ああ、赤ずきんちゃん。
第4話「赤ずきんちゃんと魔女の試練(後編)」
遂に、最後の問題。果たして、全問正解なるのでしょうか!?
ヘンゼル「やってやる!!」
グレーテル「まっ、気楽に考えてみようか」
オオカミ「ぼくはこういうの苦手だから、力になれないかもなぁ~」
白雪姫「で、出来るだけ頑張りますっ!」
赤ずきん「魔女のおばさん、早く出してよ。最後のなぞなぞ!」
魔女「ひゃっはっはっは!! 皆んなやる気十分のようだねぇ~。それじゃあ最後の謎だ、今度はさっきとは少し毛色が違うよぉ~?」
そう言って、魔女はなぞなぞを出題します。
魔女【それは、翼を持つが鳥ではない。それは、鱗はあるが魚ではない。それは、尻尾はあるが蜥蜴ではない。それは、大きな口だが狼ではない。それは、蛙ではない。それは、君達より強く、君達がこの謎を解けば、それは現れるだろう】
……という謎でした。
ヘンゼル「……な、何だ? 何かの暗号かな……」
グレーテル「赤ずきん。貴女は何か分からないのか?」
赤ずきん「う~~んちょっと待ってね……」
白雪姫「翼を持つが鳥ではない。鱗はあるが、、、うーーん?」
魔女「ひひひ、悩んでるようだねえ」
魔女は気味悪く笑い出します。
ヘンゼル「これアレか? それぞれの言葉を"ひらがな"に直すとかそんな感じか?」
グレーテル「だからここは【おとぎの世界】何だって。"ひらがな"って概念は無いんだよ」
ヘンゼル「じゃあ……アルファベット?」
白雪姫「……出された動物達が、それぞれ脊椎動物の『5分類』なのが気になりますね」
グレーテル「ああ確かに。"鳥類"、"魚類"、"爬虫類"、"哺乳類"、"両生類"。それぞれ5分類になる」
ヘンゼル「何か意味があるのか? 並び順……いや、挙げられた動物にヒントが隠されてるとか?」
白雪姫「鳥と魚はそのまま。後から蜥蜴、狼、蛙……」
オオカミ「う~ん頭がこんがらがってくるよ。……赤ずきんちゃんは、何か閃いたのかい?」
オオカミは、自分が1番なぞなぞが苦手のようなので、1番正解率の高い赤ずきんに促してみました。
赤ずきん「私は、なぞなぞの問いをそのまま考えてみれば良いと思うの」
白雪姫「なるほど。……『翼を持つが鳥ではない』。他に翼がある生き物って何がいるのでしょう?」
ヘンゼル「うーん、虫とか?」
グレーテル「虫は翼って言うより"羽"かな」
オオカミ「天使かもしれない!」
グレーテル「……まあ、【おとぎの世界】なら天使くらい居るわな」
白雪姫「次に、『鱗はあるが魚ではない』です」
赤ずきん「蛇!」
ヘンゼル「蜥蜴! ……あ、蜥蜴ではないのか」
グレーテル「そうだな、でも爬虫類って可能性が高いと思う。魚以外に鱗がある動物と言ったら、爬虫類くらいしか思い浮かばないからな。そして『尻尾はあるが』という問いだが、尻尾がある生き物なんて幾らでも居るし。大きな口も蛙も、核心に迫る問いではないんじゃないかな?」
ヘンゼル「となると、注目すべきは最初の2つか」
オオカミ「あっ、ヒントになるか分からないんだけどさ。"大きな口"って事はたくさん食べる生き物なんだと思う。そして、たくさん食べる生き物はそれに比例して体が大きい場合が多いんだ」
白雪姫「体が大きい爬虫類。それに翼があると言ったら……」
ヘンゼル「分かったぞ、『恐竜』だ! 翼があるって事は翼竜、"プテラノドン"だな!!」
ヘンゼルが、正解間違いなし! と言いたげな顔で叫びます。
グレーテル「恐竜……は、この世界にいるのか?」
オオカミ「いない事はないんじゃないかな? でも恐竜だとすると幾つか矛盾があるような気がするんだよなぁ。そもそも恐竜なんて実際に見た事ない、遥か昔の太古の生き物なんだから」
ヘンゼル「でも、イメージは浮かぶだろう?」
グレーテル「しかし恐竜で正解なら魔女が正解って言いそうなものだがな」
魔女は何も答えません。先程と同じニタニタとした表情で皆を眺めています。
ヘンゼル「じゃあ何だよ、他に適当な生き物なんて思いつかねえぞ?」
