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ああ、赤ずきんちゃん。

極大級マイソン

第17話「赤ずきんちゃんはジュースを作る」

 白雪姫「えっ! 赤ずきんさん、舞踏会に参加されるんですか!?」
 赤ずきん「うん。なんかそういう話になってるみたい。まあ『舞踏会』っていうより、『武闘会』って感じの大会で、女の子同士で戦ったりするらしいわ。よくわかんないけど」

 赤ずきんと白雪姫は、調理場でリンゴジュースを嗜みながら、お互いにこれまで起きた出来事を話し合っていました。赤ずきんが知らぬ間にそんな事に巻き込まれていると知り、白雪姫は少し怒った様子で椅子から立ち上がります。

 白雪姫「私、お父様とお話しして、赤ずきんさんの参加を取り止めるように頼んできます! 赤ずきんさんに万が一怪我でもされたら私…………!」
 赤ずきん「だ、大丈夫よ白雪姫。そんなに思い詰めなくても私なら平気だから。それに、その舞踏会にも参加しようと思ってるの。成り行きとはいえ、せっかく森を出てお城の中まで来たんだし、たくさん思い出を作りたいわ」
 白雪姫「そうですか? でも…………」
 赤ずきん「…………それに、ここで家に帰ったら、どのみちママと"リアルファイト"する羽目になるだろうし」

 そういえば、赤ずきんのママは事あるごとに赤ずきんを殴る蹴る投げ飛ばすを行う非常にクレイジーな人だったと、白雪姫は思い出します。初めてその光景を目撃した際は、あまりの非情さに開いた口が塞がらなくなっていた白雪姫でしたが、猛攻を受けている当の本人が案外元気そうだったのですっかりその行いにも慣れていたのです。
 しかし、実際赤ずきんはそんなママの態度にうんざりしていました。ともすれば完全に児童虐待なので、どれだけ頑丈な赤ずきんでも文句の1つも言いたくなるものです。

 赤ずきん「でも私の経験上、ママの頑固さは一級品よ。言って聴くような人じゃないってわかってるから、ほとぼりが冷めるまでこのお城に匿ってもらおうと思ってるの」
 白雪姫「なるほど。そういう事なら幾らでも住んでもらっても構いません。お父様に相談してみますね」
 赤ずきん「ありがとう! やっぱり持つべきものは友達ね!」

 赤ずきんは、白雪姫に飛びついて思いっきりハグをします。
 白雪姫は頬を赤らめて、思わず赤ずきんから目を逸らしました。

 白雪姫「そ、そういえば、赤ずきんさんのご両親は拳法使いでしたね。戦っているところは見たことはありませんが、きっとお強いんでしょうね」
 赤ずきん「えっと。ママが私と同じ森育ちで、パパは町から来たんだって。だから拳法使いはママとお爺ちゃんとお婆ちゃんの3人」
 白雪姫「なるほど、お父様は婿入りなんですね」
 赤ずきん「私も拳法を習ってないの。だから正直、舞踏会で勝ち進むのは自信ないわね。まあ、身体だけは人一倍丈夫だから、やれるだけやってみるわ」
 白雪姫「無理だけはしないでくださいね。私も、精一杯応援しますから」

 未だ見ぬ戦いの舞台、天下一舞踏会。
 一体、どのような出会いが待ち受けているのか。赤ずきんは、早くも期待で胸がいっぱいになっていました。

 白雪姫「そうだ。お兄様にリンゴジュースを届けないと。早く用事を済ませて、お父様に赤ずきんさんの事を伝えに行きましょう!」
 赤ずきん「そうね! 早く王子様元に行こう! ……何か、王子様を生き返らせる事をすっごく片手間程度に言ったのは気になるけど」

 赤ずきんは、テーブルの上に置かれてあるコップに目を移します。黄金色に輝くその液体は、黄金のリンゴをジューサーに掛けて出来たジュースです。これを飲ませれば、きっと
 王子様を生き返らせる事が出来るでしょう。
 2人は調理場を後にします。

