ああ、赤ずきんちゃん。
第2話「赤ずきんちゃん……かな?」
おとぎの城城内、大広間。
本来、パーティーなどで使われるこの場所で、16人の乙女たちが織りなすガチンコバトルが始まろうとしていました。
天下一舞踏会。その開催から間も無くという時間に、主催者であるシンデレラは、国王様や王子様などが座る一番良い位置から舞台が見える観客席の側にいました。
舞踏会の会場をしげしげと見つめながら、シンデレラは過去の出来事について思いふけていました。
王子「むっ、どうしたシンデレラよ? ボーッとしているようだが」
シンデレラ「……少し、昔のことを思い出していました」
王子「ほぉ。そういえばシンデレラは、この国の生まれだったな。もしやその時のことか?」
シンデレラ「はい。前にも仰りましたが、かつて私は、出会いと見聞を得るために世界中の国々を旅していました。……そして私には、共に旅をする友人がいたんです。名は【妖精】と言います」
ひょんな事から、おとぎの森であった妖精。
その姿を思い出しながら、シンデレラは話を続けます。
シンデレラ「その友人は、私によく『舞踏会に参加するべきだ』と言ってきました」
王子「舞踏会?」
シンデレラ「その……、友人は私の容姿をよく褒めてくれて、舞踏会に行けばきっと良い出会いがあると、そう教えてくれてたんです。ですが……、私はそういう着飾る行事はあまり好みでなくて……」
シンデレラは、自分の灰かぶりのローブをギュッと掴みます。
シンデレラ「今回、私はそんな友人の希望を叶えようと思い、私でも参加出来る舞踏会を開催する事にしました。華やかな衣装を着なくてもよくて、人と視線を合わせなくてもよい、そんな舞踏会を」
王子「なるほどな。そんな意図があったとは」
王子様は、感心しています。
そして、時間は経過して、いよいよ天下一舞踏会の幕が開けようとしました。
キリギリス『……さあ、始まりました! 乙女たちの晴れ舞台『天下一舞踏会』!! 汗と涙が溢れ出す白熱のコロシアムが、今開催されます!! 今回の舞踏会の実況を務めますはワタクシ、歌と楽器のスペシャリスト【風来坊キリギリス】!! そして……』
アリ『解説の【働きアリ】です。今日はよろしくお願いします』
会場に設置されたスピーカーから、大音量で2人の声が響き渡ります。それは、シンデレラが今日のために雇った今夜の舞台を盛り上げてくれる役者、アリとキリギリスでした。
王子「これは驚いた! 私もいろんな舞踏会に参加したが、実況者と解説者が出て来る舞踏会は聞いたこともないぞ!」
シンデレラ「そうです。今回、この天下一舞踏会は今までにない取り組みとして大規模なアレンジを加えました。王子様が経験したどの舞踏会でも味わえないものが見られると思います」
キリギリス『いや〜遂にこの日が来ましたねアリくん! ワタクシ、この日が待ち遠し過ぎて、昨日までずっとワクワクしてたんですよぉ!!』
アリ『そうですねキリギリスさん、ボクも今日をワクワクして待ってました。何せ今夜は史上初といっても過言ではない、女性限定で行われる世界規模のバトル舞踏会。出場者、そして観客ともに大いに賑わってくれている事でしょう』
キリギリス『それでは皆様、お待たせしました! いよいよ出場者の登場です!!』
キリギリスが合図した瞬間。
扉が開かれ、大広間に出場者たちが入ってきました。
キリギリス『オォー凄い熱狂です!! 歓声を上げる観客たち! それに応える出場者! おとぎの城で行われる空前絶後の異種間舞踏会!! 果たして、誰が優勝するのか!? それでは、只今よりおとぎの国を治める王、【国王様】から開催前の挨拶をしていただきたいと思います!!』
そう言って、皆の視線が一方向に集まりました。
視線の先にいるのは、おとぎの国の国王様。白雪姫と王子様の父親でもあります。
国王様は、玉座から腰を上げて、そしてゆっくりと民衆の皆を眺めていきます。
国王「……………………」
沈黙する国王様。
民衆の皆は、黙って国王様の言葉を待ちます。
国王「……………………」
民衆『……………………』
国王「……………………」
民衆『……………………』
