ヘタレ魔法学生の俺に、四人も美少女が寄ってくるなんてあり得ない!

神楽旭

入学式って絶対途中で飽きると思うんだ

午前九時。
俺達新入生は、2列に並んで入場する。
「(俺達は一年三組。七組中の三組だから、呼ばれるのは先だよな。楽でよかったあ~)」
七組の皆さんにはご苦労様と言ってやりたい気分だ。

『魔導学園関東高校は、一九〇二年設立の、歴史ある伝統校であり、日本最大の魔導師育成学校であります。本日めでたく本校に入学する君達には、関東校生として、誇りを持って学校生活を送ってもらいたいと思っています』
校長先生の祝辞が終わり、俺達新入生の大半が飽きてくる頃、
『生徒会長祝辞』
黒いローブ(学生が公式の場で着用する礼装みたいなヤツだろう)に身を包んだ女子生徒が登壇する。
「(綺麗だなあ……じゃない……)」
危うく欲望が出るところだった。しかし、彼女が綺麗なのは事実なので仕方無い。
『皆さん。ご入学おめでとうございます。魔導学園関東高校は、新入生の皆さんを心から歓迎致します』
これ中学校でも聞いたぞ。どこも同じなんだなあ。
『本校は名前の通り、魔法教育に重きを置き、【寛容・礼儀・仁徳】の目標の元、多くの優秀な魔導師を輩出してきました』
『本校でこれから学ぶ皆さんの三年間が、実り多きものとなり、優秀な魔導師となって本校を巣立って行くことを願い、祝辞とします』

入学式の後、俺達は教室に戻り、課題やらその他色々をどっさり貰って帰った。

正直いらないな。こんなの。

国語を筆頭とした、数学、理科などの五教科の課題だ。
内容もかなり難解で、俺の脳みそでは解けなさそうな問題だ。
そんな事を考えながら通学路を歩いていると、
「あら。雨宮さんではありませんか」
「はい?」
例の生徒会長が話しかけてきた。今はローブではなく普通の制服だ。
「私のこと……覚えていますか?」
いや、いきなり覚えてますかなんて聞かれてもな……。
「えーっと、誰でしたっけ?」
俺の答えに、彼女の表情が曇る。
「……そうですよね。もう十一年も前のことですものね……」
十一年前に何かあったのか?俺は覚えてないけど。
「十一年前に何かあったんですか?……って言うか、あなたは一体……?」
「ああ、失礼致しました。私、天条凰桜良てんじょうほうさくらと申しますの」
天条鳳……天条鳳……どっかで聞いたな……。
「はあ……で、その天条鳳先輩が何で俺に?」
「いえ、見知った顔でしたので、挨拶をと」
「会ったことありましたっけ?」
あなたのお父様が。と端的に言葉を発する天条鳳先輩。
「父さんと知り合いなんですか?」
「厳密には私の父が経営する企業と、貴方のお父様の勤める企業が。ですけど」
「天条鳳先輩の家って?」
「国内、海外問わずに事業展開する天条鳳グループ。身近な例ではコンビニなどでしょうか」
マジか。コンビニ……日本全国のコンビニ経営してるんだろうか。この人の父さんは。
「あら、立ち話に夢中になってしまいましたわ。……私はまだ仕事がありますので、これで」
そう言って彼女は去っていった。去り際に香水の香りがしたのは気のせいじゃ無いはず。

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