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第三章 青き獣


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グラフ草原
グラフ街を囲うように広がる草原
北にグラフ大森林、南にヌレー河川と続く
出現するモンスターは弱く、単体での出現が多い事から
多くの駆け出し冒険者がこの草原で日夜戦闘訓練をしている
                              グラフ幻想譚
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無事フーキと合流、PTを組んでグラフ平原にやってきたアズ
しかしそこには凶悪なモンスターが根付いていた。

ここに出現するモンスター、青い毛並みをたなびかせ、赤い瞳で多くの新人冒険者達を虎視眈々と狙っているネズミの姿をしたモンスター、ブルーラット。

「おい!誰だよ!一番の雑魚敵こんな強化したやつ!」
「運営まじふざけんな!」
「ちょ!やめ!俺のぼろの服が破ける!」
「おい!男の裸なんて・・・待てよ!女性プレイヤーはいないのか!?」
「「!?」」

 そう最初の雑魚敵にしては強い!強すぎるのだ!
フーキがタンクをしてくれているから助かるが、ジロー、フーキ、俺の三人でタコ殴りにしても倒すのに大分時間がかかる。
しかしそのモンスターよりも凶悪に見える冒険者達もなんとも言えない情景を醸し出している、どっちが凶悪なモンスターかはあえて触れないのと、女性冒険者が被害にあっていない所が救いである。

「しかし強すぎるっていうのは同意やね」

フーキが汗を拭いながらつぶやく

チュートリアルではモンスターと全然出会わなかったが今は歩くたびに戦闘になっている気がする
無理して戦う必要も無い、けど冒険者としては戦いにロマンを感じる。

「俺達だと火力不足なんだよなぁ」

そもそも火力が無に等しい俺とジローは言わずもがな
無手術で武器無しにも関わらず、格ゲーさながらのコンボを決めて戦えるフーキですらブルーラットを倒すのにコンボ3回分くらい決めなくてはならない
まぁフーキは防御が異常に高いので正直見てて安心する、死ぬことはないしコンボでヘイトがこっちこないから俺も死ぬことはないし一石二鳥である

「しかし俺も何とかブルーラットにダメージを与えれないかなぁ…」

そんな事を考えながらフーキの戦いを見学しながら休憩・・・おお!すっげぇ昇竜拳からの空中・・・あれ?波動拳でてない?無手術ってそこまで出来るの!?

「これは・・・俺のスキルにも何かしら可能性があるかもしれんな・・・」

そう思いスキルを分析

逃走術、これは逃走の成功率アップ等につながる、戦闘には関係なさそうだ

隠密術、これは隠れる事に特化したスキル、不意打ちからのファーストアタックは魅力的だがいかんせん火力不足、せめて武器がないと使い物にならない

見切り、相手の動きが少し遅く見え、かつ急所がわかるようになる
運の高さと併用してなかなか良い組み合わせに見える、隠密と合わせれば武器によっては暗殺者さながらの事もできるかもしれない

独力、人形使いは・・・考えるまでもないが最後に自然調和である。
一体何ができるのか全くわからず、取得条件と同じくただ寝そべっていたら体力がもりもり回復したくらいしかわかっていない。

「しかし無手術で波動拳が出せるのであれば・・・いける!いけるぞ俺!」

そう自分を鼓舞し飛び上がると、地面に手を当て草を操るイメージ・・・
すると自分を中心とした一定範囲の草が不自然に動き出す
そのままの勢いでブルーラットに絡めつける、見事ブルーラットを捕えた!俺流石だわ!
だが所詮草、数秒の足止めにもならずかつブルーラットのヘイトがこっちに向いてしまった

「アズ!まずいで!」

フーキとジローが急いで駆けつけるがブルーラットに足を噛まれる、これがものすごい痛い
ヘッドギアの設定で痛みを80%までにしているがとても痛い!
そして噛まれただけで㏋が半分以上消し飛ぶ、フーキさんよくこんな攻撃、物ともせず耐えてましたね!

