ああ、赤ずきんちゃん。
第4話「赤ずきんちゃんとは別の過去」
前回、赤ずきんら一行は、赤ずきんの家を爆破した犯人を捜すため、狼の里へやってきました。狼の里で捜査線上にあがっていたジュウガミという狼を怪しんで調査しましたが、ジュウガミは口を閉ざしてしまいます。
斯くなる上は強行手段。という訳で、赤ずきんは最終兵器ケルベロスを出動させます。
----そしてケルベロスは、あっさりと敗北するのでした。
ケルベロス「ぶ、ぶふぅぅぅ……………………」
ヘンゼル「って、弱ッ!?」
グレーテル「20秒も経たずに打ち負かされたな」
ケルベロスは、かつて殺された弟達の復讐を果たすために修得した妙技、餓狼拳法を使ってジュウガミに挑みかかりましたが、ジュウガミの強靭な肉体と瞬発力に速攻で倒されてしまいました。
あっという間にやられてしまったケルベロスを目撃し、赤ずきんはガックリとその場で膝を着きます。
赤ずきん「くっ! ……やっぱり実戦経験皆無のケルベロスには厳しかったのかしら」
ヘンゼル「そうなの!? そんな奴を、結構強いって噂の狼に初戦でぶつけるなよ!!」
赤ずきん「なんかイケそうだと思ったのよ!!」
グレーテル「何をどう思ったら、狼相手にブタが勝てると思えたんだ」
ケルベロスはぐったりしていて、ケルベロスを倒したジュウガミはどう猛な液を浮かべています。
ジュウガミ「ぎゃはははは!! 何かと思えばブタなんぞを差し向けるとはな!! さて、お次はお前達の番--
赤ずきん「スパーキングボディプレスッッ!!!!」
ジュウガミ「ブギャッハァァ!!?!」
と、ジュウガミは空高く跳び上がった赤ずきんから繰り出された落下攻撃を喰らいました。
ジュウガミは大きなダメージを受けて、赤ずきんの下から抜け出そうとします。しかし、赤ずきんはこの体格でどういう体重をしているのか、ジュウガミはあり得ない程の重さに押し潰されて、全く身動きがとれません。
ジュウガミ「お、おお重っ!?」
ヘンゼル「いいぞ赤ずきん! そのままトドメをさせ!!」
グレーテル「頭蓋だ! 頭蓋を砕いて絶命させろ!!」
オオカミ「……割と殺す気で挑んでたんだね」
ジュウガミ「チッ!! このままやられてたまるか、出て来い野郎ども!!」
その時、ジュウガミの呼び声とともに、四方から複数の狼達が出現し、赤ずきん達を取り囲みました。
ヘンゼル「げっ、仲間が隠れていたのか!?」
グレーテル「これはマズイかもしれないな。……オオカミ、お前の仲間なんだから彼らに説得とかできないのか?」
オオカミ「やってみよう」
オオカミは、子供達を守ろうとする正義感にかられ、自分達を囲むオオカミ達に説得を試み、狼の群れに近づきます。
そしてオオカミは、サッと懐を漁ります。どうやら何かを取り出そうとしているようです。
オオカミは懐から何かを取り出して、その中身をじっと見つめます。
オオカミ「………………………………ごめん。持ち物、封筒と丸まったレシートしかなかった」
ヘンゼル「ある意味この世界では珍しい物かも知れないがよぉ!?」
オオカミ「これをあげるから今日のところはひとまず引き下がってくださいギャァァッ!!」
グレーテル「ああっ!? オオカミが狼に噛み付かれたぞ! 共喰いだ共喰い!!」
オオカミの説得の甲斐もなく、狼達の敵意は治りません。それどころか狼達は、先程より余計に苛立っているようにさえ見えます。
ヘンゼルとグレーテルは、所持していた剣を抜きますが、この数を相手に子どもの2人だけでは対処できないでしょう。
ヘンゼル「もうブタを囮にするしかないんじゃないか!?」
グレーテル「やるしかないようだな。よしヘンゼル、お前はブタの後ろ脚を持て、私は前脚を持つ」
ケルベロス「ぶぶぅっ!?」
赤ずきん「待って待って! 2人とも、まだ他に方法はあるはずよ。早まらないで!!」
グレーテル「なら今すぐ具体的な方法を私達に教えてくれないか? 因みに私達は取り囲まれていて、今にも喰い殺されそうなんだが」
ヘンゼル「もう俺達が助かるにはこのブタを生贄に捧げるしかねえんだ」
