ああ、赤ずきんちゃん。
第10話「狩人という男」
重騎士「オイオイ嘘だろ……」
白雪姫を保護し、獣2匹を確保した四騎士は、団長達が待つおとぎの城の門を潜り抜けます。そこには伝説と呼ばれる騎士、『天才騎士』がいました。
しかし、4人が門を抜けてから真っ先に注目した者は彼ではなく、その周囲で倒れる仲間の騎士達でした。おとぎ騎士団として、王国屈指の実力を持つその騎士達は、皆苦しそうな呻き声を上げて倒れていたのです。
聖騎士「こ、これは……!」
弓騎士「おとぎ騎士団が……全滅ッ!? 馬鹿な、あれからまだ数分と経っていないのにっ!!」
女騎士「くっ、団長!! 団長は何処にいる!?」
女騎士は、この信じられない現状を認識すると、即座に周囲を見渡し、団長を探し始めました。そして女騎士は、天才騎士である狩人と対峙する向こう側の位置にいる団長の姿を確認します。
団長「女騎士…………!」
女騎士「団長っ!!」
団長は、特に大きな怪我を負っていない様子でしたが、相当疲労しているらしく、息も絶え絶えのようです。必死に剣を握りしめ、正面にいる狩人を見据えていました。
そんな真剣な団長に対し、狩人は垢抜けた表情で、後からやって来た四騎士の方向を向きます。
狩人「お、まだ仲間が居たのか。……また新顔だな」
女騎士「お前が天才騎士か……」
狩人「そう呼ばれていた時期もあった。今は『狩人』って呼ばれている。よろしくな」
女騎士「この騎士達はお前がやったのか!?」
狩人「あー、無謀にも挑んで来たから返り討ちにした。なんか文句あるか?」
ガキィィィィィィン!! と、金属の鳴る音が響き渡ります。
見ると、余所見をしていた狩人の隙をついて、団長が彼に斬りかかっていたのです。
しかし団長の剣を、狩人はあっさりと受け止めます。
団長「くっ!!」
狩人「背後から攻撃するとは、騎士とは思えない卑怯っぷりだな」
狩人は団長を強く蹴飛ばし、壁に叩きつけました。
団長「ぬぐっ!」
狩人「老体は大人しく寝てろよ」
女騎士「団長!! お前えええええええええええッッ!!!!」
女騎士は怒りと共に狩人へ斬りかかろうとします。しかし、その行動は仲間に止められました。
聖騎士「落ち着いてください女騎士殿! 1人で挑むのは危険です!」
弓騎士「天才騎士……いや、狩人か。正直ここまでの実力とは予想外でした。しかし、仲間が倒れている以上、我々が引くわけにはいきませんよね!」
重騎士「そうだぜ! 4人で力を合わせれば、どんな相手だろうと勝てる!!」
仲間達の言葉を聞いて、女騎士はハッと正気に戻ります。
女騎士(そうだ。私には頼れる仲間がいる! 取り乱すな、集中しろ。いつものように仲間を信じて連携を取るんだ。そうすれば必ず奴を……!)
