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魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

エルネ街でデート


エルネ街は商業都市として有名だ。エルネ街と呼ばれているが、実際は都市のように大きいので一般的には都市と呼ばれる。様々な地方の物が集まりとても栄えており治安もいい。

行き交う様々な人々を眺めながらエルネ街に続く街道を通って街の城門に到着した弥一とセナは街に入るべく、詰所で入街検査の列に並んでいた。街の周りを囲む城壁を見上げながら列に並んで待っていると弥一たちの番になった。

「それでは次の人。ようこそエルネへ。検査の前に必要事項をこの書類に記入をお願いします」

係りの青年は手元の紙を二人に差し出してくる。記入欄には名前と目的の二つしかない。二人は並んでささっと記入をしていく。書き終わった書類を係りの青年に渡すと彼は少し驚いた表情をする。

「どうかしましたか?」

「ああ、いえ、お二人とも旅の方にしては随分と字がお綺麗でしたので。失礼しました。はい、記入に問題はありません。えっと、ヤイチ・ヒイヅキさんとセナ・アイヤードさんですね」

「はい。そうです」
「うん」

頷く二人を見て青年は再び書類に目を通す。

「今回の目的は冒険者組合に用とのことですがよろしいですか?」

「ええ、そうです。この街で冒険者して登録しようと思いまして」

「そうですか。無事登録できることを願っています。それでは書類の方には問題ありませんので通行料と入街課金としてお二人合わせて四千ネクトお支払いいください」

ネクトとはこの世界のお金の単価である。日本円に換算すると一ネクトは一円、十ネクトは十円といった具合で日本円と変わらない単価である。丸い青銅のような金属で重さもそこまで重くない。また五百ネクトで五百ネクト硬貨という一回り大きい青銅の硬貨、千ネクトで銅の硬貨、一万ネクトでベルト硬貨という銀の硬貨、百万ベルトで今度はグラ硬貨と呼ばれる金の硬貨と換金できる。このことを知った時弥一は日本円と全く同じで驚いた。

そんな弥一は精霊の里でお礼としてベルト硬貨五十枚をもらっており所持金は五十万ネクト、日本円で五十万円になる。もっともミスリルを買うため六万ネクトはすでに使っているため、残りは四十四万ネクトとなっている。

二人分のお金をポケットから出して青年に渡す。青年は受け取った金額を確認すると奥の扉に案内する。

「はい。ありがとうございます。それではどうぞエルネをお楽しみください」

青年の丁寧な案内で二人は奥の扉を抜けエルネ街に入る。





扉を抜けるとそこは大きな広場。広場では様々な露店が立ち並び香ばしいにおいが漂いお祭りのような光景となっている。人々は楽しそうに笑いながらのどかなお昼時を過ごしている。街並みは煉瓦で作りで統一された住宅が立ち並び美しい街並みになっている。

「はぁ~すごいな。」

「弥一!あのお店の料理おいしそう!」

綺麗な街並みに感動している弥一をよそにセナは子供の様にはしゃいでいる。セナは生まれてから七年はずっと里に住んでいてそこから十年は封印されていたので生まれて初めて里を出て街に来ることに興奮しているようだ。

そんなセナに苦笑いしつつ弥一はセナの手をとって指を絡める。セナは顔をほんのりと赤くしながら弥一の腕に絡みつく。

「なぁセナ、冒険者組合に行くのは明日にして今日はデートしないか?」

「でぇーと?」

聞いたことがない単語に可愛らしく首を傾げる。

「デートってのは恋人同士が一緒に出掛けてご飯食べたり遊んだりすることなんだ」

「・・・!うん!デートする!・・・ふふっ、弥一とデート♪。あっでも違うよ」

デートに嬉しくなっていたセナが思い出したように言う。なにか間違ったろうかと小首を傾げる弥一にセナは耳元に口を寄せる。

「私たちは恋人じゃない、夫婦だもん。ね?あ・な・た」

甘い声で囁いてくるセナに思わず顔を赤くする弥一。セナにとってその事実はもっとも重要だったらしい。どうしようもない愛おしさに近くにあるセナの唇に軽いキスを落とす。セナはニコニコとさらにぎゅと抱きつく力を強くする。

昼の広場のど真ん中でイチャつき二人の世界を創りだしている二人はとても目立っていた。周りの奥様方からは、あらあら、と暖かい視線を送られ見られ男衆からは怨嗟と殺気の視線を送られる。しかし二人はそんなことは知ったことではないと気にしない。