そう言って双子は、弱り切ったケルベロスの脚を掴むと狼の群れまで運び込もうとします。
ケルベロス「ぶぶぅ〜!!」
赤ずきん「ああっ、お婆ちゃんの商売道具が!!」
ケルベロス「ぶぅ!?」
ヘンゼル&グレーテル『フィッシャーローングッッ!!』
ケルベロスの抵抗も虚しく、双子は特に意味もない掛け声をあげ、息を合わせてケルベロスを狼達の側に投げ込みました。
最初、突然投げられた物体に狼達は慄きますが、それがただの豚なのだと気づくと、狼達は一斉にケルベロスに襲いかかりました。狼達は何十体という数でケルベロスに群がり、双子や赤ずきんの方からではどうなっているのか確認できません。
ヘンゼル「ありゃ〜、死んだな」
グレーテル「尊い犠牲だったな。……さて、今のうちにここを逃げ出そう。赤ずきん、お前が乗っかってるその狼にトドメをさせ」
赤ずきん「貴方達……なんか、思っていたより逞しい精神してるわね」
ヘンゼル&グレーテル『動物に人権は無い』
双子は達観していました。どうやらこの森で狩りをしているうちに、彼らの倫理観というか、命に対する価値観が変わっていったのかもしれません。
殺らなければ殺られる。という自然界の原則に、双子は知らず知らずのうちに囚われてしまったようです。
赤ずきんは血の色に染まってしまった双子を哀れみます。
そして、赤ずきんがケルベロスの代わりに新しいブタをなんとか調達しなければと、頭をひねっていたところで、狼の群れの方で、変化が訪れます。
突如、ケルベロスを襲っていた集団の中央で、白銀色の光が放たれ出したのです。
グレーテル「うっ、なんだ!」
ヘンゼル「スタングレネードか!?」
赤ずきん「これは…………ッ!!」
双子2人が怪訝な声を出したその瞬間。光が発せられた周囲、ケルベロスを取り囲み襲っていた狼達は、謎の力を受けて四方八方に吹き飛ばされました。
何事かと、皆が群れのいた方を覗き込みます。狼達がいなくなった場所の真ん中。そこには、一匹のブタが居るはずでした。
……いや、一匹は確かに居ました。
しかし、それとは別に、二匹。合計三匹のブタが、その場所に二本の脚で立っていました。
赤ずきん「あ、貴方達は!!」
ヘンゼル「知ってるのか赤ずきん!?」
赤ずきん「全然知らないっ!」
ブタ達『『『知らないんかい!!』』』
と、三匹のブタが声を合わせてツッコミました。
??『ふぅ、全く最近の若者は恐ろしいですね。危うく死ぬところでしたよ』
??『あはは。でも、何とか三匹になれたね!』
??『うむ! これで、ようやく我らも本来の力を出せるな』
グレーテル「……で、お前らは一体何者なんだ?」
??『あ、自己紹介だね!」
??『ふむ、ならば兄上から最初にどうぞ』
??『了解した!』
そして三匹は、それぞれ自己紹介を始めます。
プー太郎『我はおとぎの森随一の大工職人! レンガの家担当、長男プー太郎と申す!!』
ブヒモス『ボクはおとぎの森随一の大工職人。木の家担当、次男ブヒモスだよ』
ブイヨン『そして私が、三男ブイヨン。おとぎの森随一の大工職人。ワラの家担当です』
プー太郎&ブヒモス&ブイヨン『しかし、その実態はぁぁぁぁ〜〜!!!!』
というと、三匹のブタの周囲から、今度は黒い霧のようなものが現れました。その黒い霧は、あっという間に三匹を包み込みます。
……しばらくして、黒い霧が晴れたその向こうにいたのは、驚くべき生物でした。
それは、大きさを度外視すれば灰色の犬のような姿。しかし、その犬には三本の首が付いており、体長は通常の狼の5倍近く。そしてその生き物が口を開けば、そこには狼をも噛みちぎりそうな獰猛な牙が生えていました。
この、見るからに生命の危機を感じさせる巨大な生物の登場に、赤ずきん達と狼は目を見開き後退ります。
ケルベロス『『『ハァッハハハ!! 見よっ、これぞ完全体。【地獄の番犬ケルベロス】の真の姿だッ!!』』』
犬のような怪物は高笑いをします。
ケルベロス。冥府の入り口を守護すると言われる神話上の生物の招来。
果たして、このケルベロスの正体とは? そして赤ずきん達は、無事に狼の里で生き抜くことができるのでしょうか!?
