異世界召喚!?ゲーム気分で目指すはスローライフ~加減知らずと幼馴染の異世界生活~
3ー5.5軍曹リスペクト
side トモキ
トモキは国王に呼ばれて王城に行っていた。帰ってきたトモキの顔色は、かなり悪かった。
「どうしたんですか? 顔色がすごく悪いですけど」
「僕って王国名誉騎士だから王国親衛騎士団の名誉団長もやってるんだけどさ、ソルバニア連合との国境付近に災厄竜が住み着いたらしくて」
災厄竜ってもっとこう、山奥とかの洞窟とかに封印されてるような生き物じゃないの? なんで変な場所に住み着いちゃったのかな?
「それを王国親衛騎士団と一緒に討伐するとかですか?」
トモキは、ユウコの勘の良さに驚きながら、王城で聞いてきたことを教える。
「王国親衛騎士団と一緒なんだけど、ソルバニア連合からも代表の人達が来てくれるらしいんだ」
「なら別に、頭を抱えるような内容ではないと思うんですが」
他にも人手があれば、人海戦術もできるし、いけると思うよね。僕も、王国親衛騎士団について知らなかったらそう思ったよ。
トモキは王国親衛騎士団の根本が積極的に戦うことに向いてない事を教える。
「そうなるはずだよね。でも王国親衛騎士団って攻めに関しては大して強くないんだよね。そりゃ、一般兵に比べたら強いけど、もともと一般人で戦いの基礎を知らない人たちから戦えるようにするのは難しいから、せめて国を守れるようにって迎撃優先になっちゃうんだ。だから迎撃用の戦い方になっちゃって……」
カルドクルシュ王国王国親衛騎士団は、迎撃戦においては敵なしと言われるほどだが、自発的に戦うことに関しては一般人と大差ないのだ。
「それは、困りますね。ソルバニア連合の代表さんに負担がかかりすぎますからね」
そうなんだよ。負担になっちゃったら駄目だと思うし、どうするべきかなぁ。
トモキはこの現状に頭を抱えていた。
「元々能力が優秀な人が多いから、迎撃する分には大して問題がなかったからね」
「いっそ、洗脳でもしてみますか?」
洗脳かぁ、洗脳ねぇ……
トモキは洗脳という言葉に何か思い当たることがあるらしく、元の世界の記憶を思い出す。
「そうだ、あの方法があった。ありがとう、ユウコさん」
「なんですか、洗脳で思いつく方法って?」
「某戦争映画の新兵教育を思い出してね。多分知らないと思うけど」
僕が生まれる前の映画だからなぁ。僕も映画DVD安売りセールでたまたま見つけた映画だし。
「分かりませんね、私は映画自体あまり見ませんし、見るとしてもアニメ映画が多いですから」
「そうだよね。まぁ、この方法は使えると思うし、2週間後の討伐に向けて今から訓練しに行くよ。」
「今から2週間後の話だったんですか!?」
ものすごく驚くユウコに、トモキは苦笑いを浮かべながら頷いた。
*****
翌朝、トモキは王城の地下にある王国親衛騎士団の訓練場に来ていた。
「王国親衛騎士団、全員整列。これより名誉団長から話がある。」
流石は迎撃最強の王国親衛騎士団だなぁ。
トモキは統率のとれた王国親衛騎士団を感心しながら見ていた。
「団長も定位置に着いたね。王国親衛騎士団名誉団長のトモキです。本日は重大な発表があります。国王様から直々の依頼で王国親衛騎士団は、ソルバニア連合との国境付近に住み着いた災厄竜を討伐することになった。」
「災厄竜、嘘だろ」「王国親衛騎士団は安全な職じゃないのか」「災厄竜なんて勝てる訳ない」「国王様直々の依頼とはいえ」
災厄竜といえば、名の通り災厄級のモンスターの中でも最強と言われている、恐ろしいモンスターだ。基礎教養として災厄竜の恐ろしさについて知っている王国親衛騎士団の団員はザワつく。
やっぱり、災厄竜とか国を守るのはずの仕事で戦うとは思わないよね。
「全員落ち着け、まだ名誉団長の話は終わっていないぞ。」
団長の一言で団員たちのザワつきは静まった。トモキは団長の統率力に改めて感心するとともに、自分なんかが名誉団長でいいのかと思った。
「本日から、2週間後の討伐に向けてこちらが指示する特訓に参加して欲しい。2週間後の討伐にはソルバニア連合からも代表となった強者達が来る。彼らと協力して討伐に当たって欲しい。勿論討伐成功報酬は山分け、特に活躍したものには国王様より、称号が授与される。何か質問、異議、その他あるかな?」
「特訓はいつあるんでしょうか?」
団長はトモキにたずねる。
「毎日、泊まり込みだけど。問題はある?」
「いえ、問題ありません」
「他にはないね。じゃあ僕の言う通りにするんだよ」
トモキはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
それからの2週間は地獄のようなものだった。山にこもり、ハード過ぎるトレーニングに、罵詈雑言。飯と睡眠は最低限。心が壊れていく中で団員たちはついに武器に話しかけ始めた。
