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第五十一章 海賊討伐作戦会議


大繁盛のオクトリアの船の酒場
その片隅の席に陣取る有力クランリーダー代表者と有名冒険者
本日は海賊討伐作戦を考案中である

ちなみに俺は子供達の危機を救ったと言いくるめられて†断罪者†のメアリーに連れてこられた

「各自、情報の交換を行おう」

小鳥の会リーダー、会長が話を切り出し作戦会議が始まる
海パン姿の青年がスッと立ち上がる

「私の看破のスキルによると敵の総数は5300人です」

なぜか海パン姿のランズロットさん
もしかして遊んでたんじゃないだろうか

「更に情報を追加すると海賊達は100人単位で船に乗り各船にリーダーを配置しています」

なるほど・・・ただ遊んでたわけではなく情報収集をしながら遊んでたんだな?

ちなみに俺達チームグラフの総数は150人くらいだ
地図の上には大量の海賊の駒に向かい合う形で俺達の駒が置かれている

お次に何故か俺の後ろに控えていたクラン†断罪者†の代表メアリー
ちなみにマスターとサブマスは輪廻永劫の闘いに行ってくると言伝を残して領地の拡大に勤しんでいる
もうマスターはメアリーさんで良いんじゃないか?

「これは海原を漂流していた冒険者の情報ですが」

メアリーさん?俺はその漂流してた冒険者のほうが気になるんだが?

「海原を遭難中に海賊がエンカウント、ちょうどアズさんが海賊を見失った海域の近くだそうです」

なるほど・・・それで海賊の巣が大方絞られたんだな
作戦地図にはおおよその海賊の巣に赤丸がつけられている
ちなみに遭難した冒険者の情報は聞き出せなかった

「今度は俺のじょうほうでぃ」
 
漁業組合サブマス、イッカクさんが話し出・・・
というかこれ前回のドラゴン討伐作戦会議と流れが一緒じゃないか!
心の中でツッコミをいれているとここにきて海王がイッカクさんを手で制する

「クラマス・・・?」
「ここは・・・俺が話す・・・」

あ!海王がクラマスだったのか
新事実に驚愕の表情を浮かべる俺を無視して
海王が手振りで後ろに控えていたNPCを紹介する
赤髪ロングの隻眼の老人、名前は・・・オクトリア・・・?
 
「オクトリア王・・・だ・・・」
「「「オクトリア王!?」」」

その場の全員が驚愕の表情を浮かべる
なんでそんなお偉い人がこんな会議に!?
オクトリア王は悪戯が成功した子供のように喉で笑うと前に歩み出てくる

「会議に参加する前にまずアズ・・・君に礼を言っておかねばならない」

 全員が俺の方を見る、俺なんかしたかな?

「よくぞ我が娘を海賊から救い出してくれた」
「・・・子供達の中・・・姫がいた・・・」

海王の補足で納得する
助けた子供達の中にいた気品のある少女
あの子姫様かよ!?

「それに伴い我がオクトリアは此度の戦・・・全面的に協力する」

オクトリア王が地図の上に駒を追加していく
冒険者軍団からゴクリという音が聞こえてくる
盤面はオクトリアと海賊の数が同じくらい

「こんなに・・・良いんですか?」
「無論だ、これでも少ないほうだぞ?」

どや顔しているオクトリア王に礼を言うと改めて地図を見る
これで数の不利はなくなった
だが死んだら終わりのNPCを使うのは気が引ける

「・・・被害を・・・最小限にする」

海王がアイテムストレージから火炎爆弾を取り出す

「・・・俺が・・・乗り込む」

海王の言葉にイッカクさんと目元までフードで被った女冒険者が頷いている

「なるほど、敵の船は全てつながっておるのう・・・」
「良い作戦じゃいクラマス!」

それなんて赤壁の戦いですか?
だがそれでNPCの被害が少なくなるならやるしかない
難しい顔で地図を覗き込んでいると会長が静かに話しかけてくる

「鬼策士様は何か策はあるか・・・?」

全員がゴクリと喉を鳴らしこちらを見る
そのまなざしには少し畏怖が込められている気がするのはきのせいだろう

「そうですね・・・ここは海王の策に乗りましょう」

地図の海賊の巣の中心に海王の駒を置く

「海王が火をつけたあと俺が風を操り敵船の炎を更に強くします」
「待つんじゃい!それじゃあわしらも危ないんじゃい」

俺はアイテムストレージから杖を何本か取り出す

「この杖には特殊な細工が施してあるので各船の先端につけてください、これで自軍の船は守れます」
「・・・それで?火を強くした後は遠距離攻撃で一掃するわけだな?」

ざわ・・・ざわ・・・と周りがざわめく

『流石鬼策士様・・・』
『海王は捨て駒か?』
『筋が通ってるから手に負えん』

話がまとまったところでフードの女冒険者が手をあげる

「ちょっといいかのう?」
「新顔だね?何かなお嬢さん」

ランズロットがフード冒険者に続きを言うよう促す

「私が考えるに・・・このまま海賊が何もせず敗北するとは思えんのじゃ」
「確かに・・・そういえば海賊の後ろには赤金の鷲が潜んでいます!まさか!?」

フード冒険者の台詞にランズロットが真剣な表情を作る

「赤金の鷲が出てくる可能性を・・・考えなくてはなりませんね」

                     
                                      ◇          

フード冒険者の未確定の情報から様々な局面を想定して会議が白熱していく
白熱する会議に耐えれなくなった俺は一人船の外で潮風にあたる事にした

「ふー・・・奇策師の仕事も疲れるなー」

潮風にあたりながらホッピーコーラを飲んでいると先客がいる事に気づく

「アレク・・・どうしたんだ?親元に帰ったんじゃ?」

先刻のクエストログを確認するがクエストは確かに完了している

「アズか・・・僕は・・・いや・・・」

アレクは少し寂しそうな顔をすると俺の手元を見て察したのか真面目な顔をして話を続ける

「今回捕まっていた子達は皆貴族王族の子供でね」
「まーオクトリア王が出てきた時点でそんな気はしてたよ」

ゲンナリした俺の顔に苦笑しながらアレクは続ける

「僕は今回誘拐現場を目撃した第三者ってことだよ」
「じゃあクエストとは無関係って事か・・・」

確かに他の子供達は豪華な服を着ていたがアレクだけはボロボロの服だった
そのおかげで冒険者だと言っても子供達から信用されたわけだが・・・
・・・なるほど

「そういう事・・・僕に家はないからね」

地雷踏んだかな?
アレクは何事も無いかのように海原を眺めているが明らかにやせ我慢だ

家が無い・・・か・・・
思えば一人でいる事が多かった俺はBGOを始めてから一人になることは無かった
木漏れ日荘を開いてからは常にアクアやクラウスさん
木漏れ日荘の住人が側にいる
・・・そうだ!

「・・・じゃあうちに来るか?」
「・・・は?」

アレクが間抜け面でこっちを見ている

「家無いんだろ?俺はこう見えてアパート経営してるんだ、部屋も一個空いてるし」

アレクの瞳を真剣な眼差しで見つめる
賢い子供は全てを悟ったのか涙を流す

「ぼ・・・僕・・・は・・・家賃をはらえ・・・ない・・・」
「社宅って事にする」
「働ける・・・自信が・・・ない・・・」

涙を流すアレクを抱きしめる

「アレクなら良い店員になる」
「う・・・ぐ・・・・」

アレクが泣き疲れ眠りにつくまで抱きしめていた俺は
子供達救出の緊張の糸が切れてそのままアレクのベッドで休むことになった

<木漏れ日荘に新たな住民が加わった>

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