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魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

旅立ち

地下施設を発見しあれから2週間が経過していた。あれから準備してすぐ旅立つつもりだったのだが、新しい魔導器の開発ためこうして残っていた。

そんな弥一は現在制服の上から白衣の格好で異世界版パソコンの前でゲームで見る様な空中に浮かぶウィンドウに表示されている数字や魔術式と睨めっこしていた。

「よし。これで魔術式の方は完成だな。ふー、疲れた。」

椅子の背もたれに寄りかかり眉間を指でグリグリ

「こっちはどうなったかな」

椅子ごと部屋の真ん中の大きなテーブルに向き直るとそこにはバスケットボールくらいの大きさの透明な鉱石が何かしらの機械にセットされていた。

この鉱石は封印の部屋でセナを拘束していた神聖結晶だった。
これは魔鉱石と呼ばれる鉱石が形成される際に魔力を吸い込んで魔力とよく馴染む鉱石の一種である。

地球にはこの神聖結晶は存在せず、こちらの世界でもこの神聖結晶は希少で伝説級鉱石である。

そしてこの神聖結晶は二つの特徴がある。
一つ目は大気中から魔力を吸収する性質で、この性質のおかげでセナはなんとか命を繋ぎとめられていた。
二つ目は魔術処理に高い耐久性を持つことである。

この性質を見つけたことで弥一は現在こうして新しい魔導器の開発している。

魔導器No.5【解析眼】。失った右眼の代わりにするべく開発している義眼である。

今まで魔術で新しい義眼を作り視力回復と魔術を使える様になろうとしたのだが魔術の処理に耐えるほどの触媒が地球に存在しなかったので諦めていた。

だがこの神聖結晶を使えば、魔術処理に高い耐久性を持っているので眼の触媒となり得る。なのでこれを機会に義眼を作ることにしたのである。

【解析眼】とは神聖結晶を主材にナノマシンを組み込んだ義眼である。

この義眼は脳と直接リンクさせ脳の未使用領域を使って視力以外にも【解析魔術】を使えるようにしたもので、【解析器】で魔術陣の写真を撮らなくても義眼内部に搭載したカメラが自動でデータを【解析器】に送り解析結果を右眼に送り返したりもできる。
また、魔術陣解析以外にも【解析魔術】で当人の思考と並列して演算をおこない、サーモグラフィーや地形情報を3Dモデル化など出来ることは多岐にわたる。

しかし、これほどの情報量を脳が受ければいくら脳の未使用領域を使っているとはいえ、オーバーヒートしたり最悪、脳が焼き切れてしまう。

ではどうするか。この問題を解決したのがスキル【思考強化】だった。

【思考強化】とは文字どうり魔力が続く限り思考能力を強化するスキルで、このスキルを部分的に使用することによって【解析眼】の情報量を処理している。

主材である神聖結晶は大気中から魔力を吸収する。サイズは目の大きさ程度なのでそれほど多く魔力を吸収できないのでが【思考強化】を継続できるくらいの魔力は吸収でき【思考強化】が途切れる事はない。

これが魔導器No.5【解析眼】である。

こっちも問題なさそうだな。これであとは作製だけだ」

【解析眼】の進捗状況も順調で少し休憩するかとリビングに出る。

リビングに出るとリビング続きのキッチンにセナがいた。
白のエプロンを着て綺麗な蒼髪をポニーテールにし、手にはお玉を持って完全な料理スタイルだ。

そんないつもとは違った新鮮な格好にドキッとしているとセナがこちらに気づく。

「もうすぐご飯にするからちょっとだけ待ってて」

「あ、ああ。わかった」

できた料理をセナがテーブルに持ってくるのと弥一のお腹が空腹を主張するのはほぼ同じだった。セナは微笑みつつ弥一の反対側の席に座る。

「さ、食べよう」

「そうだな。俺ももう限界だ」

二人で手を合わせ合掌する。

「「いただきます」」

今晩の献立は魚の塩焼きにご飯と味噌汁、野菜といったメニューだ。
魚の塩焼きは身がとても柔らかく、塩の加減もちょうどよく魚の旨味が引き上げられている。味噌汁は少し濃いめの味付けで逆にそれが開発で凝り固まった身体に暖かく染み渡る。野菜はそのままでシャキシャキしてみずみずしい。
食べる人に細かく配慮された見事な料理だ。

そんなセナの暖かな気遣いと料理の美味しさに自然と頬が緩む。

「美味しい?」

「当たり前だろ?今日も最高の出来だ!」

ガツガツと美味しそうに食べる弥一に頬を赤くし嬉しそうな表情で自分も食べ進める。

ちなみにこの食材などは全て地下施設で採れたもので魚は養殖の池で、野菜は畑でだ。

その後もお互い料理に舌鼓を打ちつつ、お腹が満足する頃には料理が全て綺麗になくなった。

「「ごちそうさまでした」」

食べ終わったあとはセナは食器の片付け、弥一はテーブルを拭くとそこに大きな紙を引く。それはこの辺り一帯の地図だった。地図にはグリノア迷宮を中心として地図全体を山や森が覆っている。

