『ザ・ウォリアー』 ~この世界を浸蝕するデスゲーム系の近未来SF&ラブコメディ~
近代トレーニング?
―――現在―――
俺は校庭に投射されたアスレチックに挑んでいる。
彼女―――『情報屋』から提示された条件。
「研究課題でもある巨大な投射器を利用したARの効果について協力しろ」
どうやら、情報屋の正体を俺たちは勝手に学生と思っていたが……
大学院生、あるいは助教授や教授。そのレベルの人物だったらしい。
なんだ、そんな事かと思っていたら、これが中々の難易度だった。
反射神経と体幹。
情報屋の説明では―――
「本来のARゲームでは携帯端末を使用しますが、精密機械であるための物理的な衝撃に脆弱性があることを否定することはできないでしょう」
「壊れやすいってことですか?いや、そんなことはないと思うのですが……」
「そうね、日常生活で使用することが前提だからその延長では問題ない。でもね―――
スポーツ選手のトレーニングとしての目的だと?どうかしら?」
俺は「なるほど」と唸った。
例えば、格闘技の選手が携帯端末を装備した状態でのトレーニングなんて見たこともない。
つまり、そういう激しい競技のトレーニングにもARを使うために外部からの投射器が必要なのだろう。
……いや、違うのか。 投射器の開発なら携帯端末の完成より以前に掘り下げられている。
なら、この研究は、むしろトレーニングのプログラムが目的なのだろう。
(あれ?ひょっとして、俺ってプロのスポーツ選手がトレーニングするクラスでやってるのか?)
そんな考えも一瞬、空から落ちてきた壁におれは挟まれてゲームオーバーとなった。
「疲れた」
俺はその場に座り込んだ。もう一歩も動けない状態だ。
「うむ、それじゃ明日も頼んだ。明日は……えっとルナだったかな。君もテストプレイに加わってもらう」
ルナさんの顔は若干引きつっていた。
そのまま『情報屋』は黍を返して去っていった。
「陽葵、とんでもないミッションになったぞ」
俺は元凶を弾圧するために言った。
しかし、本人はニコニコと笑みを浮かべていた。
「……?なに笑ってるんだ?」
「いやぁ、りぃち……情報屋さんは有能だと思ってね」
「有能?どこが?」
「気づかなかった?あのトレーニングメニュー。なんだかんだ言っても、『ザ・ウォリアー』のプレイヤー用だったよ」
「……そう、だったのか?」
俺には実感がないが、たぶん、陽葵が言うならそうなのだろう。
翌日、翌々日と俺たちはこのトレーニングを繰り返しながら……
このトレーニングにハマっていた。
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