公爵令嬢は結婚したくない!
娘を思う母エレンシアの心境
私の名前はエレンシア・フォン・シュトロハイム。
夫の名前はバルザック・フォン・シュトロハイム。
私達が出会ったのは貴族学院でした。
その頃の私の実家は、とても貧しく商家より借入をして貴族としての体裁を保つのが精一杯でした。
最初は、打算でバルザックに近づき、そして時が経つに連れ少しずつ彼に惹かれていった。
実家は男爵家でした。
お父様は、私が公爵家の正妻になれると知り大変喜んでいた。
シュトロハイム家。
リースノット王国において、もっとも古い家系と言われていて王家よりも古いのでは? とも噂されていました。
そんな名家に、嫁ぐ事が出来たのは奇跡としか言いようがなかったかも知れません。
シュトロハイム公爵家のバルザック様のお父様とお母様はとても温厚な方で私を実の娘のように可愛がってくれました。
そして結婚式も、盛大に行われました。
私の実家の男爵家の財政は火の車でした。
ですが、夫と結婚した時に、火の車だった財政を乗り切るだけのお金を公爵家から頂くことになり実家を再建できました。
私は、とても幸福でした。
ですが、そんな日も長くは続きませんでした。
私とバルザックは、子宝に恵まれなかったのです。
ある日の、夢の中で一人の少女が私に話しかけてきました。
彼女は自分の名前をアウラストウルスと名乗ってきました。
彼女は私に言いました。
子供が欲しいなら契約をしないかと……。
公爵家の跡取りを生むという重責を感じていた私は、夢の中だからという理由だけで契約をしました。
それから一カ月後、懐妊しているという事を主治医に教えて頂きました。
そして生まれて来た子供は、夫バルザックに似た黒い髪に黒い瞳をした女の子。
王家の血筋では、100年ぶりの女児誕生ということもありグルガード王だけではなくハデス公爵家、ウラヌス公爵家からもお祝いを頂きました。
娘の名前はユウティーシアと名づけられました。
小さい頃から、体が弱く目が離せない赤ん坊。
大切な私の子供。
将来は、過酷な王妃という宿命を背負わされた私の大事な赤ちゃん。
他の貴族の家では、子供のために人を雇って育成を任せる事が多いのですけど、私の我が侭で娘を自分の手で育てる事にしました。
小さな手、小さな足。
私からミルクを飲む時に必至に口とほっぺを動かす姿はとても愛くるしい。
でもすぐ疲れてしまうのかミルクを飲んだらすぐに寝てしまう。
私は娘が寝ている間は、抱きしめながら子守唄を歌うのが日課になっていました。
この子はある程度、大きくなったら王妃としての教育をしないといけない。
そしたら、親からすぐに巣立てるように突き放すようにしないといけない。
そうしないと、王妃として平等に人を見る事が出来なくなってしまうから。
でも、今だけはたくさんの愛情を注いであげたい。
生まれてきてくれてありがとうと心から思から言ってあげたい。
心からユウティーシアを愛している。
だからこそ、この子が王妃なんて過酷な役割を与えられるなんて、私には我慢できまい。
本当は、普通に愛して抱きしめて育てていきたい。
でもそれが……許されないのはバルザックも私も貴族だから理解している。
私達は貴族なのだから、王族が民を平等に見られるように家族の情を廃した育て方をしているのを知っている。
娘が2歳になった時、娘は高熱を出して寝込んでしまった。
私は王城から手配された主治医と話をしていたけど、どうにもできないと言われ、胸が張り裂けるほどの痛みを味わってしまった。
娘の苦しみの1割でもいいから……肩代わりをしてあげたい。
どうして神様は、娘に……これから娘は王族として過酷な運命が待っているというのにこんな試練を与えられるのか……。
神を恨まずにはいられなかった。
絶望の縁に立たされていた私と主治医が話していると、夫のバルザックが帰ってきてくれた。
その表情は、いままで見た事が無いほど焦燥感に駆られているように見える。
そして、夫は娘の容体を見ると不眠不休で娘の看病を始めた。
王城にいるグルガード国王陛下から、娘のユウティーシアが完治するまでは外交筋の仕事は何とかすると手紙が届いていていた。
私が出来るのは夫のために、シュトロハイム家を維持することだけ。
夫のお父様とお母様に娘のユウティーシアが、原因不明の病に掛かっていると伝えたところ、多くの魔道具が届けられた。
夫の多重魔法発動を見たときは、止めようと思い近づいたけど……。
娘の命を必死に繋ぎとめようとしていたバルザックの様子を見て私は止めることをやめた。
そして、毎日送られてくる魔力石の魔力を私経由で夫に魔力として供給することにした。
夫も私も皆が必死に娘を助けるために死力を尽くした。
そこには、未来の王妃を救うためではなく一人の愛する子供を助ける事。
それだけがあった。
そして、王家とハデス公爵家とウラヌス公爵家のバックアップと夫の頑張りもあって娘の容体は安定した。
目を覚ました娘を見て私は心が張り裂けそうになった
いつも眠たげにしていた娘の目には理知的な光が見えていたから。
もう娘には、唄を歌って上げられない。
でも最後だけは強く抱きしめてあげたい。
私は、娘を抱き上げると精一杯愛情を……注げるだけ注いだ。
バルザックにも言わないと……。
あの人は、ユウティーシアを溺愛してるから……きっと私以上に、ちぐはぐな行動を取ってしまうのでしょうね。
