二面性男子の鏡

山本慎之介

トカゲ

コータロー達がその存在を思い出す少し前、その白い体毛を揺らしドラゴンは低空を散歩していた。
「くぁ」
特に理由はない、散歩なんてそんなものだろう。
「くぁ」
今日はいい天気だ。
そんなことしか考えていなかった。────





時は少し戻り

「そういえばあのトカゲはどこ行ったんだ?」

コータローのいうトカゲとは一瞬見かけた白いやつことを指していた。

「あいつはトカゲじゃなくてドラゴンのティド。あいつは気まぐれだからな。散歩にも出かけたんだろ。」

ドラゴン、生で見てたんだな俺。

ちゃんと見ておけばよかったと思いもしたが、テスラの言い様ではすぐに帰ってくるようだし、コータローはひとまずティドのことは置いておくことにした。

「それよりコータロー、まだ家をみてないでしょう。僕が案内しますから、着いてきてください。」

「マジ?レトさんやりぃ!あ、待って!置いてかないでぇ!?」
まだ出会って1時間弱だが、3人はどうやら打ち解けたようだ。
正直不安だったキクは安堵して店番に着いた。









時を同じくして─────

「へへ、アルビノだぜ?これは拾いもんだぁ。」
純白の毛に包まれたドラゴンはいかにもな男の腕の中でその金の目を閉じていた。

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