四騎士はそれぞれ剣を構え、狩人と対峙します。
阻止狩人は"やれやれ"と首を振ります。
狩人「ていうかお前ら、何でそんなに好戦的なの? たくっ、おとぎ騎士団はいつから脳筋の集まりになったんだ。…………ああ、昔からか。だとしても交渉の余地くらいあっても良いだろう。俺とお前らが互いに手を取り合って分かち合える方法は無いのか?」
女騎士「高額賞金首の凶悪犯罪者である貴様に、今更慈悲などあるものか! あるとすれば、それは貴様が大人しく我らに降伏し、牢屋に入る事だけだ!」
狩人「てめーらのチンケな牢屋なんぞ余裕で脱出できそうだが、あいにくそんな余計な時間を使っている暇は無いんでね。悪いが歯向かわせてもらうぜ」
女騎士「行くぞみんなッ!! 王国の威信を示せぇぇ!!」
女騎士の号令と同時に、弓騎士が背中にかけていた弓を取り出し、弦を引きます。
弓騎士「先手必勝だ!」
弓から矢が放たれ、狩人に向けて真っ直ぐ進みます。
狩人「何だこんなもの」
狩人は剣で矢を弾きます。
しかし、それは想定の範囲内。続く形で女騎士と聖騎士が狩人に一斉に襲いかかりました。
騎士が編み出す正確無比な剣の乱舞。下手をすれば自分の中に誤爆するやもしれないそんな芸当を、騎士達は容易く行います。高い連携を要求される剣技。騎士達の日頃の鍛錬からなる成果でしょう。
狩人は、その攻撃を剣で弾き、受け止めます。
百をも超える何撃目かの剣を浴びせた2人の騎士は、一度狩人から距離を取りました。
女騎士「どうした! 防戦一方か!? 伝説といっても大した事ないな!!」
狩人「いや、俺も早々に蹴りをつけたいんだが1つ問題があってな」
聖騎士「問題?」
その瞬間、2人の騎士と入れ替わるように大柄の騎士が挑み掛かります。
狩人「何だ?」
重騎士「よおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」
巨大な鉄鎚を振りかぶり、重騎士がその全身鎧の姿で、狩人に突っ込んだのです。総重量は100キロを超える鉄の塊の猛進。人間ではまず受けて耐えられないでしょう。
そして重騎士が狩人に接触する際、狩人は片手を前に突き出しました。
重騎士「ぬぉぉ!?」
そして、信じられない事が起こりました。
鉄の塊とも言える重騎士の突進を、細身の身体である狩人が片手で受け止めたのです。狩人は無表情、いや、寧ろ呆気にとられたような表情をしていました。
狩人「…………何だ、デカイ図体してこの程度かよ? "森のクマさん"だってもう少しマシな攻撃するぜ」
重騎士「ああっ!? どうなってんだこいつの筋力ッ!!」
重騎士は一瞬驚いたものの、身体を受け止められると解るや否や自慢の鉄鎚を振り下ろします。
しかし、その鉄鎚もまた狩人の反対の腕で受け止められました。剣で弾いたのでも反らしたのでもなく、狩人は『腕』で鉄鎚を"防いだ"のです。
重騎士は苦悶の表情を浮かべ、狩人はため息をつきます。
狩人「やっぱり軽い……。立派なのは鎧だけかよ」
そう言って狩人は、目にも止まらぬ速さで剣を振ります。後ろにいた3人の騎士に動揺が走りました。
しかし、狩人の振るった剣はポッキリと小枝のように折れてしまいました。重騎士の分厚い鎧が剣を防いだのです。
狩人「あーやっぱり折れた! 昔からそうなんだよ。騎士団から支給される剣は何でこんなに簡単に折れるんだ!? ポンコツめ!!」
そう叫ぶ狩人ですが、常識的に考えて鉄の剣で丈夫な鎧を斬り裂けるはずがありません。しかも重騎士の鎧は、おとぎの国の技術者が腕を奮って鍛えあげた特注品でした。鉄より何倍も硬い金属を使った鎧は、剣はおろか大砲の弾でも耐え抜くと言われています。
重騎士「俺の鎧はどんな剣も通じない! 流石の天才騎士も、剣が使えなきゃ太刀打ち出来ないだろう!?