次回、第5話「赤ずきんちゃんは今それどころじゃない」。ご期待ください。
斯くなる上は強行手段。という訳で、赤ずきんは最終兵器ケルベロスを出動させます。
----そしてケルベロスは、あっさりと敗北するのでした。
ケルベロス「ぶ、ぶふぅぅぅ……………………」
ヘンゼル「って、弱ッ!?」
グレーテル「20秒も経たずに打ち負かされたな」
ケルベロスは、かつて殺された弟達の復讐を果たすために修得した妙技、餓狼拳法を使ってジュウガミに挑みかかりましたが、ジュウガミの強靭な肉体と瞬発力に速攻で倒されてしまいました。
あっという間にやられてしまったケルベロスを目撃し、赤ずきんはガックリとその場で膝を着きます。
赤ずきん「くっ! ……やっぱり実戦経験皆無のケルベロスには厳しかったのかしら」
ヘンゼル「そうなの!? そんな奴を、結構強いって噂の狼に初戦でぶつけるなよ!!」
赤ずきん「なんかイケそうだと思ったのよ!!」
グレーテル「何をどう思ったら、狼相手にブタが勝てると思えたんだ」
ケルベロスはぐったりしていて、ケルベロスを倒したジュウガミはどう猛な液を浮かべています。
ジュウガミ「ぎゃはははは!! 何かと思えばブタなんぞを差し向けるとはな!! さて、お次はお前達の番--
赤ずきん「スパーキングボディプレスッッ!!!!」
ジュウガミ「ブギャッハァァ!!?!」
と、ジュウガミは空高く跳び上がった赤ずきんから繰り出された落下攻撃を喰らいました。
ジュウガミは大きなダメージを受けて、赤ずきんの下から抜け出そうとします。しかし、赤ずきんはこの体格でどういう体重をしているのか、ジュウガミはあり得ない程の重さに押し潰されて、全く身動きがとれません。
ジュウガミ「お、おお重っ!?」
ヘンゼル「いいぞ赤ずきん! そのままトドメをさせ!!」
グレーテル「頭蓋だ! 頭蓋を砕いて絶命させろ!!」
オオカミ「……割と殺す気で挑んでたんだね」
ジュウガミ「チッ!! このままやられてたまるか、出て来い野郎ども!!」
その時、ジュウガミの呼び声とともに、四方から複数の狼達が出現し、赤ずきん達を取り囲みました。
ヘンゼル「げっ、仲間が隠れていたのか!?」
グレーテル「これはマズイかもしれないな。……オオカミ、お前の仲間なんだから彼らに説得とかできないのか?」
オオカミ「やってみよう」
オオカミは、子供達を守ろうとする正義感にかられ、自分達を囲むオオカミ達に説得を試み、狼の群れに近づきます。
そしてオオカミは、サッと懐を漁ります。どうやら何かを取り出そうとしているようです。
オオカミは懐から何かを取り出して、その中身をじっと見つめます。
オオカミ「………………………………ごめん。持ち物、封筒と丸まったレシートしかなかった」
ヘンゼル「ある意味この世界では珍しい物かも知れないがよぉ!?」
オオカミ「これをあげるから今日のところはひとまず引き下がってくださいギャァァッ!!」
グレーテル「ああっ!? オオカミが狼に噛み付かれたぞ! 共喰いだ共喰い!!」
オオカミの説得の甲斐もなく、狼達の敵意は治りません。それどころか狼達は、先程より余計に苛立っているようにさえ見えます。
ヘンゼルとグレーテルは、所持していた剣を抜きますが、この数を相手に子どもの2人だけでは対処できないでしょう。
ヘンゼル「もうブタを囮にするしかないんじゃないか!?」
グレーテル「やるしかないようだな。よしヘンゼル、お前はブタの後ろ脚を持て、私は前脚を持つ」
ケルベロス「ぶぶぅっ!?」
赤ずきん「待って待って! 2人とも、まだ他に方法はあるはずよ。早まらないで!!」
グレーテル「なら今すぐ具体的な方法を私達に教えてくれないか? 因みに私達は取り囲まれていて、今にも喰い殺されそうなんだが」
ヘンゼル「もう俺達が助かるにはこのブタを生贄に捧げるしかねえんだ」
そう言って双子は、弱り切ったケルベロスの脚を掴むと狼の群れまで運び込もうとします。
ケルベロス「ぶぶぅ〜!!」
赤ずきん「ああっ、お婆ちゃんの商売道具が!!」
ケルベロス「ぶぅ!?」
ヘンゼル&グレーテル『フィッシャーローングッッ!!』