白雪姫「そうですね、でもかなり近いところまで来てると思います」
赤ずきん「恐竜で"プテラノドン"は間違いなのよ! やっぱり恐竜と言えば"ティラノサウルス"!」
グレーテル「そういう問題じゃないだろう。大体翼が無いじゃないか」
赤ずきん「なら、翼を生やせば良いのよ」
白雪姫「鱗も果たして付いてるかどうか……」
赤ずきん「なら、鱗を付ければ良いわ」
ヘンゼル「強引だな!!」
赤ずきん「良いのよそれで! ほら、皆んなも思い浮かべて? 翼を生やして、鱗を纏ったティラノサウルスの姿を……」
赤ずきんに言われ、他の4人もその姿を思い浮かべます。
その生き物は翼を広げ、全身にはびっしりと纏った鱗がいっぱい。そして尻尾が生えて口は巨大。大きな口を持っているから体は大きく、食べ物をたくさん食べるティラノサウルスのような姿で----。
オオカミ「…………あれ、これ『ドラゴン』じゃない?」
オオカミが言い出しました。他の皆もうんうんと頷いています。
ヘンゼル「うん。俺もそう思った」
グレーテル「ドラゴンっぽいな。確かに、問いの内容には当てはまる」
白雪姫「ドラゴンなら世界観の矛盾もありませんしね」
赤ずきん「ドラゴンだよ。間違いない!」
皆は「ドラゴン、ドラゴンだ!」と口々に言います。
その様子を見た魔女は、突然ケラケラと笑い出しました。
魔女「ひゃっはっはっは!! ではそろそろ正解を出そうか! さあこれが答えさ、出でよぉドラゴンッ!!」
そして魔女は、呪文を唱えます。
……すると、魔女の足元が強く光り輝き出しました。何事かと5人が驚いていると、その輝きは円の形に紋様が施されたまさに『魔法陣』のようなものである事に気がつきます。
その魔法陣は、魔女が呪文を唱えるごとにどんどん強く光り輝き、その後しばらくして、何か巨大な物体が出現しました。
--それは5人が先程思い浮かべていたなぞなぞの答えである生き物でした。
【ドラゴン】
体長10メートルを超えるであろう生き物。翼を広げて鱗を纏った、強くて巨大なドラゴンと呼ばれる存在でした。
魔女は高らかに謳います。
魔女「さあ、遂に最後の難関だ! 子供達よ。君らが英雄たり得るのであれば、見事ドラゴンを打ち倒し、その維新を示してみるが良い!!」
ドラゴン「ギャオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドラゴンの咆哮が唸ります。その暴風を受けた5人はその場に吹き飛ばされないよう必死に耐えています。
目の前のドラゴン。そして威嚇。
これらの情報を得て、赤ずきんを除く4人は声を揃えて言いました。
オオカミ&白雪姫&ヘンゼル&グレーテル『やっぱり悪者だったよこの魔女さん!!』
赤ずきん「あれ~~??」
赤ずきんは、首を傾げて疑問そうに呟きました。
その間も他の仲間達は叫びます。
ヘンゼル「ほら見ろ俺らの言った通りだあの魔女は最初から俺達を嵌めるためにこんな回りくどいことしたんだサッサと逃げるぞあんなデカい怪物敵うわけねえすぐ逃げるぞ早く脚を動かせ!!」
赤ずきん「やっ!」
ヘンゼル「ブフォッハァッ!?」
ヘンゼルが赤ずきんの手を引っ張ろうとした瞬間、赤ずきんはそれに抗うようにヘンゼルの手を逆に引き返しました。
結果、ヘンゼルは自分の腕を強く引き寄せられ、彼の腕が痙攣しました。
ヘンゼル「ちょ、何て馬鹿力なんだよ……!」
赤ずきん「魔女のおばさんが悪者のはずがない! 皆んな誤解してるだけなんだよ!!」
ヘンゼル「まだそんな事言ってるのか!? あれ見ろドラゴン! あんなの呼び寄せて俺達と戦わせようとしてるんだぜ!?」
赤ずきん「だから倒せば良いじゃない」
ヘンゼル「普通に死ぬわ!! 大体あんなの倒せる奴がいるわけ--」
ヘンゼルが赤ずきんを窘めようとした……その、直後でした。
突然、咆哮を上げていたドラゴンが頭から尻尾まで真っ直ぐに斬り裂かれました。
ヘンゼル「……はい?」