狩人「全くその通りだ。今さっきパクった安物の騎士の剣じゃ役不足なんだよ。鎧1つ斬れやしねえ。……だが、今の俺様には時間がない。だから騎士らしくもなく『剣以外』の武器で戦わせてもらう」
重騎士「剣以外? 何だ、それは?」
狩人「拳」
刹那、グシャアアアアアアアアアアアアアア!! と。ナニカが潰れる音が町中に響き渡りました。
剣を失った狩人。彼は、在ろう事か自身の『拳』で、全身鎧の重騎士を"殴った"のです。
重騎士「がっ、、、、あああぁぁ!!?!」
重騎士の口から発せられたのは、嗚咽。
狩人のパンチが、重騎士の鎧にめり込みました。特注の鎧がまるで粘土のように深く凹み、重騎士を『くの字』に折ったのです。
ただの人間にはあり得ない威力の衝撃を喰らい、痙攣する重騎士に対し、狩人は追撃を浴びせます。
連打。
連打。
連打。連打。
元騎士とは思えない、剣どころか武器を使用しない肉弾の攻撃。しかしその猛攻は確実に重騎士にダメージを与えます。
どれだけの拳を浴びせたでしょう。
重騎士の鎧は、以前とは見る影もなくボロボロに壊れてしまいました。そして中にいた重騎士もまた、酷いダメージを負い、意識を失ってしまい、
そのまま力なく、その場に倒れました。
『…………………………ッ!!』
残る四騎士に、言いようのない衝撃が走ります。騎士団でも特に大きく、力のあった重騎士が一方的にやられてしまったのです。3人には少なからずの動揺が見受けられました。
そして狩人は、倒れた重騎士を一瞥し、残る3人に振り返ります。
狩人「新人の騎士共、お前らに2つ言っておくことがある。1つ、俺は急いでいる。もう1つは、お前らは弱過ぎる。だからハンデとして、俺は武器を使わないで戦ってやる。その代わり急ピッチで攻めるからな。10秒も持たないとは思うが、恨むんなら自分の弱さを恨みな」
聖騎士「何を…………がはっ!!」
弓騎士「聖騎士ッ!? グワァァ!!」
一瞬。
その瞬間、女騎士は何が起こったのか理解できなかったでしょう。ただ解ったのは、先程まで隣で武器を構えていた2人の騎士が、突然訳も分からないまま吹き飛んだことです。
女騎士「なっ!?」
気が付けば、立っているのは狩人と女騎士だけでした。他の人間は此処にはおらず、騎士団の皆は誰1人として立ち上がりません。
王国最強と呼ばれた『おとぎ騎士団』は、たった1人の男によってねじ伏せられたのです。
次回、第11話「白雪姫は想う」。ご期待ください。
白雪姫を保護し、獣2匹を確保した四騎士は、団長達が待つおとぎの城の門を潜り抜けます。そこには伝説と呼ばれる騎士、『天才騎士』がいました。
しかし、4人が門を抜けてから真っ先に注目した者は彼ではなく、その周囲で倒れる仲間の騎士達でした。おとぎ騎士団として、王国屈指の実力を持つその騎士達は、皆苦しそうな呻き声を上げて倒れていたのです。
聖騎士「こ、これは……!」
弓騎士「おとぎ騎士団が……全滅ッ!? 馬鹿な、あれからまだ数分と経っていないのにっ!!」
女騎士「くっ、団長!! 団長は何処にいる!?」
女騎士は、この信じられない現状を認識すると、即座に周囲を見渡し、団長を探し始めました。そして女騎士は、天才騎士である狩人と対峙する向こう側の位置にいる団長の姿を確認します。
団長「女騎士…………!」
女騎士「団長っ!!」
団長は、特に大きな怪我を負っていない様子でしたが、相当疲労しているらしく、息も絶え絶えのようです。必死に剣を握りしめ、正面にいる狩人を見据えていました。
そんな真剣な団長に対し、狩人は垢抜けた表情で、後からやって来た四騎士の方向を向きます。
狩人「お、まだ仲間が居たのか。……また新顔だな」
女騎士「お前が天才騎士か……」
狩人「そう呼ばれていた時期もあった。今は『狩人』って呼ばれている。よろしくな」
女騎士「この騎士達はお前がやったのか!?」
狩人「あー、無謀にも挑んで来たから返り討ちにした。なんか文句あるか?」
ガキィィィィィィン!! と、金属の鳴る音が響き渡ります。
見ると、余所見をしていた狩人の隙をついて、団長が彼に斬りかかっていたのです。
しかし団長の剣を、狩人はあっさりと受け止めます。
団長「くっ!!」
狩人「背後から攻撃するとは、騎士とは思えない卑怯っぷりだな」
狩人は団長を強く蹴飛ばし、壁に叩きつけました。
団長「ぬぐっ!」
狩人「老体は大人しく寝てろよ」
女騎士「団長!! お前えええええええええええッッ!!!!」
女騎士は怒りと共に狩人へ斬りかかろうとします。しかし、その行動は仲間に止められました。
聖騎士「落ち着いてください女騎士殿! 1人で挑むのは危険です!」
弓騎士「天才騎士……いや、狩人か。正直ここまでの実力とは予想外でした。しかし、仲間が倒れている以上、我々が引くわけにはいきませんよね!」
重騎士「そうだぜ! 4人で力を合わせれば、どんな相手だろうと勝てる!!」
仲間達の言葉を聞いて、女騎士はハッと正気に戻ります。
女騎士(そうだ。私には頼れる仲間がいる! 取り乱すな、集中しろ。いつものように仲間を信じて連携を取るんだ。そうすれば必ず奴を……!)