「武器に対して話しかけちゃってるんですけど、大丈夫なんでしょうか?」
様子を見にきたユウコは引き気味に言う。
「大丈夫だ。今のところ問題はないからな。しっかりと討伐戦で証明するよ。」
一体どうしたら武器に話しかけることすら問題ないってなるんだろうとユウコは思ったが、怖くて聞くことができなかった。
トモキ side out
side ミーシャ
ある日の昼下がりのこと。ユウトの屋敷では仕事を終えたミーシャがソファーに伸びていた。
「掃除は終わったよ、ニカさん。これからお茶にでもしな~い?」
「そうですね、ではちょっと待っててください」
ニカは少し疲れているようで、ソファーで伸びているミーシャへの注意をする様子もない。
ニカが、紅茶を淹れようとキッチンに向かおうとした時、ソファーの前のテーブルに置いてあったユウトの携帯が震えだす。
「りょうかーい。ってご主人からもらった魔道具が光ってるよ」
「えっ、ちょっ、どうしましょう?」
ユウトの携帯からは、ユウトから電話がかかってきているが、携帯電話について微塵も知らないこの世界生まれの2人は困惑するばかりだった。
「えーっと、ご主人作成ケイタイの使い方には光ったら緑のボタンを押すとご主人と会話できるって書いてあるから緑のボタン押してみるの~」
ミーシャはその近くに置いてあった、ユウト特製の説明書をちょっと眺めて、その指示通りに操作をする。
ニカは壊れたら弁償なんてできないのに、魔道具ってだけで高いのに、オリジナルなのに、とミーシャの行動に頭を抱えていた。
『あ、ニカ元気にしてる?』
「えっ、ご主人の声、何がおこってるの!?」
「ちょっと、ミーシャ。えっ、ご主人? あと、元気ですよ」
突然、携帯電話からユウトの声が聞こえたものだから2人とも更に困惑するばかりだった。
『そっか。なら良いんだけど、今からそっちにちょっと戻るから』
「会話ができるのですか? 凄い」
「あれほど敬語をと言っているのに。あっ、ご主人、分かりました」
ニカはやりたい放題で、敬語も使わないミーシャを叱りながらユウトに返事をする。
「ちょっとミーシャ、会話の途中で割り込んだりするのはやめてくださいよ」
「えへへ、ごめん、ごめん」
『なんか、ここ数日であった?』
ユウトは2人の元気そうな声を聞いて安心したのか、いつもと変わらない口調で質問をしていく。
「領主さんがリバシーだかオセロットだかで、ご主人に会いたがって毎日来てるんですけど。領主さんとどんな関係なんですか?」
ミーシャは何を思ったのか、出掛ける準備を始める。そして、電話が終わったニカに一声かけて屋敷を出ていく。
「ニカさん、領主さんのところに行ってくるよ」
「あっ、ちょっ……はぁ」
残されたニカは、溜め息を一つついてから、ユウトを迎える準備を始める。
*****
ミーシャが屋敷を飛び出して10分程。走っていたミーシャは大きな屋敷の前に来ていた。
「領主さん、領主さーん」
「あら、ユウトさんのところのメイドちゃんじゃない、今日はどうしたの?」
屋敷の前で、ミーシャが声を張り上げていると、屋敷からメイドが出てくる。
「えっと、領主さんに直接伝えることがあるんです」
「そうですか、じゃあこちらにどうぞ」
「領主さん、ユウトさんのところのメイドちゃんが見えてますよ」
『なっ、なんだって。ユウトくんが来たのか? すぐに行こう』
メイドがら領主に声を掛けると、その数秒後には階段からドタバタと音をたてて領主がやって来る。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
メイドは一応と言いたげな感じで、階段の下で盛大に転んでいた領主に声をかける。
「領主さーん、ご主人がソルバニアから戻ってくるらしいの、2、3時間後に着くらしいの。その報告に来ましたー」
ミーシャもしゃがみ込んでそう言うと、倒れていた領主は上体を起こしミーシャに抱きつく。
「よし、メイドちゃん。今すぐユウトくんを迎えに行こうじゃないか」
「えっ、今すぐですか? 待っててもくると思いますけど」
「なぁに、早く来てもらうんだよ。私は領主だからな、権力があるんだ。さぁ行こう」
「あぁー、ちょっと待ってくださいよー」
勢いよく駆け出し、玄関の扉を開け放った領主をミーシャは全力で追いかける。
ミーシャ side out
トモキは国王に呼ばれて王城に行っていた。帰ってきたトモキの顔色は、かなり悪かった。
「どうしたんですか? 顔色がすごく悪いですけど」
「僕って王国名誉騎士だから王国親衛騎士団の名誉団長もやってるんだけどさ、ソルバニア連合との国境付近に災厄竜が住み着いたらしくて」
災厄竜ってもっとこう、山奥とかの洞窟とかに封印されてるような生き物じゃないの? なんで変な場所に住み着いちゃったのかな?