誰もが驚きに伏しているそんな中、斬られたドラゴンは霧払いのようにスゥゥッと消えていきました。
その時、どこからか声が聞こえてきます。
??「はっ、大したことないなこの大トカゲ」
白雪姫「……あ! 皆さん、屋根の上に誰かいますよ!」
その声の主は、右手に剣が握られていました。声の主は、その剣を使ってドラゴンを斬り裂いたのです。
そして、その人物は赤ずきんに見覚えがある人でした。
赤ずきん「あ、お前はっ!!」
ヘンゼル「師匠!」
グレーテル「先生? どうしてここに……」
と、赤ずきんが続きを言う前に双子の兄妹がその人物を見るなり声を上げました。
白雪姫は目を丸くします。
白雪姫「え……あの、師匠。先生って……」
赤ずきん「ああ、そうなのよ。ヘンゼルとグレーテルは、あの人の教え子なのよね」
白雪姫「えぇっ!? で、でも、あの人って確か……」
白雪姫と赤ずきんが見つめる方向、お菓子の家の屋根に立ち尽くすその人は、おもむろに瓦を拾い上げ、それをボリボリとかじり出しました。
??「うん。なかなかイケるな」
魔女「……私のドラゴンを斬っただけでなくお菓子の家にまで手を出すなんて、よっぽど私に恨みがあるようだねぇ」
??「あ? お前なんか興味ねえよ、幼女になってから出直せ婆さん。……ま、俺が恋い焦がれて人は、現在もってたった1人だがな」
そう言ってその人物は、剣を掲げます。
狩人「さあ、今宵も見つけたぞ赤ずきんちゃん!! 今日こそ君を俺の物にしてやるぜ!!」
そう、ドラゴンを倒した人物は狩人でした。
王国最強の騎士団の元メンバーで、今ではただの狩人であるその男は、赤ずきんただ1人を直視してそう絶叫します。
突如現れたドラゴンと、それを一撃で倒した狩人。その男は、ヘンゼルとグレーテルの師匠であるという、まさかの事実を隠していました。
果たして、物語の行く末は? そして赤ずきん達は、無事に家へと戻り、皆で料理をすることが出来るのでしょうか!?
次回、第4話「赤ずきんちゃんと信頼」。ご期待ください。
ヘンゼル「やってやる!!」
グレーテル「まっ、気楽に考えてみようか」
オオカミ「ぼくはこういうの苦手だから、力になれないかもなぁ~」
白雪姫「で、出来るだけ頑張りますっ!」
赤ずきん「魔女のおばさん、早く出してよ。最後のなぞなぞ!」
魔女「ひゃっはっはっは!! 皆んなやる気十分のようだねぇ~。それじゃあ最後の謎だ、今度はさっきとは少し毛色が違うよぉ~?」
そう言って、魔女はなぞなぞを出題します。
魔女【それは、翼を持つが鳥ではない。それは、鱗はあるが魚ではない。それは、尻尾はあるが蜥蜴ではない。それは、大きな口だが狼ではない。それは、蛙ではない。それは、君達より強く、君達がこの謎を解けば、それは現れるだろう】
……という謎でした。
ヘンゼル「……な、何だ? 何かの暗号かな……」
グレーテル「赤ずきん。貴女は何か分からないのか?」
赤ずきん「う~~んちょっと待ってね……」
白雪姫「翼を持つが鳥ではない。鱗はあるが、、、うーーん?」
魔女「ひひひ、悩んでるようだねえ」
魔女は気味悪く笑い出します。
ヘンゼル「これアレか? それぞれの言葉を"ひらがな"に直すとかそんな感じか?」
グレーテル「だからここは【おとぎの世界】何だって。"ひらがな"って概念は無いんだよ」
ヘンゼル「じゃあ……アルファベット?」
白雪姫「……出された動物達が、それぞれ脊椎動物の『5分類』なのが気になりますね」
グレーテル「ああ確かに。"鳥類"、"魚類"、"爬虫類"、"哺乳類"、"両生類"。それぞれ5分類になる」
ヘンゼル「何か意味があるのか? 並び順……いや、挙げられた動物にヒントが隠されてるとか?」
白雪姫「鳥と魚はそのまま。後から蜥蜴、狼、蛙……」
オオカミ「う~ん頭がこんがらがってくるよ。……赤ずきんちゃんは、何か閃いたのかい?」
オオカミは、自分が1番なぞなぞが苦手のようなので、1番正解率の高い赤ずきんに促してみました。
赤ずきん「私は、なぞなぞの問いをそのまま考えてみれば良いと思うの」