国王「…………………………………………まあ、頑張ってくれたまえ」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
観客席からより一層の歓声が上がりました。
そして満を持したとばかりに、キリギリスが高らかに叫びます。
キリギリス『さあっ!! 興奮が冷め切らないうちに、今回の舞踏会の主催者であるシンデレラ様から、開催の合図をお願いしたいと思います!! どうぞっ!!』
シンデレラ「ではこれより、天下一舞踏会を開催します。皆さん、精一杯頑張ってください」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
キリギリス『さあさあっ!! では早速第1試合、1回戦の試合を始めていきたいと思います!! まず最初の対戦者たちはぁぁぁ〜〜…………」
??「あ、あのッ! すいません、ちょっといいですか?」
と、その時です。
舞台の大広間に立つ出場者の1人が、キリギリスに声を掛けました。
出場者であるその女性は、『赤い頭巾をかぶった少女』でした。
キリギリス『おや? 貴女は、おとぎの森からやってきた【赤ずきん】選手ですね。どうされましたか?』
赤ずきん?「い、いえ。私、赤ずきんっていう名前じゃありません……」
『赤い頭巾をかぶった少女』は、ぷるぷると震えた様子でそう答えます。その姿は、世界中から集められた猛者とは思えない、本当に年相応の少女のものでした。
キリギリス『はっはっはっ! 何を仰られる、貴女はどう見ても赤い頭巾をかぶっているじゃないですか!』
赤ずきん?「た、確かに赤ずきんはかぶっていますけど、それはただの偶然で……。わ、私、お城の外でパパとママと一緒にお店を開いてたんですぅ! でも、お城から来た人が私を無理矢理引っ張って、ここに連れてこられてしまって……。ひ、人違いなんですぅ!! 私、この通りまだ小さくて、喧嘩なんてしたこともありませんから!」
ザワザワと観客席からざわめきが起こります。
キリギリスは、うーむと唸ってから手元にある資料に目を移しました。
キリギリス『……なるほど。この資料には、【赤ずきん】選手の特徴についてほとんど書かれていませんね。唯一書かれているのは、『赤い頭巾をかぶった少女』の一言のみ……。えぇー、この資料を作成したのは誰でしょうか?』
シンデレラ「あ、私です」
シンデレラは片手を上げて答えました。
事務作業が苦手なシンデレラは、提出資料をかなり簡単に仕上げてしまい、修正される間も無く運営の手に渡っていったのです。
キリギリス『では、シンデレラ様にお尋ねします! 彼女は、本当に【赤ずきん】選手ではないのでしょうか!?』
アリ『もし、ココで運営側に不手際があったとなれば大問題ですね。最悪の場合、大会中止も考えられます』
キリギリス『そうですねアリくん! さあ、真偽の程は如何なのでしょうか!?』
そう言われたら、シンデレラも真剣に考える他ありません。今目の前にいる赤ずきんと、記憶の中の赤ずきんを比べて、真偽を確認していきます。
シンデレラにつられ、王子様も一緒に【赤ずきん?】を眺めながら考えてみます。
シンデレラ「うーん、確かにさっき見かけた時と比べて若干幼いような……」
王子「声も少し高いような……」
シンデレラ「服装も微妙に違うような……」
王子「喋り方があざとくなっているような……」
王子&シンデレラ「「でも、『赤い頭巾をかぶってる』から間違いないな(ありませんね)」」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
キリギリス『オーっと間違いは無いのだそうです!! という訳で舞踏会は続行!! 問題なく、これより第1試合に取り掛かりたいと思いますッ!!』
赤ずきん?「そ、そんな無茶苦茶ですぅ!!」
キリギリス『第1試合の対戦者は……おおっとこれは偶然!! 最初の試合を行う1人目は、おとぎの国で最も恐ろしいと呼ばれる悪夢の地、【おとぎの森】。人を喰らい、闇を誘うとされる魔の森からやってきた、年端もいかぬ可憐な少女!! 『ヘビィランク・キュートガール』赤ずきん選手!!』