セナが食器の片付けを終え、お盆に紅茶を乗せて弥一の隣にやってくる。
そして二人は今後の旅の確認をし始めた。

「ここからさらに東に進んで・・・大体この辺に精霊の里、セナの故郷があるわけだな?」

「うん。大体その辺」

そう言って弥一が指したのはここからさやに東に山を越えた森の一部だった。ここにセナの故郷である精霊の里が存在する。

そう次の目的地は精霊の里なのである。

何故次の目的地が精霊の里なのかというと。最初弥一は凛緒達と合流するべく王都に向かうことにしたのだがセナが、あれから随分経つから何かしらの変化があるはず。と言うので次の目的地を精霊の里にしたにである。

最初弥一は心配したのだがしれも覚悟の上だとの事だったので弥一も引き下がった。

「この辺にまでだと距離的に三日くらいだな」

「でもこの辺りは崖なんかが多いから時間がかかると思うよ」

「それじゃあ一週間を目処で準備するか。食料は7日分で、足りなければ現地調達で行こう。幸いここら辺は動物が多いみたいだし」

「うん。そうしよう」

こうして旅の確認が済んでゆき、気がつけばもう深夜になろうかという時間だったので別々で風呂に入って就寝する。のだが、

「じ、じゃあおやすみ」

「う、うん。おやすみ」

そういってお互いに背中あわせで同じベットに入り寝る。

この地下施設はもともと甲明が一人で使っていたものだったので当然ベッドは一つしかない。そのため最初の頃は弥一はリビングのソファーで寝ていたのだが、それじゃあ悪いからとセナに言われてこうして二人して同じベッドで寝ている。

しばらくするとセナから規則正しい呼吸が聞こえて着たのでホッと一息つき弥一も寝ようとするが

ふにょん  ギュッ

(!?!?)

不意に右腕に柔らかい感触を感じて目を開けるとセナが右腕に抱きついていた。

寝返りを打ったせいか胸元が少しはだけておりそこから膨よかな胸が弥一の腕で形を変えているのが見える。右腕全体から伝わる柔らかい感触と髪から香る甘い香りが弥一の理性を全力で潰しにかかる。


(落ち着け日伊月弥一!今ここで手を出したら俺は本人の意思を無視して手を出す鬼畜野郎になっちまう!それだけは絶対に許されない!平常心だ!平常心を保つんだ!平常心平常心平常心・・・・・柔らかい。ってちがぁああああああああううう!!!)

その後弥一は徹夜を覚悟しながら理性の限界挑戦に強制チャレンジするのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「弥一。準備できたよ〜。」

「わかったー」

カバンを肩にかけリビングに出ると同じくカバンを持ったセナがいた。このカバンはコートのポケットと同じ【空間魔術】で作ったカバンでポケットに比べ容量が大きくなっている。

「それじゃあ行くか」

「うん」

二人はリビングを出て廊下の最奥の部屋に入る。

そこは祭壇のような場所で階段状に段差がある。頂上には四本の白い石柱と床には大きな魔術陣と小さな魔術陣が合わさった巨大な魔術陣が描かれていた。転移用魔術陣だ。

魔術陣の真ん中で止まり弥一はセナの方を向く。


「セナ。最後の確認だが、本当にいいのか?」

弥一の問いにコクリと頷き瞳を見つめる。

「私は逃げない。なんで私が封印されなきゃいけなかったのか、それをわからないままにしておくと後悔すると思うから。確かに行くのは怖い、またあの時みたいに冷たい目で見られて何か言われるかと思うとそれだけで足が竦む。でも・・・」

「でも?」

「弥一がいてくれる。あの時私を守ってくれるといってくれた。だから私は何があっても大丈夫って安心できる。ねぇ弥一。あの時の言葉、嘘じゃない?」

少し不安そうに瞳を潤ませて、でもそこには弥一への信頼も見て取れる。

あの時の言葉に全ての信頼を置いている。ならそれに答えなくてどうする

「当たり前だ。俺の魔術で全部守ってやる。どんなものが来ようがそのことごとくと戦って守ってやる。俺の魔術はそのためにあるんだから」

大切な人、大切な何か、そういった『大切』を守るために弥一は戦う。それを失わないように。弥一にとってセナはもうとっくに弥一の『大切』だった。

そんな弥一の言葉でセナは顔を赤くし嬉しいを顔に表して弥一の腕に抱きつき耳元で少し恥ずかしさが混じった声で呟く。

「ありがと。」

そんなセナに負けず劣らず弥一も顔を真っ赤にする。

「よ、よし。そろそろ行くぞ!」

「うん!」

左手を魔術陣にかざし魔力を流し唱える。

「《導きの御手よ・その御手が示す道に沿い・かの場所と繋げよ・ーーーー》」

魔術陣に蒼く輝く魔力が巡り、魔術陣を起動。魔術陣から辺りに眩い魔力光で満たされ始め、魔術陣が回転を始める。回転数は徐々に加速しギギギと機械音のようなものが響く。加速につられ光も強くなる。そして

「《我が先に光あらん事を》」

光が部屋を埋め尽くし全てを呑み込んでいった。







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