夫の名前はバルザック・フォン・シュトロハイム。
私達が出会ったのは貴族学院でした。
その頃の私の実家は、とても貧しく商家より借入をして貴族としての体裁を保つのが精一杯でした。
最初は、打算でバルザックに近づき、そして時が経つに連れ少しずつ彼に惹かれていった。
実家は男爵家でした。
お父様は、私が公爵家の正妻になれると知り大変喜んでいた。
シュトロハイム家。
リースノット王国において、もっとも古い家系と言われていて王家よりも古いのでは? とも噂されていました。
そんな名家に、嫁ぐ事が出来たのは奇跡としか言いようがなかったかも知れません。
シュトロハイム公爵家のバルザック様のお父様とお母様はとても温厚な方で私を実の娘のように可愛がってくれました。
そして結婚式も、盛大に行われました。
私の実家の男爵家の財政は火の車でした。
ですが、夫と結婚した時に、火の車だった財政を乗り切るだけのお金を公爵家から頂くことになり実家を再建できました。
私は、とても幸福でした。
ですが、そんな日も長くは続きませんでした。
私とバルザックは、子宝に恵まれなかったのです。
ある日の、夢の中で一人の少女が私に話しかけてきました。
彼女は自分の名前をアウラストウルスと名乗ってきました。
彼女は私に言いました。
子供が欲しいなら契約をしないかと……。
公爵家の跡取りを生むという重責を感じていた私は、夢の中だからという理由だけで契約をしました。
それから一カ月後、懐妊しているという事を主治医に教えて頂きました。
そして生まれて来た子供は、夫バルザックに似た黒い髪に黒い瞳をした女の子。
王家の血筋では、100年ぶりの女児誕生ということもありグルガード王だけではなくハデス公爵家、ウラヌス公爵家からもお祝いを頂きました。
娘の名前はユウティーシアと名づけられました。
小さい頃から、体が弱く目が離せない赤ん坊。
大切な私の子供。
将来は、過酷な王妃という宿命を背負わされた私の大事な赤ちゃん。
他の貴族の家では、子供のために人を雇って育成を任せる事が多いのですけど、私の我が侭で娘を自分の手で育てる事にしました。
小さな手、小さな足。
私からミルクを飲む時に必至に口とほっぺを動かす姿はとても愛くるしい。
でもすぐ疲れてしまうのかミルクを飲んだらすぐに寝てしまう。
私は娘が寝ている間は、抱きしめながら子守唄を歌うのが日課になっていました。
この子はある程度、大きくなったら王妃としての教育をしないといけない。
そしたら、親からすぐに巣立てるように突き放すようにしないといけない。
そうしないと、王妃として平等に人を見る事が出来なくなってしまうから。
でも、今だけはたくさんの愛情を注いであげたい。
生まれてきてくれてありがとうと心から思から言ってあげたい。
心からユウティーシアを愛している。
だからこそ、この子が王妃なんて過酷な役割を与えられるなんて、私には我慢できまい。
本当は、普通に愛して抱きしめて育てていきたい。
でもそれが……許されないのはバルザックも私も貴族だから理解している。
私達は貴族なのだから、王族が民を平等に見られるように家族の情を廃した育て方をしているのを知っている。
娘が2歳になった時、娘は高熱を出して寝込んでしまった。
私は王城から手配された主治医と話をしていたけど、どうにもできないと言われ、胸が張り裂けるほどの痛みを味わってしまった。
娘の苦しみの1割でもいいから……肩代わりをしてあげたい。
どうして神様は、娘に……これから娘は王族として過酷な運命が待っているというのにこんな試練を与えられるのか……。
神を恨まずにはいられなかった。
絶望の縁に立たされていた私と主治医が話していると、夫のバルザックが帰ってきてくれた。
その表情は、いままで見た事が無いほど焦燥感に駆られているように見える。
そして、夫は娘の容体を見ると不眠不休で娘の看病を始めた。
王城にいるグルガード国王陛下から、娘のユウティーシアが完治するまでは外交筋の仕事は何とかすると手紙が届いていていた。
私が出来るのは夫のために、シュトロハイム家を維持することだけ。
夫のお父様とお母様に娘のユウティーシアが、原因不明の病に掛かっていると伝えたところ、多くの魔道具が届けられた。
夫の多重魔法発動を見たときは、止めようと思い近づいたけど……。
娘の命を必死に繋ぎとめようとしていたバルザックの様子を見て私は止めることをやめた。
そして、毎日送られてくる魔力石の魔力を私経由で夫に魔力として供給することにした。
夫も私も皆が必死に娘を助けるために死力を尽くした。
そこには、未来の王妃を救うためではなく一人の愛する子供を助ける事。
それだけがあった。
そして、王家とハデス公爵家とウラヌス公爵家のバックアップと夫の頑張りもあって娘の容体は安定した。
目を覚ました娘を見て私は心が張り裂けそうになった
いつも眠たげにしていた娘の目には理知的な光が見えていたから。
もう娘には、唄を歌って上げられない。
でも最後だけは強く抱きしめてあげたい。
私は、娘を抱き上げると精一杯愛情を……注げるだけ注いだ。
バルザックにも言わないと……。
あの人は、ユウティーシアを溺愛してるから……きっと私以上に、ちぐはぐな行動を取ってしまうのでしょうね。
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