「それを王国親衛騎士団と一緒に討伐するとかですか?」
トモキは、ユウコの勘の良さに驚きながら、王城で聞いてきたことを教える。
「王国親衛騎士団と一緒なんだけど、ソルバニア連合からも代表の人達が来てくれるらしいんだ」
「なら別に、頭を抱えるような内容ではないと思うんですが」
他にも人手があれば、人海戦術もできるし、いけると思うよね。僕も、王国親衛騎士団について知らなかったらそう思ったよ。
トモキは王国親衛騎士団の根本が積極的に戦うことに向いてない事を教える。
「そうなるはずだよね。でも王国親衛騎士団って攻めに関しては大して強くないんだよね。そりゃ、一般兵に比べたら強いけど、もともと一般人で戦いの基礎を知らない人たちから戦えるようにするのは難しいから、せめて国を守れるようにって迎撃優先になっちゃうんだ。だから迎撃用の戦い方になっちゃって……」
カルドクルシュ王国王国親衛騎士団は、迎撃戦においては敵なしと言われるほどだが、自発的に戦うことに関しては一般人と大差ないのだ。
「それは、困りますね。ソルバニア連合の代表さんに負担がかかりすぎますからね」
そうなんだよ。負担になっちゃったら駄目だと思うし、どうするべきかなぁ。
トモキはこの現状に頭を抱えていた。
「元々能力が優秀な人が多いから、迎撃する分には大して問題がなかったからね」
「いっそ、洗脳でもしてみますか?」
洗脳かぁ、洗脳ねぇ……
トモキは洗脳という言葉に何か思い当たることがあるらしく、元の世界の記憶を思い出す。
「そうだ、あの方法があった。ありがとう、ユウコさん」
「なんですか、洗脳で思いつく方法って?」
「某戦争映画の新兵教育を思い出してね。多分知らないと思うけど」
僕が生まれる前の映画だからなぁ。僕も映画DVD安売りセールでたまたま見つけた映画だし。
「分かりませんね、私は映画自体あまり見ませんし、見るとしてもアニメ映画が多いですから」
「そうだよね。まぁ、この方法は使えると思うし、2週間後の討伐に向けて今から訓練しに行くよ。」
「今から2週間後の話だったんですか!?」
ものすごく驚くユウコに、トモキは苦笑いを浮かべながら頷いた。
*****
翌朝、トモキは王城の地下にある王国親衛騎士団の訓練場に来ていた。
「王国親衛騎士団、全員整列。これより名誉団長から話がある。」
流石は迎撃最強の王国親衛騎士団だなぁ。
トモキは統率のとれた王国親衛騎士団を感心しながら見ていた。
「団長も定位置に着いたね。王国親衛騎士団名誉団長のトモキです。本日は重大な発表があります。国王様から直々の依頼で王国親衛騎士団は、ソルバニア連合との国境付近に住み着いた災厄竜を討伐することになった。」
「災厄竜、嘘だろ」「王国親衛騎士団は安全な職じゃないのか」「災厄竜なんて勝てる訳ない」「国王様直々の依頼とはいえ」
災厄竜といえば、名の通り災厄級のモンスターの中でも最強と言われている、恐ろしいモンスターだ。基礎教養として災厄竜の恐ろしさについて知っている王国親衛騎士団の団員はザワつく。
やっぱり、災厄竜とか国を守るのはずの仕事で戦うとは思わないよね。
「全員落ち着け、まだ名誉団長の話は終わっていないぞ。」
団長の一言で団員たちのザワつきは静まった。トモキは団長の統率力に改めて感心するとともに、自分なんかが名誉団長でいいのかと思った。
「本日から、2週間後の討伐に向けてこちらが指示する特訓に参加して欲しい。2週間後の討伐にはソルバニア連合からも代表となった強者達が来る。彼らと協力して討伐に当たって欲しい。勿論討伐成功報酬は山分け、特に活躍したものには国王様より、称号が授与される。何か質問、異議、その他あるかな?」
「特訓はいつあるんでしょうか?」
団長はトモキにたずねる。
「毎日、泊まり込みだけど。問題はある?」
「いえ、問題ありません」
「他にはないね。じゃあ僕の言う通りにするんだよ」
トモキはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
それからの2週間は地獄のようなものだった。山にこもり、ハード過ぎるトレーニングに、罵詈雑言。飯と睡眠は最低限。心が壊れていく中で団員たちはついに武器に話しかけ始めた。
「武器に対して話しかけちゃってるんですけど、大丈夫なんでしょうか?」
様子を見にきたユウコは引き気味に言う。