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
観客席から歓声が上がり、『赤い頭巾をかぶった少女』は狼狽えています。
キリギリス『そして対するのは、【ジェラシック大陸】からやってきた巨竜! 『ティラノサウルス』のティラ乃選手です!!』
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!」
謎の動物の鳴き声の後、舞台の外からドッシィィィィィィィィィィィィィン!!!! と大きな衝撃音が響き渡りました。
遅れて大広間に入ってきたのは、巨大な体躯をした【恐竜】でした。
体長10メートルには及ぶのではないだろうかというその恐竜は、見た目とはそぐわない優しい声で喋ります。
ティラ乃「す、すみません! 遅れてしまいました!」
キリギリス『あー大丈夫ですよティラ乃選手。ちょうど今、始まったところですから』
赤ずきん?「……」
『赤い頭巾をかぶった少女』は絶句していました。突然、目の前に自分の身体の10倍近くある生き物が現れたのですから無理もないでしょう。
ましてや、『コレ』と戦わなければならないなどと思いもよらなかったはずです。
赤ずきん?「…………ま、待って! ちょっと待ってください!」
キリギリス『それでは、行ってみましょーっ!! 第1試合【赤ずきんVSティラ乃】、試合開始ですッ!!』
赤ずきん?「ちょっとーーーーーぉ!!?!」
*****
一方その頃、赤ずきんはトランプタワーを作っていました。
白雪姫も一緒に作っています。
赤ずきん「私の世界新記録を復活させるため、頑張りましょうね白雪姫!」
白雪姫「えっと……、こんな事していて大丈夫なんでしょうか? 時間が……」
赤ずきん「余裕余裕! あと5、いや3分で終わらせるから!」
白雪姫「わ、わかりました! タワーが完成するまで、一緒に頑張りましょう!」
赤ずきん「おぉっ!」
待ちに待った天下一舞踏会。
混沌と陰謀が渦巻く例の大会は、もう既に開かれています。
次回、第3話「赤ずきんちゃんクライシス」。ご期待ください。
本来、パーティーなどで使われるこの場所で、16人の乙女たちが織りなすガチンコバトルが始まろうとしていました。
天下一舞踏会。その開催から間も無くという時間に、主催者であるシンデレラは、国王様や王子様などが座る一番良い位置から舞台が見える観客席の側にいました。
舞踏会の会場をしげしげと見つめながら、シンデレラは過去の出来事について思いふけていました。
王子「むっ、どうしたシンデレラよ? ボーッとしているようだが」
シンデレラ「……少し、昔のことを思い出していました」
王子「ほぉ。そういえばシンデレラは、この国の生まれだったな。もしやその時のことか?」
シンデレラ「はい。前にも仰りましたが、かつて私は、出会いと見聞を得るために世界中の国々を旅していました。……そして私には、共に旅をする友人がいたんです。名は【妖精】と言います」
ひょんな事から、おとぎの森であった妖精。
その姿を思い出しながら、シンデレラは話を続けます。
シンデレラ「その友人は、私によく『舞踏会に参加するべきだ』と言ってきました」
王子「舞踏会?」
シンデレラ「その……、友人は私の容姿をよく褒めてくれて、舞踏会に行けばきっと良い出会いがあると、そう教えてくれてたんです。ですが……、私はそういう着飾る行事はあまり好みでなくて……」
シンデレラは、自分の灰かぶりのローブをギュッと掴みます。
シンデレラ「今回、私はそんな友人の希望を叶えようと思い、私でも参加出来る舞踏会を開催する事にしました。華やかな衣装を着なくてもよくて、人と視線を合わせなくてもよい、そんな舞踏会を」
王子「なるほどな。そんな意図があったとは」
王子様は、感心しています。
そして、時間は経過して、いよいよ天下一舞踏会の幕が開けようとしました。
キリギリス『……さあ、始まりました! 乙女たちの晴れ舞台『天下一舞踏会』!! 汗と涙が溢れ出す白熱のコロシアムが、今開催されます!! 今回の舞踏会の実況を務めますはワタクシ、歌と楽器のスペシャリスト【風来坊キリギリス】!! そして……』
アリ『解説の【働きアリ】です。今日はよろしくお願いします』
