公爵令嬢は結婚したくない!
お家騒動(19)
彼の手が――、私の頭を撫でてくる。
「――んっ……」
思わず体がビクッと震える。
嫌だからという訳ではなく、好きな殿方に触れられたから。
「ティア」
「スペンサー」
名前を呼ばれたこと――、そして、その言葉に答えを返したのだけれど……。
思わず、熱い吐息と共に彼の名前が唇から出た。
「あっ……」
思わず漏れ出た自分の声に私は唇に指をもって行きながら、スペンサーを見ていた眼差しを逸らす。
まるで、私が欲情しているようで恥ずかしかったから。
こんな表情を殿方に――、異性に見せるのは恥ずかしかったから……。
「ティア……」
「やっ! ――んっ……」
彼が私の両腕を掴むと、ベッドの上に私を押し倒してきた。
そして、私の両足の間に体を入れると、口づけをしてくる。
数度、唇が触れるくらいのフレンチキスのあと、口づけをしてくると唇と唇の隙間から下を入れてきて、私の咥内を蹂躙していく。
しばらく、彼に好きなようにされたあと――、私は体中から力が抜けてしまいボーッと天井を見ているだけになってしまう。
「そろそろいいか?」
「今日は、やめて……。まだ……」
私は、彼に懇願する。
「そうか……、まだ痛いのか?」
彼の言葉に私はコクンと小さく頷いた。
――翌朝になり、目を覚ますとスペンサーの姿は、どこにもなかった。
ただ、彼は私の隣で寝ていたので、彼が寝ていた場所を触ると、まだ温もりが感じられたので、仕事に向かったのかも知れない。
――コンコン
「ユウティーシア様、おはようございます」
「――ええ、おはよう」
ノックのあと、部屋に入ってきたエリンさんが意味ありげな表情をしていた。
理由は分からないけど……。
「ユウティーシア様。スペンサー様から、貴族たち会合があるという事です」
「そうなの? 何時に戻るとかは言っていたの?」
「時間についてはお昼頃を目安にお戻りになられるそうです」
「そうなのね……」
「それでは、湯あみに致しましょう」
彼女の言葉に私は同意しつつ頷く。
体を洗ったあとは、用意されたドレスではない用意された普通の服を身にまとう。
「貴族の御屋敷なのに――、こういう服もあるのね」
白のブラウスに白のスカート。
スカートは、膝丈10センチほど。
この世界で初めてみる服装。
「はい。ユウティーシア様が着ているドレスですと公都ルクセンブルグでは目立ちますので……」
「ドレスだと目立つ?」
私は、一人呟きながら首を傾げる。
何も彼から聞かされていないから……。
「スペンサー様が、今日はユウティーシア様を連れて公都ルクセンブルグを案内されると意気込んでおりました」
「――そ そうなの?」
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