白雪姫「なるほど。……『翼を持つが鳥ではない』。他に翼がある生き物って何がいるのでしょう?」
ヘンゼル「うーん、虫とか?」
グレーテル「虫は翼って言うより"羽"かな」
オオカミ「天使かもしれない!」
グレーテル「……まあ、【おとぎの世界】なら天使くらい居るわな」
白雪姫「次に、『鱗はあるが魚ではない』です」
赤ずきん「蛇!」
ヘンゼル「蜥蜴! ……あ、蜥蜴ではないのか」
グレーテル「そうだな、でも爬虫類って可能性が高いと思う。魚以外に鱗がある動物と言ったら、爬虫類くらいしか思い浮かばないからな。そして『尻尾はあるが』という問いだが、尻尾がある生き物なんて幾らでも居るし。大きな口も蛙も、核心に迫る問いではないんじゃないかな?」
ヘンゼル「となると、注目すべきは最初の2つか」
オオカミ「あっ、ヒントになるか分からないんだけどさ。"大きな口"って事はたくさん食べる生き物なんだと思う。そして、たくさん食べる生き物はそれに比例して体が大きい場合が多いんだ」
白雪姫「体が大きい爬虫類。それに翼があると言ったら……」
ヘンゼル「分かったぞ、『恐竜』だ! 翼があるって事は翼竜、"プテラノドン"だな!!」
ヘンゼルが、正解間違いなし! と言いたげな顔で叫びます。
グレーテル「恐竜……は、この世界にいるのか?」
オオカミ「いない事はないんじゃないかな? でも恐竜だとすると幾つか矛盾があるような気がするんだよなぁ。そもそも恐竜なんて実際に見た事ない、遥か昔の太古の生き物なんだから」
ヘンゼル「でも、イメージは浮かぶだろう?」
グレーテル「しかし恐竜で正解なら魔女が正解って言いそうなものだがな」
魔女は何も答えません。先程と同じニタニタとした表情で皆を眺めています。
ヘンゼル「じゃあ何だよ、他に適当な生き物なんて思いつかねえぞ?」
白雪姫「そうですね、でもかなり近いところまで来てると思います」
赤ずきん「恐竜で"プテラノドン"は間違いなのよ! やっぱり恐竜と言えば"ティラノサウルス"!」
グレーテル「そういう問題じゃないだろう。大体翼が無いじゃないか」
赤ずきん「なら、翼を生やせば良いのよ」
白雪姫「鱗も果たして付いてるかどうか……」
赤ずきん「なら、鱗を付ければ良いわ」
ヘンゼル「強引だな!!」
赤ずきん「良いのよそれで! ほら、皆んなも思い浮かべて? 翼を生やして、鱗を纏ったティラノサウルスの姿を……」
赤ずきんに言われ、他の4人もその姿を思い浮かべます。
その生き物は翼を広げ、全身にはびっしりと纏った鱗がいっぱい。そして尻尾が生えて口は巨大。大きな口を持っているから体は大きく、食べ物をたくさん食べるティラノサウルスのような姿で----。
オオカミ「…………あれ、これ『ドラゴン』じゃない?」
オオカミが言い出しました。他の皆もうんうんと頷いています。
ヘンゼル「うん。俺もそう思った」
グレーテル「ドラゴンっぽいな。確かに、問いの内容には当てはまる」
白雪姫「ドラゴンなら世界観の矛盾もありませんしね」
赤ずきん「ドラゴンだよ。間違いない!」
皆は「ドラゴン、ドラゴンだ!」と口々に言います。
その様子を見た魔女は、突然ケラケラと笑い出しました。
魔女「ひゃっはっはっは!! ではそろそろ正解を出そうか! さあこれが答えさ、出でよぉドラゴンッ!!」
そして魔女は、呪文を唱えます。
……すると、魔女の足元が強く光り輝き出しました。何事かと5人が驚いていると、その輝きは円の形に紋様が施されたまさに『魔法陣』のようなものである事に気がつきます。
その魔法陣は、魔女が呪文を唱えるごとにどんどん強く光り輝き、その後しばらくして、何か巨大な物体が出現しました。
--それは5人が先程思い浮かべていたなぞなぞの答えである生き物でした。
【ドラゴン】
体長10メートルを超えるであろう生き物。翼を広げて鱗を纏った、強くて巨大なドラゴンと呼ばれる存在でした。
魔女は高らかに謳います。