四騎士はそれぞれ剣を構え、狩人と対峙します。
阻止狩人は"やれやれ"と首を振ります。
狩人「ていうかお前ら、何でそんなに好戦的なの? たくっ、おとぎ騎士団はいつから脳筋の集まりになったんだ。…………ああ、昔からか。だとしても交渉の余地くらいあっても良いだろう。俺とお前らが互いに手を取り合って分かち合える方法は無いのか?」
女騎士「高額賞金首の凶悪犯罪者である貴様に、今更慈悲などあるものか! あるとすれば、それは貴様が大人しく我らに降伏し、牢屋に入る事だけだ!」
狩人「てめーらのチンケな牢屋なんぞ余裕で脱出できそうだが、あいにくそんな余計な時間を使っている暇は無いんでね。悪いが歯向かわせてもらうぜ」
女騎士「行くぞみんなッ!! 王国の威信を示せぇぇ!!」
女騎士の号令と同時に、弓騎士が背中にかけていた弓を取り出し、弦を引きます。
弓騎士「先手必勝だ!」
弓から矢が放たれ、狩人に向けて真っ直ぐ進みます。
狩人「何だこんなもの」
狩人は剣で矢を弾きます。
しかし、それは想定の範囲内。続く形で女騎士と聖騎士が狩人に一斉に襲いかかりました。
騎士が編み出す正確無比な剣の乱舞。下手をすれば自分の中に誤爆するやもしれないそんな芸当を、騎士達は容易く行います。高い連携を要求される剣技。騎士達の日頃の鍛錬からなる成果でしょう。
狩人は、その攻撃を剣で弾き、受け止めます。
百をも超える何撃目かの剣を浴びせた2人の騎士は、一度狩人から距離を取りました。
女騎士「どうした! 防戦一方か!? 伝説といっても大した事ないな!!」
狩人「いや、俺も早々に蹴りをつけたいんだが1つ問題があってな」
聖騎士「問題?」
その瞬間、2人の騎士と入れ替わるように大柄の騎士が挑み掛かります。
狩人「何だ?」
重騎士「よおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」
巨大な鉄鎚を振りかぶり、重騎士がその全身鎧の姿で、狩人に突っ込んだのです。総重量は100キロを超える鉄の塊の猛進。人間ではまず受けて耐えられないでしょう。
そして重騎士が狩人に接触する際、狩人は片手を前に突き出しました。
重騎士「ぬぉぉ!?」
そして、信じられない事が起こりました。
鉄の塊とも言える重騎士の突進を、細身の身体である狩人が片手で受け止めたのです。狩人は無表情、いや、寧ろ呆気にとられたような表情をしていました。
狩人「…………何だ、デカイ図体してこの程度かよ? "森のクマさん"だってもう少しマシな攻撃するぜ」
重騎士「ああっ!? どうなってんだこいつの筋力ッ!!」
重騎士は一瞬驚いたものの、身体を受け止められると解るや否や自慢の鉄鎚を振り下ろします。
しかし、その鉄鎚もまた狩人の反対の腕で受け止められました。剣で弾いたのでも反らしたのでもなく、狩人は『腕』で鉄鎚を"防いだ"のです。
重騎士は苦悶の表情を浮かべ、狩人はため息をつきます。
狩人「やっぱり軽い……。立派なのは鎧だけかよ」
そう言って狩人は、目にも止まらぬ速さで剣を振ります。後ろにいた3人の騎士に動揺が走りました。