バックステップをしてそのまま草の上に倒れこむ、万事休す
目を閉じ覚悟を決める・・・だがいつまでたっても次の攻撃は来ない
周りの様子を見るとブルーラットがきょろきょろと周りを見ている
いやブルーラットだけじゃなくフーキとジローも周りを見ている
何かあったのだろうか?と思っているとブルーラットがそのままフーキに襲い掛かり戦闘が再開され、フーキがブルーラットを倒す

「なんで今俺攻撃されなかったんだろうな」

そういいながらフーキに話しかけると滅茶苦茶驚かれた、そんな幽霊にあったような顔やめてくれ

「生きとったん!?急に姿がみえんようになったけん街にリスキルされたとおもっとたわ!」

つまり倒れた拍子に俺が見えなくなったと・・・自然調和で自然と調和した?とかそんな理論か?隠密スキルとかの隠れた能力が発動したのか?それとも両方か

「これは・・・試してみる事が増えたな」

俺はほくそ笑む

少しでも戦えるようにフーキと一時PTを解散、独力の効果で能力を底上げしつつ、フーキには周りから見た感想を頼む

目標のブルーラットを発見!標準より少し小さいくらいで青い毛をたなびかせている
即座に隠密術で真後ろまで移動、見切りで急所を思いっきり殴る!
ブルーラットは驚いたように後ろに飛びのきこちらを見る、そこで自然調和!大地に寝そべる!
ブルーラットが目標を見失い周りを見渡してい所にジローを召喚
ジローにブルーラットを誘導しつつ俺との真反対に移動してもらう、そこでジローをアイテムストレージに戻す、再び目標を見失ったブルーラットに隠密で近づき攻撃!これを繰り返す事数回、遂に単独?でのブルーラットを討伐することに成功した!

「どうよ?完封だぜ?」

したり顔でフーキに話しかけるとなぜだか微妙な顔をしている、なんだ?何か問題があったか?

「いやー完封はええんやけど・・・時間かかり過ぎるのと地味やわ・・・レベルも上がっとるで?」

新たな可能性に気づいた俺にそんな感想とは・・・こいつ、ここで倒しても構わんのだろう?
と思ったが俺とフーキでは間違いなく泥仕合にしかならないので軽く小突く程度にする、ついでにジローのパンチもとぶ

フーキと別れ(ソロでもうちょい頑張るらしい)街に戻りがてらステータスを開き能力を確認する

<Lv3
<HP18 MP7 力4 防御2 知力6 俊敏3 運7 残9P 
<スキル:人形使い、見切り、隠密術、自然調和、独力     枠外 逃走術、精霊術

戦闘面でのステータスが著しく上がっていた!それに新スキル!精霊術とな!

<精霊術>
精霊を見ることができるようになり、また力を借りる事ができる
取得条件:自然物と協力して物事を成し遂げる

来ましたよ!精霊の力を借りる!
見切りを外し精霊術をセット、周りに淡く光る光源体が現れる
あれだほかのゲームでいうウィスプ的な
その光源に触ると懐中電灯に触ったかのような温かみを感じる。
試しに近くの岩に向かって光源に攻撃しろ!と命令してみると光源が強く輝やき岩に突撃していき、岩からボコッという音がした
つまりこれは精霊魔法ってことですね!

しかしおかげで余っているステータスポイントの割り振りに更に悩むことになる、今回のような奇襲特化にするか、精霊術による知力特化にするか
ちなみにジローもレベルが上がっている、フーキ曰く俺と同タイミングでレベルが上がって見えたそうだからプレイヤーと連動しているのかもしれない

<ジロー>カテゴリー(人形)耐久値(48%)
<Lv3
<HP10 力3 防御2 俊敏4 運1 
<スキル:囮


力が上がってるのは序盤フーキと戦ってたからとして俊敏は後半に誘導してもらってたからだろう
能力の上がり具合からもプレイヤーと同じく行動方法によって上がるステータスが変わるのか?
囮は・・・ジローがつぶらな瞳でこちらを見ている、ごめんてソロで戦うにはあれしかなかったんだって
そこで唐突にシステムログが流れる

<システムログ>
緊急メンテナンスのお知らせ

「・・・」

俺は無言でログアウトするのであった

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<囮>
敵のヘイトを高め自身を攻撃対象とさせる
取得条件;ヘイトトップの状態で攻撃は一切せず戦闘に勝利する

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