「それじゃ行くか。ちょうどお腹も空いたし何か買って食べよう」

「うん。じゃあ、あのサンドイッチみたいなの食べたい!」

「ん?あれか?」

そういってセナが指を指した巨大な肉を垂直にして焼いている露店だった。二人は腕を組んだまま露店に歩み寄ると露店のおっちゃんがいい笑顔で声を掛けてくる。

「いらっしゃい!おっ、お二人さんこんな昼からお熱いね!どうだい、ガル豚包み。おいしいぞ!」

おっちゃんの横では巨大な肉の塊が垂直に刺された状態でくるくるとまわり側面が焼かれている。香ばしい香りが二人の胃袋を刺激してくる。

「どういった料理なんです?」

「パンに焼いたガル豚とサラダを入れて秘伝のソースをかけたもんだ。ソースがピリッときてやみつきになるぞ!」

「それじゃあ二つください」

「はいよ!二つで六百ネクトだ」

渡されたガル豚包みはナンのようなパンにトマトなどの野菜と肉をぎっしりつめソースがかけてあり地球のケバブのようだった。二人は店の隣のベンチに座り「「いただきます」」とかぶりつく。かぶりついた瞬間肉の皮のパリッとした音が響く。

「うん!うまいな!トマトのみずみずしい酸味と少し濃いめの味付けの肉がうまく合わさってる」

「うん!ソースもピリッとしてて逆にそれが食欲をそそる。これならこの量も平気で食べられそう」

そんな感想を聞いたおっちゃんは二人に向かってぐっ!と親指を立ててニカッ!と笑う。二人も同じようにおっちゃんにぐっ!する。

そのまま二人は黙々と食べ進む。二人ともとても気に入ったようで食べ終わった二人はとても満足した顔をしていた。

「ふーおいしかった。セナの料理が一番うまいけどたまにはこんなのもいいな」

「うん。とてもおいしかった」

二人は満足げに立ち上がるとおっちゃんに声を掛けて改めてデートを再開する。今度は少し広場から離れた露店に行ってみる。広場が料理が並ぶ露店が多かったのに対してここは遊戯系の露店が多い。弥一とセナはそんな露店を眺めながら進んでいるとパン!という音が聞こえてきた。弥一はその音が気になったのでセナと一緒にその音が聞こえる方に行ってみる。

音が聞こえてきたのは少し大きめの露店だった。手前には台が置いてあり露店の奥には階段状の棚に様々な商品が並んでいる。そして音の原因は台の上に体を乗り上げている男の子が持っていた銃だった。そして男の子が引き金を引くとパン!という音とともにコルクが飛び出し奥の商品に当たる。

「ああ、射的屋か」

「射的屋?」

「そこの台からあの銃を使って奥の棚の景品に当てるんだ。当たって景品が落ちたらその景品がもらえるってしくみ。懐かしいな~」

値段は四百ネクトと日本の縁日のようだ。セナは興味があるのかそのコルク銃を見ている。そんなセナに弥一は店主に四百ネクトを渡し、コルクを五個もらうと銃にコルクを装填してセナに渡す。セナは弥一にお礼を言うと意気揚々と台の前に立ち両手で銃を構えて撃つ、が。

「あ、当たらない・・・」

コルクの弾はパンと音を発し景品の下を通り過ぎる。気合を入れ直して再度挑戦するが今度は景品の上を通り過ぎる。そして残りの弾も撃つが弾はかすりもしない。

「当たらない・・・」

子供の様に頬を膨らませ少しすねたセナに弥一は店主にお金を払い弾を貰って装填し隣でゆったりと右手を前に突き出す。そして狙いを定め発砲。

発射された弾は箱の商品の端に命中して箱が回転すると隣の箱に当たり二つまとめて棚から落ちる。周りの客がおお!湧き上がる。続けてさらに発砲。

パン! パン! パン! パン!

全ての弾が同じように二つまとめて景品を叩き落とす。銃の扱いに慣れている弥一にとってコルク銃の扱いはお手の物だった。しかも今は【解析眼】がある、コルクの弾道をセナが撃つときに計測していたため今の弥一は百発百中だ。若干インチキくさいが・・・。

五発の弾で落とした景品は十個で周りで見ていた子供たちが目を輝かせて寄ってくる。

「にーちゃんすげー!!」
「どうやったの!!」

そんな子供たちに弥一は笑いながら子供たちの頭を撫でていると店の店主が参ったといった表情で景品を持ってやってくる。景品は箱と交換でいろいろなものがあるらしく弥一がゲットしたのは露店のお店の食券に宿の割引券など料金のわりに景品は豪華だった。するとセナは負けじと店主にお金を払い弾を貰って撃つが同じく外れる。

