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魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

ユノの力

夜、弥一たちは【フェルセン大迷宮】の地下施設にいた。大きな機械のベットにユノが横になっている。ガラスの向こうの部屋では弥一が画面に映るグラフと数値を真剣に見ている。

いま弥一が見ているのは、ユノの魔術回路の状態だ。毎日少しづつ回路の状態を整え、今日ようやく最終調整だ。弥一は調節した魔術回路の状態を緊張しながら注意深く見ていく。

時間を掛けて精密に検査していく。そして検査が終了。

「検査結果は・・・完全定着!!よし!成功だ!!」

弥一は椅子から立ち上がり、隣の診察室に駆け込む。

「ユノ!成功だ!もうこれで心配ないぞ!!」

ユノを抱き締めその場でグルグル回る。ユノは「きゃー!」と言いながらグルグルにはしゃいでいる。弥一がグルグルをやめるとエルとセナが入ってくる。

「弥一結果は!?」

「無事成功だ!もうこれで命の心配はない」

「ほんと!?よかったユノちゃん!!」

「ママー!」

検査結果にセナは涙を浮かべる。ユノはそんなセナに駆け寄り抱き着く。

「よかったですねマスター。これで安心ですね」

「ああ、しかもこれでインサニアの力を利用できるかもしれない。ユノ、明日外に行ってみるか」

「いくぅ〜・・・」

と弥一が声をかけるとセナに抱っこされているユノが眠そうに呟く。長い時間の検査で疲れたのだろう、可愛らしいあくびをするとそのままコクコクと船を漕ぎ出す。

「だいぶ疲れてるみたいだから先にユノちゃんを寝かせるね。弥一はどうする?」

「俺は検査結果をまとめてから寝るよ」

「でしたら私も手伝います」

「悪いなエル。そういうことだから先に寝ててくれ」

「わかった。じゃあおやすみ弥一」

「ああ、おやすみ」

弥一とセナはお互いに軽く頬にキスをする。するとセナの腕の中で船を漕いでいたユノが、半分夢の中の状態で、おやすむのキスをねだってくる。弥一が頬にキスをすると、そのまま幸せそうな表情で眠ってしまった。

セナがユノを抱きかかえ部屋から出て宿の部屋に戻る。実はこの地下施設は宿で弥一たちが借りた部屋と繋がっている。【転移石】を改造し、元の場所に戻れるようにしたのだ。

するとエルがはぁ〜とため息混じりの声を漏らす。

「マスター、私の前で私を忘れてイチャイチャされると、とてつもない疎外感を覚えるのですが・・・」

じとーっとエルが見てくる。

「う、すまん。次からは人目のないところでする」

「マスター、反省しているように見せかけて実は反省していませんね?」

弥一の反省しているようでしていない発言にエルはジトーっと視線を送る。弥一は、ハハハ、と苦笑いを浮かべながらパソコンに向かう。

エルも弥一の隣で診断結果の書類をまとめていく。

しばらく二人は黙々と作業をしていき、気が付けば深夜の二時ごろになっていた。

二人はそこでようやく作業が終了し、それぞれの部屋に戻って就寝する。

「はぁ〜つかれた〜」

セナとユノはセナの部屋でもうすでに寝ているので今日は久しぶりに一人での就寝だ。少し寂しい。

弥一はベットにドサッと倒れこむと、そのまま意識を手放し、眠りについた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翌日、夜更かしのせいでいつもより少し起きる時間が遅くなった弥一は、いまだ意識がぼんやりとしたなか寝返りをうつ。

すると寝返りを打った先で、暖かく柔らかい感触がある。

(ん・・・?なんだ、セナか・・・)

薄ぼんやりとした意識のなかでそう判断すると、その暖かさを抱きしめるように引き寄せる。

むにゅん

「ん・・・にゅぅ・・・」

「・・・ん?」

引き寄せるととても柔らかい二つの塊が弥一の胸板でむにゅん、と潰れる。そして少々幼さの残る鈴のような声色が聞こえ、弥一は疑問を浮かべる。

セナは意外と着痩せするタイプで見た目よりあるのだが、明らかにこの感触の大きさはセナのものとは違う。それにこの声色もセナの声ではない。

何処かで聞いたことのあるような・・・、と思って目を開けると、そこには見たことのない美少女がいた。

裸で。

(んんん!?!?)