魔女「さあ、遂に最後の難関だ! 子供達よ。君らが英雄たり得るのであれば、見事ドラゴンを打ち倒し、その維新を示してみるが良い!!」
ドラゴン「ギャオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ドラゴンの咆哮が唸ります。その暴風を受けた5人はその場に吹き飛ばされないよう必死に耐えています。
目の前のドラゴン。そして威嚇。
これらの情報を得て、赤ずきんを除く4人は声を揃えて言いました。
オオカミ&白雪姫&ヘンゼル&グレーテル『やっぱり悪者だったよこの魔女さん!!』
赤ずきん「あれ~~??」
赤ずきんは、首を傾げて疑問そうに呟きました。
その間も他の仲間達は叫びます。
ヘンゼル「ほら見ろ俺らの言った通りだあの魔女は最初から俺達を嵌めるためにこんな回りくどいことしたんだサッサと逃げるぞあんなデカい怪物敵うわけねえすぐ逃げるぞ早く脚を動かせ!!」
赤ずきん「やっ!」
ヘンゼル「ブフォッハァッ!?」
ヘンゼルが赤ずきんの手を引っ張ろうとした瞬間、赤ずきんはそれに抗うようにヘンゼルの手を逆に引き返しました。
結果、ヘンゼルは自分の腕を強く引き寄せられ、彼の腕が痙攣しました。
ヘンゼル「ちょ、何て馬鹿力なんだよ……!」
赤ずきん「魔女のおばさんが悪者のはずがない! 皆んな誤解してるだけなんだよ!!」
ヘンゼル「まだそんな事言ってるのか!? あれ見ろドラゴン! あんなの呼び寄せて俺達と戦わせようとしてるんだぜ!?」
赤ずきん「だから倒せば良いじゃない」
ヘンゼル「普通に死ぬわ!! 大体あんなの倒せる奴がいるわけ--」
ヘンゼルが赤ずきんを窘めようとした……その、直後でした。
突然、咆哮を上げていたドラゴンが頭から尻尾まで真っ直ぐに斬り裂かれました。
ヘンゼル「……はい?」
誰もが驚きに伏しているそんな中、斬られたドラゴンは霧払いのようにスゥゥッと消えていきました。
その時、どこからか声が聞こえてきます。
??「はっ、大したことないなこの大トカゲ」
白雪姫「……あ! 皆さん、屋根の上に誰かいますよ!」
その声の主は、右手に剣が握られていました。声の主は、その剣を使ってドラゴンを斬り裂いたのです。
そして、その人物は赤ずきんに見覚えがある人でした。
赤ずきん「あ、お前はっ!!」
ヘンゼル「師匠!」
グレーテル「先生? どうしてここに……」
と、赤ずきんが続きを言う前に双子の兄妹がその人物を見るなり声を上げました。
白雪姫は目を丸くします。
白雪姫「え……あの、師匠。先生って……」
赤ずきん「ああ、そうなのよ。ヘンゼルとグレーテルは、あの人の教え子なのよね」
白雪姫「えぇっ!? で、でも、あの人って確か……」
白雪姫と赤ずきんが見つめる方向、お菓子の家の屋根に立ち尽くすその人は、おもむろに瓦を拾い上げ、それをボリボリとかじり出しました。
??「うん。なかなかイケるな」
魔女「……私のドラゴンを斬っただけでなくお菓子の家にまで手を出すなんて、よっぽど私に恨みがあるようだねぇ」
??「あ? お前なんか興味ねえよ、幼女になってから出直せ婆さん。……ま、俺が恋い焦がれて人は、現在もってたった1人だがな」
そう言ってその人物は、剣を掲げます。
狩人「さあ、今宵も見つけたぞ赤ずきんちゃん!! 今日こそ君を俺の物にしてやるぜ!!」
そう、ドラゴンを倒した人物は狩人でした。
王国最強の騎士団の元メンバーで、今ではただの狩人であるその男は、赤ずきんただ1人を直視してそう絶叫します。
突如現れたドラゴンと、それを一撃で倒した狩人。その男は、ヘンゼルとグレーテルの師匠であるという、まさかの事実を隠していました。
果たして、物語の行く末は? そして赤ずきん達は、無事に家へと戻り、皆で料理をすることが出来るのでしょうか!?
次回、第4話「赤ずきんちゃんと信頼」。ご期待ください。
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