「う、うぅ~~~~。まったく当たらない・・・」

台に突っ伏し少し涙目のセナに弥一はセナにアドバイスを送る。

「その台の上に乗り上げるようにして銃を前にだしてみろ」

そうしてセナは最後の一発を装填し、台に乗り上げるようにして銃を突き出す。弥一はセナの背後にまわり覆いかぶさるようにして抱きつきセナの引き金を持つ手に手を被せる。真横にある弥一の顔に思わず顔を赤くする。

「や、弥一・・・!?み、みんな見てるから・・・!!」

「いいだろべつに」

弥一は恥ずかしがるセナをよそにさらに頬と頬をくっつけてセナの目線での狙いを定める。そしてセナの人差し指を使って引き金を引く。パンという音とともにコルクの弾は景品に吸い込まれてゆき、箱の上部に当たり景品を棚から落とす。

「・・・!やった!やったよ弥一!ありがと!!」

あまりの嬉しさに恥ずかしがっていたことも忘れ弥一の首に腕を回し抱きつく。しばらくすると周りの暖かい視線で恥ずかしくなって腕を外し、店主から景品をもらう。セナがゲットしたのはお菓子屋のカップルデザート券だった。

セナはその景品を満足そうに受け取って、再び二人は腕を組みながら街をデートする。

デートをしていると気が付いたら三時過ぎだったので二人は先ほどセナが手に入れたデザート券を使ってデザートでも食べようとそのお菓子屋に向かう。大通りからすこし外れた路地にそのお店はあった。アイスクリームやケーキなど豊富な種類のメニューになににしようか悩んでいるとセナが何かを見つける。

「弥一あれ」

「ん?期間限定まんじゅう?へぇ~なんだろうな」

すると受付の店員が弥一とセナに説明してくる。

「この時期に取れるトルの実を粉末状にして混ぜ込んだ試作品まんじゅうです。大変辛いので食べるときは注意してくださいね」

「そんなに辛いんですか?」

「ええ、それなりの辛さですよ」

期間限定という言葉に少し考える。なんとなく期間限定と聞くと食べてみないと損という気分になってくる。弥一は辛いものもそれなりにいけるので今回はこれにしてみることにする。

「それじゃあこの期間限定まんじゅうで。セナは?」

「私は普通のイチゴアイスクリームにする」

こうして期間限定まんじゅうとアイスを受け取って移動し二人は周りには誰も居ない木陰のベンチに座る。セナはアイスをおいしそうに舐め、弥一はまんじゅうを見つめ少し考えたあとぱくっと放り込む。

瞬間、口の中で大爆発が起こった。

「か、かれぇええええーーーー!!」

「・・・!?大丈夫弥一!?」

まんじゅうの辛さは弥一が想像していたのよりも数段上の辛さだった。口内に染みる辛さと喉を焼くような熱に思わず叫ぶ。突然の叫びにセナは驚愕する。

「み、水!!」

「え、えっと、ど、どうしよう・・・!?」

水はここにはないのでどうしたものか悩んでいるとセナは意を決したようにして弥一の首に手を回し唇に自分の唇を重ねる。

「!?!?」

「んちゅ・・・れろっ、んちゅ、ん、んっ・・・」

いきなりのセナの行動に弥一は驚いているとセナはそのまま舌をいれて絡め唾液を流し込むようにする。セナの口からほんのり甘いイチゴ味の唾液が流れ込んでくる。弥一は辛さを忘れその感触に酔いしれる。しばらくセナは弥一の唇を貪るようにキスをしてそっと唇を離す。セナの唇と弥一の唇の間を透明な糸が艶めかしく結ぶ。

「せ、セナいったいなにを・・・?」

キス自体はとてもうれしいが突然のことに驚いてしまう。セナは顔を熱くしつつそれに答える。

「み、水がなかったから、思わず・・・どう辛いの引いた・・・?」

「あ、ああ、もう気にならない。ありがとなセナ」

恥ずかしくもなりつつ素直にお礼を言うとたったいま熱いキスをしたばかりの唇に今度はこちらから軽いキスをする。セナは少しくすぐったそうにして笑いベンチから立ち上がる。

「それじゃデートの続き、しよ?」

差し出してきた手をとって立ち上がり二人は街を歩き始めた。

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あれからもイチャイチャデートは続き、もうすでに夕刻。太陽がオレンジ色に燃えながら城下町を赤く染め沈んでいく。二人は本日泊まるため宿を訪れていた。店内の一階はどうやら酒場兼食堂となっているようで仕事終わりの人たちが豪快に笑いながら酒を飲みかう。弥一はこういったテンプレ的な宿に内心わくわくしていた、やっぱり異世界の宿はこうでないと。とそんな弥一たちにエプロンを着けた一四歳くらいの女の子が近づいてくる。