目の前の知らない美少女の裸に弥一は思わずシーツをはねのけ起き上がる。そして改めて美少女を見る。

見た目は十代前半だろう。身長は165センチくらいで、朝日で反射する綺麗な銀髪・・が 印象的だ。そして息をするたびに揺れる双丘は見た目の割に立派だ。

しかしそんな美少女の容姿を差し置いて目を惹かれる特徴的がある。それはーーーーー

「耳・・・?と、尻尾・・・?」

そう、美少女の頭と腰には耳と尻尾が生えているのだ。

立っている耳は銀髪と同じく綺麗な銀の毛並みで、狼の耳に近い。今もピクピクと動いている。尻尾は太く、サラサラの銀色尻尾だ。

弥一はそんなケモミミ美少女を見て頭を捻る。思い出してみても知り合いに獣人はいない。ましてやこんな美少女、一度見たら忘れることはない。

そうして弥一が頭を捻っていると、ケモミミ美少女が「ん・・・」と身動きし起き上がる。そして目を手の甲でゴシゴシと擦った後目を開き、深い蒼い瞳・・・で弥一を見つめてくる。

綺麗な銀髪、誰かと同じ蒼い瞳、この二つで一つの可能性を導き出す。そして次の言葉で確信になる。

「おはよう、パパ・・・」

「ユ、ユノ!?本当にユノなのか!?」

「?うん、パパのユノだよ?」

なんと謎の銀髪ケモミミ美少女の正体は弥一とセナの娘のユノだった。

ユノはそういうと弥一の首に抱きついてくる。

「えへへ、パパ〜」

「!?」

裸のまま抱きついてくるユノの感触に弥一の内心はかき乱される。そして弥一はフンフンと揺れる尻尾を見て気になる。

「ユノ、その尻尾は本物、なのか?」

「うん?」

ユノは後ろを向き、尻尾を見せてくる。尻尾はふわっと自在に動く。弥一はその尻尾に手を伸ばす。

毛並みはふわっふわっで、思わずもふりたくなる。尻尾を少し強めに握ると尻尾の芯の部分にあたる。

「やんっ!パパ、くすぐったいよぉ」

ユノがビクンと震える。尻尾はどうやら敏感なようで、その艶やかな声に思わず弥一はドキッとしてしまう。そして手を離そうとした瞬間ーーーーーー

「弥一、ユノちゃん見なかっ・・・・」

ユノを探しに来たセナとエルが部屋に入ってくる。そして二人は部屋の光景を見て固まる。

部屋のなかでは弥一と見たことのない裸のケモミミ美少女が頬を少し赤く染めて、口を紡いでいる。


弥一は生きていたいと願った。


「や、い、ち、?」

幽鬼のようにゆらり、ゆらりとこちらに近づいてくるセナ。その背後には黒雲立ち籠める雷雲のなか、豪炎鳥と冥水竜が天高く吼えているのが見える。どうやらセナはスタ○ド使いのようだ!

「ま、待ってくれセナ!!違うんだ!!これは!違うんだぁああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!」


ーー《しばらくお待ちください》ーー









「え!?本当にユノちゃんなの!?」

「ああ、ほんどうだ・・・」

正座させられ、ケモミミ美少女の正体がユノだと誤解を解いた弥一はボロボロの状態だ。綺麗な川とお花畑が見えたのでちょっとダメ、マジヤバイと思った。 

弥一は自分に【治癒魔術】をかけて身体を癒しながら、エルが買ってきた服を着ているユノを見る。セナの服は入ったのだが、ある部分が小さかったのだ。(その時セナは「娘に負けた・・・」と呟き膝から崩れ落ちていた。)

「でもどうしてユノちゃんは急に成長して、しかも耳と尻尾が生えたんだろう?」

「それなんだが、おそらく魔術回路が完成して、ユノがインサニアの力を引き出せるようになったからだろう」

「これがインサニアの力なのですか?」

「ああ」

弥一は一つの推測を立てる。セナとエルはまだ何がなんだかわからないようだ。

「前に話したと思うが、アストラル体はその人間の在り方や肉体の形を表すもので、アストラル体が変化すればフィジカル体もそれに吊られて影響が出る」

「ふんふん、それで?」

「今回の場合、ユノの中にあるインサニアのアストラル体がユノの肉体に影響を与えて、肉体が変化したんだろう。魔術回路が完成したことで与える影響が【召喚魔術】の【降霊術】として変換され、ユノは今、インサニアを降霊させている状態なんだ」