しかし、狩人の振るった剣はポッキリと小枝のように折れてしまいました。重騎士の分厚い鎧が剣を防いだのです。
狩人「あーやっぱり折れた! 昔からそうなんだよ。騎士団から支給される剣は何でこんなに簡単に折れるんだ!? ポンコツめ!!」
そう叫ぶ狩人ですが、常識的に考えて鉄の剣で丈夫な鎧を斬り裂けるはずがありません。しかも重騎士の鎧は、おとぎの国の技術者が腕を奮って鍛えあげた特注品でした。鉄より何倍も硬い金属を使った鎧は、剣はおろか大砲の弾でも耐え抜くと言われています。
重騎士「俺の鎧はどんな剣も通じない! 流石の天才騎士も、剣が使えなきゃ太刀打ち出来ないだろう!?
狩人「全くその通りだ。今さっきパクった安物の騎士の剣じゃ役不足なんだよ。鎧1つ斬れやしねえ。……だが、今の俺様には時間がない。だから騎士らしくもなく『剣以外』の武器で戦わせてもらう」
重騎士「剣以外? 何だ、それは?」
狩人「拳」
刹那、グシャアアアアアアアアアアアアアア!! と。ナニカが潰れる音が町中に響き渡りました。
剣を失った狩人。彼は、在ろう事か自身の『拳』で、全身鎧の重騎士を"殴った"のです。
重騎士「がっ、、、、あああぁぁ!!?!」
重騎士の口から発せられたのは、嗚咽。
狩人のパンチが、重騎士の鎧にめり込みました。特注の鎧がまるで粘土のように深く凹み、重騎士を『くの字』に折ったのです。
ただの人間にはあり得ない威力の衝撃を喰らい、痙攣する重騎士に対し、狩人は追撃を浴びせます。
連打。
連打。
連打。連打。
元騎士とは思えない、剣どころか武器を使用しない肉弾の攻撃。しかしその猛攻は確実に重騎士にダメージを与えます。
どれだけの拳を浴びせたでしょう。
重騎士の鎧は、以前とは見る影もなくボロボロに壊れてしまいました。そして中にいた重騎士もまた、酷いダメージを負い、意識を失ってしまい、
そのまま力なく、その場に倒れました。
『…………………………ッ!!』
残る四騎士に、言いようのない衝撃が走ります。騎士団でも特に大きく、力のあった重騎士が一方的にやられてしまったのです。3人には少なからずの動揺が見受けられました。
そして狩人は、倒れた重騎士を一瞥し、残る3人に振り返ります。
狩人「新人の騎士共、お前らに2つ言っておくことがある。1つ、俺は急いでいる。もう1つは、お前らは弱過ぎる。だからハンデとして、俺は武器を使わないで戦ってやる。その代わり急ピッチで攻めるからな。10秒も持たないとは思うが、恨むんなら自分の弱さを恨みな」
聖騎士「何を…………がはっ!!」
弓騎士「聖騎士ッ!? グワァァ!!」
一瞬。
その瞬間、女騎士は何が起こったのか理解できなかったでしょう。ただ解ったのは、先程まで隣で武器を構えていた2人の騎士が、突然訳も分からないまま吹き飛んだことです。
女騎士「なっ!?」
気が付けば、立っているのは狩人と女騎士だけでした。他の人間は此処にはおらず、騎士団の皆は誰1人として立ち上がりません。
王国最強と呼ばれた『おとぎ騎士団』は、たった1人の男によってねじ伏せられたのです。
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