魔術がない世界で魔術を使って世界最強

海月13

ステータスと職業 前編

窓から朝の暖かな日差しが差し込む。そんな中、弥一は意識が覚醒していくのを感じる。

(・・・ん?なんか暖かい。それに・・・柔らかい?」

その感触を確かめる様に弥一はそれを手繰り寄せて抱きしめる。

「ん。・・・やい、くん・・・」

「・・・。!?!?」

抱き枕を抱きしめた瞬間、その抱き枕から自分を呼ぶ声と動く気配が伝わってきて驚く弥一。とっさに目を開けると、

「・・・」
「・・・」

たった今目を開けたのか少し寝ぼけた感じの凛緒と目が合った。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

場が静寂に包まれる。

「き、きゃぁあああああああ!!」

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それから少し後、凛緒もだいぶ落ち着いたのかベットの上で向かい合う二人。

「ご、ごめんね。私がいい出したのに・・・」
「いいや別に大丈夫だ。」

と顔に何故か季節はずれの綺麗なもみじを咲かせている弥一が凛緒を安心させるように言う。

「うっ、本当にごめん・・・」
「だから大丈夫だって気にすんな」

そうして凛緒が落ち着きお互いに顔を合わせるが、昨夜の事を思い出しお互いに顔を真っ赤にしてしまった。
そうして朝からラブコメ全開をしていると・・・

「弥一様?どうかなさいま、し、た、か・・・」

先ほどの凛緒の悲鳴を聞きつけ弥一の部屋にはいって来たアーシア

「弥一くーん。凛緒の声が聞こえたんだけど知ら、な、い・・・」
「彩。いくらなんでも弥一の部屋にいるわけない、だ、ろ・・・」

そしてアーシアに続いて部屋に入ってきたのは女子生徒だった。

美波 彩みなみ あや。凛緒と仲がいいクラスメイトで凛緒が弥一を除けばいつも一緒にいるような仲の良さだ。背は女子の平均身長で長い黒髪を後ろでポニーテールにしている。目の下のほくろが特徴的で目は少し鋭い。全体的に活発的な彼女の性格を表しているようだ。

その彩に続いて入ってきた男子生徒は、赤木 健あかぎ けん、彩の幼馴染で身長が高く部活はサッカー部のエースであり、彩の幼馴染でだいたいいつも一緒にいる。凛緒と彩がいつも仲がいいので男友達として弥一もよく話したりするため弥一とは親友のような仲だ。

そしてその3人が見たのはベットの上で寝巻きが少し着崩れた状態で向き合い顔を赤くして俯いている弥一と凛緒である。「昨夜はお楽しみでしたね」の状況である。どう考えてもそうとしか思えない。

「な、な、なにゃやってるんですか二人とも!」

とアーシア

「みんなぁぁあああ!!弥一君と凛緒がお、お、おとなのかいだんをぉーーーーーーー!!!」

と廊下に向かってに叫ぶ彩

「今日の飯は赤飯だぞぉおーーーーーーーぐぼぉあっ!!」

と彩と一緒に廊下に向かって叫んだ健の顔面に弥一が投擲したベットの壁に飾ってあった宝石がクリーンヒッツ!!健は鼻血出しながら床に沈んでいった。

「ち、ちがうんだってばぁーーーーーーー!!!」

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そんな朝からちょっとしたハプニングがあり弥一と凛緒がクラスメイトから暖かい目や好奇の目で見られ冷かされた朝食の後、生徒は全員王城の中庭に集められた。
そうして生徒が集まって話している中、アーリアと一緒に立派な甲冑姿の大柄な男が中庭に現われた。

「私はアーセラム聖堂王国王宮騎士団騎士団長ルイバート・ロジャーと言う。今日から君たち勇者の戦闘訓練の指導などを行うことになる。よろしくたのむ。それではまず最初に君たちの身体能力の測定を始めるとしよう。」