弥一の説明にセナとエルはなんとなくだが理解し頷く。

簡単に言えば、今のユノはインサニアを降霊させている状態で、降霊させた事でユノの肉体が変化し、成長したということだ。

弥一も魔物を降霊させた例など聞いたことがないので正直驚きだ。まだハッキリと分からないことも多いが、取り敢えずの仮説としては正しいだろう。

「ユノ、元に戻ることはできるか?」

「うん!できると思う!」

ユノは目を瞑り「うーん」と考え始めると、ユノの足元に蒼の魔術陣が生まれ、ユノの体が光り出す。そして光りが治るとそこには四、五歳くらいの見た目に戻ったユノがいた。

服のサイズが合わずぶかぶかの状態でユノは「できた!」とぴょんぴょん跳ねる。エルがユノの服を持ってきて着替えさせる。

弥一は「へぇー」と声をだす。

「どうやら魔術として成立して制御することができるんだな。そうなると至急ユノの力を見ておく必要があるな」

「それもそうだね。ユノちゃんお出かけするよ〜」

「やったー!」

四人は軽く朝食を食べて、へカートに乗り込む。向かう先は【フェルセン山岳地帯】だ。ここなら万が一何かあっても誰にも迷惑をかけることはない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

山岳地帯のすぐ近くにある森に到着する。まずは最初に通常状態でユノがどこまでインサニアの力を使えるかだ。

「ユノ、あの木を攻撃してみてくれ」

差した方向にあるのは巨大な大木。これならそう簡単に壊れないので的としては最適だ。ユノは「うん!」と頷くと右手を大木に掲げる。

その瞬間ユノの周りに十数の氷の礫が瞬時に現れる。

「「「なっ!?」」」

「いけ!」

 弥一とセナとエルがその氷の生成速度に目を見張っていると、ユノは氷を撃ち出す。

氷はもの凄い速度で大木に直撃し、すべての礫が大木に命中すると、大木はズゥウウーーン!!と音を立てて折れた。

「パパ、パパ!凄い!?」

「あ、ああ、すごいぞユノ」

「やったー!」

弥一に褒められてユノはご満悦だ。そして弥一達は今の一連の出来事に沈黙だ。

まず氷を発生させる速度が尋常ではない。セナも弥一もあれだけの速度で氷を発生させるのは無理だ。弥一とセナの魔術回路を合わせ、インサニアの力を使うための専用の、ユノの魔術回路だからできる芸当だ。他の魔術はわからないが、理論上インサニアの能力であった雷も同じように使えるだろう。

次にその威力だ。人三人分はある大木を砕く力は、現代兵器で言うところの戦車の砲弾だ。

弥一は娘の実力に驚愕しつつ、次の検証に移る。

「ユノ次はインサニアを召喚してみてくれ。召喚の規模は控えめで」

「わかった!」

今度はインサニアの召喚。ユノは両手を前に掲げインサニアを召喚する。

「《疾く顕せきて》!!」

ユノが呼んだ瞬間、蒼の魔術陣からバチバチと紫電が爆ぜ、陣から現れる。召喚するのは神話の伝説、何があるかわからないので弥一達は警戒をーーーー

『わふっ!』

「「「・・・は?」」」

可愛い声と共に現れたのは子犬、いや子狼。銀の毛並みが綺麗な子狼だ。子狼は可愛いく吠えると、ユノに駆け寄る。

『わふっ!わふっ!』

「きゃー!くすぐったいよ!」

ユノは子狼と戯れる。その光景にほんわかした後、すぐさま「いやいやいや!」とツッコミを入れる。

「え?え?これがインサニア?」

「随分と可愛くなってる。・・・可愛い」

「まさかこんなことになるとは思いませんでしたね・・・」

まさかの展開に三人は驚いている。あれだけの破壊を振りまいた、破壊の化身たる神話の魔物が、ユノと戯れていて今では飼い犬のような扱いだ。

「サニアお手!」

『わふっ!』

「すごいすごい!」

ユノは今インサニアにサニアと名前をつけ、お手などの芸をしつけている。神話の魔物が見る影もない。

「ユノ、サニアは何ができる?」

「サニアおっきくなって!」

『がうっ!』

ユノが命令するとインサニア、もといサニアが光りだし、徐々に大きくなっていく。そして体長が二メートルを超えたところで光が収まった。大型の狼となったサニアは王者としての風格を思わせる凛々しい顔つきだ。