ケルベロスの抵抗も虚しく、双子は特に意味もない掛け声をあげ、息を合わせてケルベロスを狼達の側に投げ込みました。
最初、突然投げられた物体に狼達は慄きますが、それがただの豚なのだと気づくと、狼達は一斉にケルベロスに襲いかかりました。狼達は何十体という数でケルベロスに群がり、双子や赤ずきんの方からではどうなっているのか確認できません。
ヘンゼル「ありゃ〜、死んだな」
グレーテル「尊い犠牲だったな。……さて、今のうちにここを逃げ出そう。赤ずきん、お前が乗っかってるその狼にトドメをさせ」
赤ずきん「貴方達……なんか、思っていたより逞しい精神してるわね」
ヘンゼル&グレーテル『動物に人権は無い』
双子は達観していました。どうやらこの森で狩りをしているうちに、彼らの倫理観というか、命に対する価値観が変わっていったのかもしれません。
殺らなければ殺られる。という自然界の原則に、双子は知らず知らずのうちに囚われてしまったようです。
赤ずきんは血の色に染まってしまった双子を哀れみます。
そして、赤ずきんがケルベロスの代わりに新しいブタをなんとか調達しなければと、頭をひねっていたところで、狼の群れの方で、変化が訪れます。
突如、ケルベロスを襲っていた集団の中央で、白銀色の光が放たれ出したのです。
グレーテル「うっ、なんだ!」
ヘンゼル「スタングレネードか!?」
赤ずきん「これは…………ッ!!」
双子2人が怪訝な声を出したその瞬間。光が発せられた周囲、ケルベロスを取り囲み襲っていた狼達は、謎の力を受けて四方八方に吹き飛ばされました。
何事かと、皆が群れのいた方を覗き込みます。狼達がいなくなった場所の真ん中。そこには、一匹のブタが居るはずでした。
……いや、一匹は確かに居ました。
しかし、それとは別に、二匹。合計三匹のブタが、その場所に二本の脚で立っていました。
赤ずきん「あ、貴方達は!!」
ヘンゼル「知ってるのか赤ずきん!?」
赤ずきん「全然知らないっ!」
ブタ達『『『知らないんかい!!』』』
と、三匹のブタが声を合わせてツッコミました。
??『ふぅ、全く最近の若者は恐ろしいですね。危うく死ぬところでしたよ』
??『あはは。でも、何とか三匹になれたね!』
??『うむ! これで、ようやく我らも本来の力を出せるな』
グレーテル「……で、お前らは一体何者なんだ?」
??『あ、自己紹介だね!」
??『ふむ、ならば兄上から最初にどうぞ』
??『了解した!』
そして三匹は、それぞれ自己紹介を始めます。
プー太郎『我はおとぎの森随一の大工職人! レンガの家担当、長男プー太郎と申す!!』
ブヒモス『ボクはおとぎの森随一の大工職人。木の家担当、次男ブヒモスだよ』
ブイヨン『そして私が、三男ブイヨン。おとぎの森随一の大工職人。ワラの家担当です』
プー太郎&ブヒモス&ブイヨン『しかし、その実態はぁぁぁぁ〜〜!!!!』
というと、三匹のブタの周囲から、今度は黒い霧のようなものが現れました。その黒い霧は、あっという間に三匹を包み込みます。
……しばらくして、黒い霧が晴れたその向こうにいたのは、驚くべき生物でした。
それは、大きさを度外視すれば灰色の犬のような姿。しかし、その犬には三本の首が付いており、体長は通常の狼の5倍近く。そしてその生き物が口を開けば、そこには狼をも噛みちぎりそうな獰猛な牙が生えていました。
この、見るからに生命の危機を感じさせる巨大な生物の登場に、赤ずきん達と狼は目を見開き後退ります。
ケルベロス『『『ハァッハハハ!! 見よっ、これぞ完全体。【地獄の番犬ケルベロス】の真の姿だッ!!』』』
犬のような怪物は高笑いをします。
ケルベロス。冥府の入り口を守護すると言われる神話上の生物の招来。
果たして、このケルベロスの正体とは? そして赤ずきん達は、無事に狼の里で生き抜くことができるのでしょうか!?
次回、第5話「赤ずきんちゃんは今それどころじゃない」。ご期待ください。
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