見ながら国王は呆然呟く
「リッチーではない・・・?」
少女がいた所には落としたと思われるアミュレットが落ちている
国王はアミュレットを拾い上げ観察する
レアアイテムというやつか?持ち主登録がされていて詳しく確認する事が出来ない
そんな国王に先ほど生き返った王国兵が跪く
「国王陛下・・・!私は一体・・・!?」
目の前の兵士は混乱しているようだ
だが今はそれどころではない
「国中に伝達せよ!」
国王はポカンとする目の前の兵士を一瞥する
「このアミュレットを装備出来た者を我が伴侶とする!」
リッチー曰くこのランタンを持ってこの服を着ればグラフ街まで霊魂を導けるらしい
「これは俺の趣味ではない・・・絶対にだ・・・」
フォレストゾンビが敬礼して道を開ける姿を無心で見つめながら、霊魂を従えグラフ樹海を進む
「しかしこれは便利だな・・・」
リッチーの目玉入りランタンを掲げると霊魂が道を教えてくれ、樹木がひとりでに動き出す
マーカーがついた木も動いてしまった気がしないでもないが気のせいだろう
霊魂の導くままに進むとあっという間に樹海を抜ける
「あれ?樹海って意外と狭いんだな」
樹海を抜け大森林を歩くこと数分、一向に敵がエンカウントしない
いや・・・正確には違うか
モンスターはいるにはいるがこちらを警戒して近寄ってこないのだ
霊魂のせいか?はたまたリッチーの目玉のせいか?
どちらにせよリッチーの目玉バンザイである
「このままいけば今日中に街に戻れるな!」
少し調子が良くなってきた俺はスキップしながら大森林を進む
霊魂を引き連れテンションが上がっている俺は大森林の中腹でNPCの物と思われる死体を発見する
「これはこれは・・・南無南無・・・」
ランタンを腰にさげて合唱していると霊魂の一つが死体の周りをぐるぐる漂っている
おや?これはもしかして?
試しにランタンを死体に掲げてみる
『ウヴォアアアアア!!!』
腐った死体が現れた!?
そう思った瞬間腐った死体の体がどんどん修復していき我を取り戻す!
『っは!?俺は一体!?』
おお!ほんとに生き返った!
だが様子がおかしい
NPCはポカンと口を開けてこちらを見たまま微動だにしないのだ
「あの・・・体の調子は大丈夫ですか?」
『ふつくしい・・・』
は?
両手を広げて俺に手を伸ばしてきたNPCをつい条件反射で殴り飛ばす
『っは!私はなんと無礼な・・・!あまりの美しさについ手を・・・!』
生き返って混乱でもしてるのか?
ぶつぶつ喋るNPCを放置して先を急ぐ
「しかし本当に生き返ったぞ!?」
改めてランタンの凄さを確認した俺は急いで街に戻るのであった
◇
城の中庭を走り抜けながら国王は冷や汗を流す
死んだ人間が生き返っているという情報を手にしたのだ
「そんな事ができる者・・・アンデットの王に違いない!」
城下町に死霊王現る
もしそんな事態になってしまえばこの国は終わりだ
死霊王がその気になれば一夜もかからないうちにゴーストタウンの出来上がりなのだ
そして死霊王に対する対抗手段は人間には無い
元々最弱の人間種
最近は冒険者なる人ならざる力を持った人間も確認されてはいるが今回ばかりは相手が悪い
「なぜこうも立て続けにおかしな事が起こる!?」
グランが突如冒険者を妃にと連れて来た時・・・いや・・・そもそも何故余に息子がおるのだ!?
先王が早死にして早期に国王になった余はまだグランとさほど歳が離れていない
そもそも伴侶となる人物すらいないのだ
今まで何も感じなかった疑問
しかしここに来て国王は初めてグランに違和感を感じる
だが今はそれどころではない!
「死霊種に見つかる前に逃げるんだ!一刻も早く!」
そう死霊王襲来の事態を知った国王は我先にと国外に逃亡を図っているのだ
しかし城門をくぐった所で門番を任せられている衛兵に引きとめられる
「国王陛下!?どうされたのですか!?」
「どうもこうもあるか!こんな所にいられるか!余は逃げるぞ!」
半ば半狂乱になっている国王は衛兵を振りほどいて走り出す
「はぁ!はぁ!ここまで来れば!!!」
もうすぐグラフ街から出られる!
そう言おうとして背筋に冷たい感触が走り物陰に隠れる
まさか・・・そう呟きながら街道の様子を伺う
そこでは一人の少女が舞っていた
青い髪が霊魂の光で反射し何とも言えない光を帯び、何を考えているのか物憂げな表情
大量の霊魂を背に、死者を導くその姿
着ている服はこの国の物とは全く異質な物
それは見るもの全てを魅了するような幻想的な光景
一つの霊魂が地面に潜っていったかと思えば、なんと先の戦で死んだ兵士がポカンとしながら立っている
見たところアンデットではない
「本当に・・・生き返った・・・?」
国王はまるで魂が抜き取られたかのように少女の舞いを眺める
「あれが・・・死霊王リッチー・・・?」
呆然と呟いた台詞に少女がビクリとしながらこちらを振り向く
認識された、その事に気づいた余はしまったと心の中で叫ぶ
死霊王はビクビクしながら口を開く
「見ました?」
はて何の事だろうか?
亡者を生き返らせていた所だろうか?
首を縦に振るうと少女は顔を真っ赤にしながらうずくまるとブツブツ呟きだす
「いや、決してテンションが上がって踊ってたわけじゃなく、あれはれっきとした儀式のような物で・・・!」
少女は強く立ち上がると城門に向かって叫びながら走り出す
「あと・・・!俺はリッチーじゃないです!」
走りさる少女の後ろ姿を見ながら国王は呆然呟く
「リッチーではない・・・?」
少女がいた所には落としたと思われるアミュレットが落ちている
国王はアミュレットを拾い上げ観察する
レアアイテムというやつか?持ち主登録がされていて詳しく確認する事が出来ない
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