「サニアおっきい!かっこいい!!」

『ガウッ!』

ユノは大きくなったサニアに大はしゃぎのようで、サニアの背中に乗って走り周っている。サニアの方も楽しそうで、木を蹴って登ったりとまるで本物の狼のようだ。

セナはそんなユノをニコニコしながら見ており、「気をつけてねー!」と声をかけている。エルはどこからか取り出した一眼レフカメラで写真を激写中だ。
そんなカオスな空間に、弥一は頭を抱えるしかない。

しばらくすると遊んでいたユノとサニアが戻ってくる。そして最後の検証だ。

「よし、ユノ。朝の、サニアを降霊させた状態になってくれ」

「わかった!いくよサニア!」

『オォオオーーン!』

サニアが蒼い光となって消え、ユノの背後に巨大な蒼の魔術陣が出現する。規模からして大魔術。

するとユノの体が薄っすらと青く発光し、グググっとユノの体が急激に成長していく。そして同時に頭と腰に、耳と尻尾がラグのように発生し、成長が止まると耳と尻尾が完全に現界する。

最後に光が強く発光すると、そこには朝と同じく成長して耳と尻尾が生えたユノがいた。

「パパ出来たよ!」

「おお、すごいな。これが降霊術による肉体の変化か・・・」

「う、やっぱり大きい・・・娘に負けるなんて・・・」

「ユノ様は将来美人さんになるとは思っていましたが、これほどまでとは」

ユノの変化に、弥一は降霊術による肉体について「ふむふむ」と考え、セナは両手を胸に当てながらどんよりと沈み、エルは微笑んでいる。

ちなみに服が破けていないのは、弥一がユノの服に魔術で大きさが最適になるよう仕組んだからだ。変身して娘の裸を晒すなど、弥一パパは許さない。

「それじゃあユノ、その状態だと何ができる?」

「うーんとね・・・」

ユノが両腕を振るうと、辺りに凍気が発生し、腕に凍気が集まる。そして凍気が腕に集まると腕に氷が発生し、ユノの腕に氷で出来た大きな爪が出来た。

肘まで覆う籠手のようで、手に出来た氷の爪はどんなものでも斬り裂けそうだ。

ユノは更に魔力を高めると、腕の籠手に紫電を纏わせる。そして腕を少し大きめの木に向ける、瞬間籠手から極光の紫電が放たれ、木の撃ち抜き、焦がし尽くす。

弥一達はもう何度目になるかわからない驚きを感じる。神話の伝説を宿しているだけあってユノの力は絶大だ。氷と雷の扱いに関しては、弥一より属性系魔術の適正が良いセナでも及ばないだろう。

