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第三十四章 決勝と面接と

「よう!フーキ!弁当持って来たぞー!」

決勝戦前、選手席にいるフーキに弁当を渡す

「おお、助かるね」
「驚けフーキ!プレイヤーメイドの料理にはなんとステータス上昇効果があるんだぞ!」

素材、質などによってステータス上昇の内容は変わるがとてつもない情報だ!

「あぁ、知っとるよ?酒場にアズ目当ての客の半分は能力付与目当てやったし」

知らないうちに利用されていたようだ
ドヤ顔から一転して乗っているジローに顔からダイブする

だ、だがしかぁし!今回の料理はドラゴン肉をふんだんに使ったゴウジャス弁当!能力値アップもドラゴンクラスだ!

「まもなく☆決勝戦が始まります選手の<自主規制>は直ちに<自主規制>してコロシアムに入場して下さい☆」

なんだなんだ!?大声で規制音ならしてる実況者は!あんなの見つかったら運営に即BANくら…
大丈夫そうだわ
そこには白髪の美少女フィー、運営側の人工知能がいる

「観客席の<自主規制>は☆あまり<自主規制>してるとBANしちゃうぞ!☆」

いや、君が一番BANされるべきなんだが…よく運営は凍結せずにそのまま野放しにしたな…
しかしフィーの恐ろしいところは、普段文字により不特定多数の人から言葉を教えられている為
無表情で淡々とした口調で台詞を放っている事だ
ゲーム内でフィーに何か教えるイベントがあったら今度は真っ当な人工知能になりますように…

二人でドラゴンランチを食べて試合開始の合図を待つ

「選手の<自主規制>、決勝戦が始まるから<自主規制>やめてはやく中央に<自主規制>!」
もはや何言っとるのかすらわからんね…
フィーの合図に苦笑しながら中央に歩き出すフーキ

†エンドシャドウ†が右手を額に当て、目を閉じたままフーキの対面に立つ

「今日という日、待ち侘びたぞ、我が宿敵、模擬目の持ち主フーキ」
「あぁ…やっぱバレてましたか」
「無論だ、故に二回戦、我が盟友の名誉の為、我が勝ち上がってきた」
「って事はやっぱり†エンドシャドウ†さんの気を使うスキルでフィンさんの言霊はある程度無視した動きができたんですね」
「…その通りだ」

睨み合っている二人にハラハラしながら
俺はトップクラスの対人を参考にするべく観察する

「では<自主規制>!これより決勝戦、フーキ対†エンドシャドウ†を開始します!」


我が両手を眼前に、足を半歩出す
我は眉をひそめる
フーキの構えは…我と全く同じ構え
一回戦でとっておきを見せたのがまずかった
まさか模擬眼、コピーズアイの持ち主だとは、我の失態で盟友の不利な状況を作ってしまうとは

盟友の為にも、ここは勝たせてもらう!
足に力を込め間合いを詰める
フーキが体を捻り我を捕まえようとして諦める
我は不敵に笑みを浮かべる

「初めて見る技ならどう対処する?」
アッパーと見せかけ黒のシミターを取り出し斬りつける

ガキィン!

我は目を見張る
フーキの手には我の赤のシミター、クリムゾンノヴァ

一瞬の隙をついて我から奪ったというのか!
何度か剣戟を交える

「贋作がオリジナルに勝てるわけがなかろう!」
だが徐々に猿真似から応用まで発展、我の技の上の動きを見せ始める

「この動きは」
フーキのシミターが我のシミターを弾き飛ばし首元に当てられる
「もう本物と変わりないやろ?」
その言葉を最後に画面が暗転する


「優勝は☆<自主規制>のフーキ選手!」
フーキが拳を振り上げる!
会場が叫び声に包まれる



フーキが賞品授与や知り合いからどつかれていたのでしばらくそっとする事にした俺は
朝方に張り出していたクエストと入居希望の紙を片手に木漏れ日荘で面接の時間を待っている

「あずちゃんあずちゃん!たった半日で3件も来るなんて凄いね!」
アクアが隣ではしゃいでいるが、知らぬが花だろう
この3件が厄介なやつらしかいない事に

そうこうしていると一人目の入居希望者が現れる
緑髪のイケメンは柔和な笑顔を浮かべ、隣のアクアは
「きゃー!すっごい美形さんだよ!?この人ホールスタッフに勧誘しない?」
と興奮している所にイケメンが要求を挟む

「入居希望で、ご飯は部屋の前まで持ってきてくれ、金ならある、余程の事がない限り部屋からは出ない」
アクアが真顔になっている
恐らくグレイが言ったことの意味を考えているんだろう
だがこいつは何も考えてないと思うぞ?
「部屋までご飯を持っていくサービスには無いので降りてこい、というか宿屋はどうした?あそこのほうが百倍快適だろうに」

グレイは遠い目をしながら
「あそこは確かに良い所だ…だが最近どのサービスでもゴミを見る目で見られ始めてな…」
更に何かを思い出したのか震え出すグレイ
「それにドラゴンの盾になってくれないか?なんて勧誘が最近引っ切り無しで…挙句強行手段に出るやつもいて…逃げてきたのさ」
アクアは「ドラゴンの盾なんて!お兄さんもしかして凄い人!?」と目を輝かせ始めた
その内宿屋の人のようにゴミを見る目をするのも遠くないだろう

しかし先程の発言が気になる
前半は自業自得だろうが
後半は多分俺のせいだ
この一週間継続的に安定してグラフ草原をドラゴンから守るにはやはり肉壁さんは必須、当初の目的のほうが安定すると各リーダーに再度進言したのだ
最初引き気味だったが、グレイなら長時間ドラゴンの相手をできるからドロップ報酬の抽選率が上がるぞ?と言ったらみんな、それもそうだなっと手のひら返し
情報料としてドラゴンの肉は全部こっちにくれる約束だ

「じゃあご飯には降りて来るということで承諾っと」
「えぇ!?部屋から出たくない!」

尚も愚図るグレイを二階の客室に案内封印する

「これで一人目…」

二人目は厨房スタッフ希望の金髪サイドの女の子

「あずちゃんあずちゃん!今度は物凄い美少女さんだよ!厨房スタッフよりホールスタッフに欲しいんだけど?」

美少女なのは認めるが問題はそこには無い、この子に関しては食事に関して一切の信頼は無い
つまみ食いとかで、客の飯を全ロストしかねない

[頑張ります]

メモではそう書いているが…この子にはサクラになって貰おう、いざという時割引価格で食べてもらうというのでどうだろうかと確認すると無言の握手を求められた

「これから…よろしく…あと折角だからうちの二階に住まないか?」

ルピーはコクコク頷く

一抹の不安を残し二階に案内する

「これで二人目…」

三人目は実は料理もホールも出来るのは分かっている
問題は俺の精神衛生上よくない事だろうな

「ひーろー!お姉ちゃんだよー!」
そう言いながら俺とアクアにハグする
まさか一瞬でアクアもハグの対象にするとは…恐るべし…
アクアは突然の出来事に放心している
姉の魔の手から抜け出して杖を取り出すと風精霊をぶつけて吹き飛ばす

「とりあえず姉さんは調理、ホールの両方お願い」
言うかどうか悩んだ後とりあえず聞いてみる
「ついでにここに住む?」
「ガッテン!私もここに住むー!」
二階に案内する

本格的な営業は明日からだ
今日の三人を思い浮かべてため息しかでないのであった

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