 白雪姫「あれ?」
 赤ずきん「どうしたの?」
 白雪姫「いえ、何か忘れているような……」
 赤ずきん「ああ、そういえば外にオオカミさん達が来てるんだったわね。みんなにも会いに行かないとね」
 白雪姫「そうですね。みなさんにも赤ずきんさんの無事を伝えないと。……………………あれ? 違う、それ以外にも何か忘れているような……」
 赤ずきん「でも、忘れてるって事は大したことではないんじゃない?」
 白雪姫「うーん確かに言われてみれば、そこまで重要なことでがなかったと思います。おそらく」
 赤ずきん「なら問題ないわね」



 *****



 一方その頃。

 少年「だ、駄目だ。幾ら押してもビクともしない! くそ、このままでは…………」
 少年「は! よく見ると扉の端にレバーみたいなのがあるぞ! なになに、『非常時の際には、このレバーをお引きください』。……これだっ!」
 少年「サッサとこんな場所おさらばしよう! 早くしないと凍結して死んでしまう! オラァアアア開けよ扉ぁああああああああああああああ!!!!」


 ギリギリギリ…………!
 ボキャッ!!


 ………………。
 …………。
 ……。

 少年「レバー、折れたし!!」



 *****



 そして赤ずきんと白雪姫は、調理場から客室へと向かいます。

 赤ずきん「そうだ。白雪姫、貴女『シンデレラ』って人は知ってる?」
 白雪姫「いえ、初めて聞く人のお名前です」
 赤ずきん「あら、そうなの? 私をこのお城に連れて来たのがその人なんだけど。例の舞踏会を企画したのもシンデレラさんらしいわ」
 白雪姫「舞踏会を? お父様かお兄様のお知り合いでしょうか……」
 赤ずきん「あ、噂をすれば」

 2人が歩いている正面に、シンデレラと思わしき影を見つけます。薄汚れたフードとコードを着たその女性は、客室の周りを彷徨いていました。

 赤ずきん「シンデレラさん」
 シンデレラ「あら、貴女は…………。えっと、どなたでしょうか?」
 赤ずきん「昨日会ったばかりなのに酷い!」
 白雪姫「あ、赤ずきんさん。多分、いつもの頭巾を被っていないからですよ」
 赤ずきん「ああなるほど。そういえばいつもと服装も違うものね」

 赤ずきんは、今の自分の格好が頭巾の無いドレス姿であることを思い出しました。

 シンデレラ「……赤ずきん、さん?」
 赤ずきん「そうよ赤ずきんよ。昨日ぶりね」
 シンデレラ「おはようございます、赤ずきんさん。そして貴女は、白雪姫ですね」
 白雪姫「初めましてシンデレラさん。白雪姫です」
 シンデレラ「お初にお目にかかります、シンデレラと申します。以後、お見知り置きを」

 シンデレラは丁寧にお辞儀をします。彼女の動作は精練されていて、まるで社交パーティーで挨拶をする貴族のように1つ1つの振る舞いが美しさに満ちていました。何故、このような薄汚れた格好をしているのかが、本当に理解できないくらい、シンデレラは完成されていたのです。
 あまりの美しさに息を呑み白雪姫。
 そんな最中、シンデレラは顔を上げ、完璧な美しさで2人と顔を合わせます。

 シンデレラ「今日はとても良い天気ですね。絶好の舞踏会日和です!」
 赤ずきん「嬉しそうね」
 シンデレラ「それはもう! だって私は、この日のためにおとぎの城へ訪れたのですから!」

 そして、そう言ったシンデレラの顔には、薄汚れた格好にも、絶世の美女にも似合わない、幼い少女のような笑みが浮かんでいました。
 次回、第18話「赤ずきんちゃんと白雪姫とシンデレラと王子様」。ご期待ください。

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