会場に設置されたスピーカーから、大音量で2人の声が響き渡ります。それは、シンデレラが今日のために雇った今夜の舞台を盛り上げてくれる役者、アリとキリギリスでした。
王子「これは驚いた! 私もいろんな舞踏会に参加したが、実況者と解説者が出て来る舞踏会は聞いたこともないぞ!」
シンデレラ「そうです。今回、この天下一舞踏会は今までにない取り組みとして大規模なアレンジを加えました。王子様が経験したどの舞踏会でも味わえないものが見られると思います」
キリギリス『いや〜遂にこの日が来ましたねアリくん! ワタクシ、この日が待ち遠し過ぎて、昨日までずっとワクワクしてたんですよぉ!!』
アリ『そうですねキリギリスさん、ボクも今日をワクワクして待ってました。何せ今夜は史上初といっても過言ではない、女性限定で行われる世界規模のバトル舞踏会。出場者、そして観客ともに大いに賑わってくれている事でしょう』
キリギリス『それでは皆様、お待たせしました! いよいよ出場者の登場です!!』
キリギリスが合図した瞬間。
扉が開かれ、大広間に出場者たちが入ってきました。
キリギリス『オォー凄い熱狂です!! 歓声を上げる観客たち! それに応える出場者! おとぎの城で行われる空前絶後の異種間舞踏会!! 果たして、誰が優勝するのか!? それでは、只今よりおとぎの国を治める王、【国王様】から開催前の挨拶をしていただきたいと思います!!』
そう言って、皆の視線が一方向に集まりました。
視線の先にいるのは、おとぎの国の国王様。白雪姫と王子様の父親でもあります。
国王様は、玉座から腰を上げて、そしてゆっくりと民衆の皆を眺めていきます。
国王「……………………」
沈黙する国王様。
民衆の皆は、黙って国王様の言葉を待ちます。
国王「……………………」
民衆『……………………』
国王「……………………」
民衆『……………………』
国王「…………………………………………まあ、頑張ってくれたまえ」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
観客席からより一層の歓声が上がりました。
そして満を持したとばかりに、キリギリスが高らかに叫びます。
キリギリス『さあっ!! 興奮が冷め切らないうちに、今回の舞踏会の主催者であるシンデレラ様から、開催の合図をお願いしたいと思います!! どうぞっ!!』
シンデレラ「ではこれより、天下一舞踏会を開催します。皆さん、精一杯頑張ってください」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
キリギリス『さあさあっ!! では早速第1試合、1回戦の試合を始めていきたいと思います!! まず最初の対戦者たちはぁぁぁ〜〜…………」
??「あ、あのッ! すいません、ちょっといいですか?」
と、その時です。
舞台の大広間に立つ出場者の1人が、キリギリスに声を掛けました。
出場者であるその女性は、『赤い頭巾をかぶった少女』でした。
キリギリス『おや? 貴女は、おとぎの森からやってきた【赤ずきん】選手ですね。どうされましたか?』
赤ずきん?「い、いえ。私、赤ずきんっていう名前じゃありません……」
『赤い頭巾をかぶった少女』は、ぷるぷると震えた様子でそう答えます。その姿は、世界中から集められた猛者とは思えない、本当に年相応の少女のものでした。
キリギリス『はっはっはっ! 何を仰られる、貴女はどう見ても赤い頭巾をかぶっているじゃないですか!』
赤ずきん?「た、確かに赤ずきんはかぶっていますけど、それはただの偶然で……。わ、私、お城の外でパパとママと一緒にお店を開いてたんですぅ! でも、お城から来た人が私を無理矢理引っ張って、ここに連れてこられてしまって……。ひ、人違いなんですぅ!! 私、この通りまだ小さくて、喧嘩なんてしたこともありませんから!」
ザワザワと観客席からざわめきが起こります。
キリギリスは、うーむと唸ってから手元にある資料に目を移しました。
キリギリス『……なるほど。この資料には、【赤ずきん】選手の特徴についてほとんど書かれていませんね。唯一書かれているのは、『赤い頭巾をかぶった少女』の一言のみ……。えぇー、この資料を作成したのは誰でしょうか?』