「いらっしゃいませお客様。ようこそメデルの宿へ。私はここの宿の娘のレンと言います。本日はご宿泊ですか?」

そういったレンという少女は若干ウェーブのかかったふんわりとした稲穂のような髪を揺らし可愛らしい笑顔で接客をしてくる。

「ああ、そうだ。とりあえず二人、十日分宿泊したい。あと風呂はあるか?」

日本人の弥一としてはやはり風呂は外せない、ここに来るまではお湯のタオルを使って体を洗っていたので久しぶりに風呂に伸び伸びと入りたいのだ。

「はい。お風呂は時間指定で貸切にできます。どの時間貸切にいたしますか?」

「そうだな、一時間で」

「え?そんなにですか?」

この世界はそれほど湯につかるという習慣があまり広まっていないので珍しいのだろう。日本人の弥一としては風呂は長くゆっくりと入りたいし、それにセナも風呂の良さに嵌まって長風呂派だ。

「ああそうだが?」

「わ、わかりました。それでは部屋は二部屋で入浴のお時間はお一人様一時間でよろしいですね?」

内容の確認をしてレンは手元の用紙に記入をしようとしたがそれを弥一は制する。

「いや、部屋は一部屋でいいし、風呂も二人で入るから一時間でいい」

「え?・・・えぇえええーー!?」

レンの驚きになんだなんだと周りの人が視線を寄越してくる。レンは顔を真っ赤にして弥一とセナを交互に見る。年頃の女の子にとって異性の二人が同じ部屋に泊まり、同じ風呂に入るということは衝撃的だったのだろう。思春期特有の妄想をしてしまってレンは顔から火が出そうになっている。

「し、失礼ですが、お、お二人はいったい、どういったご関係で・・・?」

「夫婦だけど?こっちが俺の嫁のセナ」

「よろしくね」

弥一はセナを紹介しセナも挨拶をするが夫婦という言葉が乙女の妄想をさらに加速させていく。

「あわわわ・・・・!!ふ、夫婦・・・二人っきり・・・お風呂・・・きゅぅうううう・・・!!」

乙女の妄想はオーバーヒートしてしまったようでレンは後ろに倒れる。倒れそうになったレンを後ろからレンの母親が支えて肩に担ぐ。

「すみませんねお客さん、はい、これが部屋の鍵ね。部屋は二階の少し大きめの二五号室だから。夕食は六時から十時の間ならいつでもどうぞ、風呂も九時からなら空いてると思うから。料金に関しては明日確認するから。それじゃごゆっくり。」

母親は肩にレンを担いでそのまま奥の部屋に消えていく。

「それじゃいくか」

「うん」

二人は階段を登り二階に上がっていくがその際酒場の男衆からは嫉妬と怨嗟の視線が送られて来たが弥一はそれを無視して上がっていく。

部屋には少し大きなベットと机に照明用のランプだけと簡素な作りだがところどころちゃんと掃除が行き届いている。

二人はリュックを置くとまたすぐに夕食を食べるため一階に降りる。そこで復活したレンに謝罪されたが全く気にしていないのですぐに許すとほんのお詫びですと言って夕食と一緒にリンゴを貰った。夕食は鶏肉のチーズ焼きにパンとサラダで大変美味しかった。

夕食を食べ終わった二人は貸切の大浴場に向かった。

「おお、思ってたよりもしっかりしてるし何よりデカイな」

「こんなに大きいのは初めて」

身体にバスタオルを巻いた状態で二人は風呂の大きさに軽く驚いていた。二人は小さいイスを持って洗面台の前に座って髪を洗い身体を洗って二人でお湯に浸かる。

「はぁ〜気持ちいい・・・」

「ほんとだね・・・」

お互いにもたれかかり全身の芯まで染みる暖かさにはぁ〜と気の緩んだ声を上げる。弥一はチラッと横を見るとそこには蒼い綺麗な髪を結って白い綺麗なうなじが見えて独特の色香を漂よわせているセナがいる。どうしてこうも女性のうなじは色香を誘うのかと思いながら、セナのその細い腰を抱き抱え後ろからセナを抱き締める様にして綺麗な蒼髪に頭をうずくめる。

「きゃっ、どうしたの?」

「なんとなくこうしたくなったんだ」

「そうなんだ。・・・でも、その、・・・当たってる・・・」

「うっ、そ、それは・・・」

腰の後ろに当たる硬い何かに顔を赤くしつつ弥一を見て微笑む。

「部屋に帰ってからたくさん愛してね・・・」

そんな最愛の嫁の甘い艶やかな声に弥一は限界寸前にまで追い込まれた。

その後風呂から上がり部屋に戻って、二人はお互いに
今日のデートを振り返りながら激しく愛しあった。



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