「大丈夫だ。今のところ問題はないからな。しっかりと討伐戦で証明するよ。」
一体どうしたら武器に話しかけることすら問題ないってなるんだろうとユウコは思ったが、怖くて聞くことができなかった。
トモキ side out
side ミーシャ
ある日の昼下がりのこと。ユウトの屋敷では仕事を終えたミーシャがソファーに伸びていた。
「掃除は終わったよ、ニカさん。これからお茶にでもしな~い?」
「そうですね、ではちょっと待っててください」
ニカは少し疲れているようで、ソファーで伸びているミーシャへの注意をする様子もない。
ニカが、紅茶を淹れようとキッチンに向かおうとした時、ソファーの前のテーブルに置いてあったユウトの携帯が震えだす。
「りょうかーい。ってご主人からもらった魔道具が光ってるよ」
「えっ、ちょっ、どうしましょう?」
ユウトの携帯からは、ユウトから電話がかかってきているが、携帯電話について微塵も知らないこの世界生まれの2人は困惑するばかりだった。
「えーっと、ご主人作成ケイタイの使い方には光ったら緑のボタンを押すとご主人と会話できるって書いてあるから緑のボタン押してみるの~」
ミーシャはその近くに置いてあった、ユウト特製の説明書をちょっと眺めて、その指示通りに操作をする。
ニカは壊れたら弁償なんてできないのに、魔道具ってだけで高いのに、オリジナルなのに、とミーシャの行動に頭を抱えていた。
『あ、ニカ元気にしてる?』
「えっ、ご主人の声、何がおこってるの!?」
「ちょっと、ミーシャ。えっ、ご主人? あと、元気ですよ」
突然、携帯電話からユウトの声が聞こえたものだから2人とも更に困惑するばかりだった。
『そっか。なら良いんだけど、今からそっちにちょっと戻るから』
「会話ができるのですか? 凄い」
「あれほど敬語をと言っているのに。あっ、ご主人、分かりました」
ニカはやりたい放題で、敬語も使わないミーシャを叱りながらユウトに返事をする。
「ちょっとミーシャ、会話の途中で割り込んだりするのはやめてくださいよ」
「えへへ、ごめん、ごめん」
『なんか、ここ数日であった?』
ユウトは2人の元気そうな声を聞いて安心したのか、いつもと変わらない口調で質問をしていく。
「領主さんがリバシーだかオセロットだかで、ご主人に会いたがって毎日来てるんですけど。領主さんとどんな関係なんですか?」
ミーシャは何を思ったのか、出掛ける準備を始める。そして、電話が終わったニカに一声かけて屋敷を出ていく。
「ニカさん、領主さんのところに行ってくるよ」
「あっ、ちょっ……はぁ」
残されたニカは、溜め息を一つついてから、ユウトを迎える準備を始める。
*****
ミーシャが屋敷を飛び出して10分程。走っていたミーシャは大きな屋敷の前に来ていた。
「領主さん、領主さーん」
「あら、ユウトさんのところのメイドちゃんじゃない、今日はどうしたの?」
屋敷の前で、ミーシャが声を張り上げていると、屋敷からメイドが出てくる。
「えっと、領主さんに直接伝えることがあるんです」
「そうですか、じゃあこちらにどうぞ」
「領主さん、ユウトさんのところのメイドちゃんが見えてますよ」
『なっ、なんだって。ユウトくんが来たのか? すぐに行こう』
メイドがら領主に声を掛けると、その数秒後には階段からドタバタと音をたてて領主がやって来る。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
メイドは一応と言いたげな感じで、階段の下で盛大に転んでいた領主に声をかける。
「領主さーん、ご主人がソルバニアから戻ってくるらしいの、2、3時間後に着くらしいの。その報告に来ましたー」
ミーシャもしゃがみ込んでそう言うと、倒れていた領主は上体を起こしミーシャに抱きつく。
「よし、メイドちゃん。今すぐユウトくんを迎えに行こうじゃないか」
「えっ、今すぐですか? 待っててもくると思いますけど」
「なぁに、早く来てもらうんだよ。私は領主だからな、権力があるんだ。さぁ行こう」
「あぁー、ちょっと待ってくださいよー」
勢いよく駆け出し、玄関の扉を開け放った領主をミーシャは全力で追いかける。
ミーシャ side out
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