シンデレラ「あ、私です」
シンデレラは片手を上げて答えました。
事務作業が苦手なシンデレラは、提出資料をかなり簡単に仕上げてしまい、修正される間も無く運営の手に渡っていったのです。
キリギリス『では、シンデレラ様にお尋ねします! 彼女は、本当に【赤ずきん】選手ではないのでしょうか!?』
アリ『もし、ココで運営側に不手際があったとなれば大問題ですね。最悪の場合、大会中止も考えられます』
キリギリス『そうですねアリくん! さあ、真偽の程は如何なのでしょうか!?』
そう言われたら、シンデレラも真剣に考える他ありません。今目の前にいる赤ずきんと、記憶の中の赤ずきんを比べて、真偽を確認していきます。
シンデレラにつられ、王子様も一緒に【赤ずきん?】を眺めながら考えてみます。
シンデレラ「うーん、確かにさっき見かけた時と比べて若干幼いような……」
王子「声も少し高いような……」
シンデレラ「服装も微妙に違うような……」
王子「喋り方があざとくなっているような……」
王子&シンデレラ「「でも、『赤い頭巾をかぶってる』から間違いないな(ありませんね)」」
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
キリギリス『オーっと間違いは無いのだそうです!! という訳で舞踏会は続行!! 問題なく、これより第1試合に取り掛かりたいと思いますッ!!』
赤ずきん?「そ、そんな無茶苦茶ですぅ!!」
キリギリス『第1試合の対戦者は……おおっとこれは偶然!! 最初の試合を行う1人目は、おとぎの国で最も恐ろしいと呼ばれる悪夢の地、【おとぎの森】。人を喰らい、闇を誘うとされる魔の森からやってきた、年端もいかぬ可憐な少女!! 『ヘビィランク・キュートガール』赤ずきん選手!!』
ワァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!
観客席から歓声が上がり、『赤い頭巾をかぶった少女』は狼狽えています。
キリギリス『そして対するのは、【ジェラシック大陸】からやってきた巨竜! 『ティラノサウルス』のティラ乃選手です!!』
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!」
謎の動物の鳴き声の後、舞台の外からドッシィィィィィィィィィィィィィン!!!! と大きな衝撃音が響き渡りました。
遅れて大広間に入ってきたのは、巨大な体躯をした【恐竜】でした。
体長10メートルには及ぶのではないだろうかというその恐竜は、見た目とはそぐわない優しい声で喋ります。
ティラ乃「す、すみません! 遅れてしまいました!」
キリギリス『あー大丈夫ですよティラ乃選手。ちょうど今、始まったところですから』
赤ずきん?「……」
『赤い頭巾をかぶった少女』は絶句していました。突然、目の前に自分の身体の10倍近くある生き物が現れたのですから無理もないでしょう。
ましてや、『コレ』と戦わなければならないなどと思いもよらなかったはずです。
赤ずきん?「…………ま、待って! ちょっと待ってください!」
キリギリス『それでは、行ってみましょーっ!! 第1試合【赤ずきんVSティラ乃】、試合開始ですッ!!』
赤ずきん?「ちょっとーーーーーぉ!!?!」
*****
一方その頃、赤ずきんはトランプタワーを作っていました。
白雪姫も一緒に作っています。
赤ずきん「私の世界新記録を復活させるため、頑張りましょうね白雪姫!」
白雪姫「えっと……、こんな事していて大丈夫なんでしょうか? 時間が……」
赤ずきん「余裕余裕! あと5、いや3分で終わらせるから!」
白雪姫「わ、わかりました! タワーが完成するまで、一緒に頑張りましょう!」
赤ずきん「おぉっ!」
待ちに待った天下一舞踏会。
混沌と陰謀が渦巻く例の大会は、もう既に開かれています。
次回、第3話「赤ずきんちゃんクライシス」。ご期待ください。
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