すると何人かの騎士が現れ測定の準備を始めた。
そんな中クラスメイトの一人が、

「あのすいません。」
「ん。なにかな?」
「僕たち、ここに来て特に身体能力が上がったわけではないんですが・・・」

そう。女神の力で勇者は強力な力を与えられると言われているが、弥一たちの身体能力は地球から何も変わっていないのである。

「それは君たちが”ステータスプレート”を確認していないからだ」
「”ステータスプレート”?」

この世界にはステータスプレートという自分の潜在的な身体能力やスキル、職業を見ることのでいきる物があり。古代の遺跡から発見されたステータスプレート製造装置によって作られ、この国では10歳を迎えると国から配布される物で、身分証の代わりにもなる。

初めてステータスプレートを見ることによって自分の潜在能力を認識することによりその潜在能力を目覚めさせると言うものであり、勇者として召喚された弥一たちはまだステータスプレートを見ていないので地球の頃と変わらない身体能力なのだ。

「と言うことなので、まずはステータスを見ていない状態での身体能力測定を行う。」

そうして午前中は測定で終わった。ちなみに弥一は今も魔術師としての訓練は継続しておりステータスを見ていないいまでもクラスメイトや先生よりも身体能力は高いが、ここで目立つのは何かと面倒ごとに巻き込まれそうなのでそこそこで手を抜いて記録は平均より少し上にとどめた。まぁ相川は平均をぶっちぎってたが・・・

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午後は騎士団の人たちとの簡単な自己紹介で終わったのは午後4時ごろだった。

「それではこれよりステータスプレートの配布を行う。ただしステータスプレートは初めて表示させた場合、潜在能力を目覚めさせる変化のせいで体の調子を崩すのでステータスは部屋に戻って見るようにしてくれ。また明日にはステータスプレートの開示をしてもらうので明日の昼のはここに集まるように!それでは解散!!」

そういって騎士団長は城の中に戻っていき、入れ違いで人数分のステータスプレートを持った騎士が中庭に入ってきてステータスプレートを配布していった。

ステータスプレートは、透明な金属の板でサイズはスマホより少し小さいくらいだった。そしてプレートの右上にある幾何学模様に自分の血を一滴たらすとステータスが表示される。

(これがステータスプレートか・・・見たことない金属だな?それにコレに使われてる術式も詳しくは分からないが初めて見るものだ・・・あとで【解析器】を使ってみるか。)

その後、凛緒たちと少し話し弥一は部屋に戻っていった。

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「さて、それじゃあさっそくやってみるか。」

そういって弥一はステータスプレートといっしょに渡された針を親指に刺して血を出しそれを幾何学模様に垂らす、するとステータスプレートが輝き、透明だったプレートが白と金で装飾され、その瞬間ステータスが表示された。

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《日伊月 弥一》 男
レベル:13
職業:魔術師

筋力:2600〔+5200〕
体力:3010〔+6020〕
俊敏:3490〔+6980〕
耐性:2500〔+5000〕
魔力:56000〔+56000〕

〔契約精霊〕


スキル
言語・剣術・射撃・思考強化・縮地・魔力回復速度上昇

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「おぉ~。これがステータスか。う~ん・・・このステータスすごいのか?基準がないからいまいち分からん。それになんだ?この+の数値?・・・・・あっ、もしかして【身体強化】で強化した数値か!」

【身体強化】とは。自分の身体能力を2~3倍にする魔術で弥一の場合【身体強化】を使用すると筋力の場合、《2600→7800》となり3倍の強化が可能なのである。

「てことは魔力の方は【魔力増幅】か。」

【魔力増幅】とは。魔術加工をした鉱石を砕きそれを神水と呼ばれる魔力循環効率が90%の水に混ぜた〔魔力ブースター薬〕を触媒として体内の魔力を2倍に活性化させる魔術である。ただしこの【魔力増幅】を使うと魔力回路の魔力循環が一時的に落ちるため、使いどころが重要な魔術だ。ちなみにこの〔魔力ブースター薬〕は呪符と同じ魔術補助器である。

「ほかには、〔契約精霊〕?まぁこれはいいか。あとは・・・・《魔術師》、か。俺は確かに魔術師だが、そういうい意味じゃないだろうし。何か効果でもあるのか?」

そうしてプレートの職業欄に触れてみると

「おっ!説明が出てきた。なになに・・・」

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職業:魔術師
説明
・魔術構築の際大幅な補正
・発動速度の上昇
・魔力循環効率の上昇

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「な、なにぃいいいいいいいいーーーーーーーーーー!!!!」

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