その後降霊状態で様々な検証を行った結果、ユノは氷と雷以外の魔術はからっきしでまともに扱えなかった。魔術回路がインサニアの魔術で手一杯だからだろう。

そして降霊状態での最後の検証だ。それは戦闘能力。

「ユノ、これから魔物をおびき出すけど大丈夫か?」

「大丈夫!任せてパパ!」

「わかった。いざとなれば俺やセナやエルがいるから心配するな。よし、それじゃあやるか、エル!魔物は近くにいるか!?」

「300メートル先に熊型の魔物がいます!」

「よし!頼む!」

弥一に指示され、高台の上から辺りを見ていたエルが義手から針を射出し、熊型魔物の背中を狙う。

『グゥォオオオオオーーーー!!』

熊型魔物は針の痛みに後ろを向き、エルを見つけると、憤怒の形相で突撃してくる。

エルはすぐさま弥一達のところまでやってくると、ナイフを構え戦闘態勢。弥一とセナもそれぞれ戦闘態勢に移る。

そして熊型の魔物が林を抜け、四人を見つけると、そのまま突撃してくる。

そして一番前にいたユノに向かってその凶悪な爪を振り下ろす。しかしユノはその一撃を腕の籠手で防ぐ。

インサニアを降霊させているので身体能力もかなり向上しているのだろう、ユノはしっかりと熊型魔物の一撃を防いでいる。

「やあ!」

ユノは腕を跳ね上げ、爪を弾く。熊型魔物が弾かれたことで態勢が崩れた瞬間、ユノは地面を陥没させ、高く跳躍する。

熊型魔物はすぐさま起き上がると、空から降ってくるユノに向かって腕を突き出す。ユノはそれを空中でヒラリと回避すると、突き出された腕の上を走る。

熊型魔物は腕を振るい、もう片方の腕でユノを攻撃しようとするが、攻撃が当たる寸前に跳躍してかわす。急にかわされたことで熊型魔物は自分で自分の腕を切り付け、悲鳴を上げる。

ユノは熊型魔物の背後に跳躍すると、熊型魔物の背中に爪で切り裂きながら落ちてくる。

熊型魔物は痛みに悲鳴を上げながら、ヤケクソ気味に背後に腕を振るう。だがすでにそこにはユノはいない。

ユノは熊型魔物の死角に回り込み、爪に雷撃を纏って刺突を繰り出し、体内で電撃を放出する。

『グガァアアアアアーーーーー!!!』

熊型魔物は大きな悲鳴を上げた後、ズゥウウーーンと音を立てて地面に沈み、絶命する。

魔物が死んだのを確認すると、ユノはタタタターー!と弥一に駆け寄り抱き着く。

「パパどうだった!ユノすごい?」

「あ、ああすごいぞユノ、よくやったな」

弥一はユノの頭を撫でる。ユノは目を細め気持ち良さそうにして、尻尾がブンブン揺れている。そしてセナとエルはというと、ポカーンとしていた。

「エル、どう思う?」

「なんといいますか、天才、でしょうか?荒々しくではありますが、戦闘センスが高いですね」

ユノの戦闘センスははっきり言って天才だ。おそらく伝説の魔物としてのインサニアの野生的な戦闘センスも降霊によって、ユノのものになったのだろう。

これから実戦経験を積んでいけば、いずれは魔術を使わない純粋な戦闘では弥一も敵わなくなるかもしれない。

娘の成長に戦慄しつつも、同時に誇らしく嬉しく思う弥一は、胸板を頭でグリグリしてくるユノの頭を撫でる。

すると突然、ユノの背後に魔術陣が出現し、ユノの体が光り出す。そして光が治ると元の状態に戻ったユノがいた。降霊化は消費魔力が大きくながくは続かないようだ。

「それじゃあ一通り検証が終わったことだし帰るか」

「ママねむい〜」

「はいはい、おいでユノちゃん」

魔力を使いすぎて眠くなったユノはそのままセナの腕の中で眠ってしまった。

すると魔術陣が現れ、何故かサニアが召喚された。

「え?サニア?どうした?」

『わふっ!わふわふ!わぉん!!』

「うん、何言ってるかサッパリわからん」

サニアは言葉を伝えようとするが弥一にはわからない。

「ユノ様が無意識にサニアを召喚したんでしょうね」

「たぶんな。無意識にって事はこの状態のサニアには魔力がほとんどかからないんだろうな」

サニアはセナの足元まで来ると、セナに抱っこされているユノを尻尾を振りながら見上げる。セナはそんなサニアに微笑んで、頭を撫でる。

「弥一、可愛いペットができた」

「精鋭魔術師の三師団でも敵わなかった神獣がペットって・・・」

「流石マスターとセナ様の娘ですね」

新しく加わった家族は神獣ということになり、今現在の弥一一家の家族構成は、夫は勇者にして現代の魔術師、妻は精霊神、娘は神話の魔物を従える創造人間ホムンクルス、従者は現代兵器を扱うエルフ、ペットは神話の伝説の魔物、ということになった。なんとも凄まじい家族構成だ。

「それじゃあ帰るか」

「うん」
「はい」
『わふっ!』

二人と一匹が返事をすると、へカートに乗り込む。運転席には弥一、助手席にはエル、後部座席にはセナとセナの膝の上にユノとサニアだ。

サニアは体を丸くして眠り、ユノはサニアに埋もれるようにして眠る。そんな光景に弥一はほっこりしつつ、へカートを走らせる。

揺籠を揺らすように揺れながらへカートは森を抜けていった。

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