努力という名の才能を手に異世界を生き抜く〜異世界チート?そんなのは必要ない!〜

かひろ先生(ケダモノ)

再戦

ダークエルフのテストロと名乗った男は頭部の原型をとどめていないテストロの遺体の元へ歩いていく。

「あーあー。こんなぐちゃぐちゃにしちゃって探すのめんどくさいじゃないか。えーと…あ、あったあった」

テストロは遺体のテストロの頭部から一本の金色の針を取り出す。
するとそれを自分の右目へと差し込んだ。

「う…ああ〜こんな激痛も能力が手に入るとわかると快感に変わるよ。まだ洗脳眼は体に馴染んでないから使えないけどね。あ、服も剥いどこ。うわサイズ合わな」

テストロは元の自分の服を脱がして自分のサイズに合うように破いていく。

「お、おい…テストロなのか?」

カシムスは気味悪がっているのか声が震えている。

「なんだいカシムス君、気になるの?そうだよ。ぼくの力で蘇ったんだ…いや正確には生まれ変わったかな?」

「どういうことだ?力は1人1つのはずだ。ラトミーは元の能力で増やしていったのはわかるがお前は違うだろう?」

「ああエギル君の言う通りさ。でもぼくは2つの力を持っている。1つはこの洗脳眼、これはぼくが魔族に生まれた時、魔王様からぼくの能力と相性ぴったりだと授けてくれたのさ。さっき針を埋め込んだだろ?あれがその能力の元」

テストロは歩き出し美流院の遺体のそばまで来ると止まる。

「そして2つ目…ぼくが神からもらった能力 色欲。これはぼくの精子を苗床に入れることによって苗床にぼくの命のストックを増やす能力。それにこれには面白いと副産物があってね…その苗床になった種族の個体の力を受け継ぐことができるんだ。ぼくは元々魔族だったそれを魔王様に言われてわざわざ能力の低い人族の血を取り込んで潜入したんだけどなんの意味があったんだろうね?まあわかんなくていいけど」

テストロは自分で自分の体を抱きしめ上を向く。

「ああ!ぼくの能力は最高さ!ぼくはこの能力で世界のありとあらゆる種族の血を取り込み最強のキメラとなるのさ!そのために珍しいダークエルフ!並外れた身体能力に美しい美貌を併せ持つそこの人獣ミアの血を取り込みさえすればもっと美しく最強に近づけたのに…まあダークエルフを取り込めただけまだいいさ。あ、この苗床はもう使えないから返すよ」

美流院の死体を蹴り飛ばす。
すると鬼道はブチブチと音が聞こえるのではないかというほど青筋を浮かべテストロへ棍棒を振りかざし近づいていく。

「前田テメェー!!!」

「鬼道君、今のぼくはテストロだよ。…風よ 吹き荒
れろ ウィンドストーム」

「な!?ちくしょー!ぐあ!」

テストロの詠唱によって発生した竜巻を鬼道は棍棒を地面に突き刺し耐えようとするが吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。

「ふぅーん。ここじゃあ狭いね外に出ようか。風よ 全てを突き破れ ウィンドアロー」

天井向けてテストロは風の矢を放つ。
矢は天井を突き抜け空へと飛び散っていく。

「じゃあ先に出てるよ。追って来るか追ってこないかはあなた次第…ってね。風よ 我が翼に ウィンドウイング」

テストロの背中に半透明な翼が出来上がり空へと飛び去っていく。

「くそやろう!亮平大人!いくぞ!」

「お、おう!」

「待ってよ秋牙!」

鬼道はテストロを追うように部屋から飛び出し熊谷と工口が鬼道を追って部屋を出ていく。

「エギル!ミア!僕たちもいくぞ!」

「俺はミアもレイナも無事だから別に行かなくてもいいんだが」

「エギル!クラスメイトが1人目の前で死んだんだぞ!僕はまた何もできなかった…だからせめて仇だけでも!」

「その殺した奴もクラスメイトだが?」

「ぐ…そ、それでも!」

俺がカシムスをもう少しで論破できると言うところで俺の隣にいたミアが

「テストロを追いに行こうよエギル」

「ミアまで…俺はあまり乗り気じゃないんだが」

「何よ。告った相手のお願いも聞いてくれないの?」

「う…はぁ、しょうがないなわかったよ」

「ありがとう!エギル大好き!」

「おま!ひっつくな!」

「えへへ」

「お前なんか大胆になってないか!?」

「な、なあそろそろ行かないか?」

カシムスを見るとすごく申し訳なさそうにこちらをチラチラと見ている。

「カシムス悪いな…行こうか」

「なあ!今の悪いって何に対しての悪いなんだ!?なあ!別に僕はエギルたちを羨ましがってたわけじゃないぞ!?」

俺とミアはなんか言ってるカシムスを置いて部屋を出ていく。

「確か方角的にあっちに行ったよな?」

「うん。確かあの方角って」

「俺たちがこの街に来るときに通った道だな。だったらすぐに着くか?」

「そうだね」

「おい!僕を置いていくとはどう言うことだ!」

俺とミアは足に闘気を込め新幹線も顔負けのスピードで街を走り抜け塀を飛び越え外へ抜けていく。

「な!また僕を置いていくのか!けが人を少しは労われ!」

「すみませんがただいま夜ですので外出は禁止されております」

「え?も、門番さんそこをなんとか…緊急事態なんです」

「ですが規則ですので」

「どうかそこをなんとか…」

「これ以上素通りさせたら私クビになるでしょう!前に一度あなたくらいの歳の貴族を素通りさせて大変な目にあったんですからね!」

「す、すいません!…え?じゃあ何か?僕はあんなセリフ吐いたくせに置き去り?…」



……



「ミア、カシムスはどうした?」

「さあ?後で来るんじゃない?」

俺たちは大地を駆けていく。
ミアにやられた傷が少々痛いがそんなことを言って入らないな。
走っていると鬼道たちの姿が見えてきた。
テストロともう交戦しているようだ。
しかし熊谷と工口はすでにボロボロで倒れており鬼道もボロボロで満身創痍だ。

「鬼道大丈夫か?」

「はぁはぁ…なんだ神無か。へっ…あんなくそ野郎にこんなぼかすかやられちまったよ。情け…ねえな…」

鬼道は前向きに地面へと倒れる。
俺は鬼道を担ぎあげる。

「遅れて悪かったな。…正直来たくはなかったが、ミアの頼みだからな。後は任せとけ」

「ああ…なんかムカつくけどよ。頼むぜ香恋の仇を…」

俺は気絶した鬼道と熊谷、工口を同じ場所に寝かせテストロの前に立つ。
テストロは余裕そうに地面で寝ている。
俺がいることに気がつきあくびをしながら起き上がる。

「ふあ〜…やあ来たね。鬼道君たちが弱すぎてつまんなかったんだよ。エギル君たちは僕を楽しませてくれるのかな?」

「いや、楽しむのは俺たちだぜ」

「そうかい。じゃあ始めようか」

「ああ、ウォルフ・ガブトレット装着!」

俺の掛け声とともに俺は漆黒のコートに身を包む。
俺は漆黒の手甲のついた右手をテストロへ向ける。

「さあ再戦だ」

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