迷探偵シャーロットの難事件
CASE1-5 思考と暴力
レールフェンス暗号。
転置式暗号の一種であり、文字の位置を入れ替えることによって解読できるようになっている。一文字以上の『ブロック』を、二段以上の『レール』にジグザグに分割し、最後に結合するだけの初歩的な暗号だ。ブロックが何文字でレールが何段なのかはヒントがなければ何通りも試すことになってしまうが、今回はその必要はない。
【ほおううくでかじまごょつ】
まず注目するのはたった一つだけ存在する捨て仮名――小書き文字の『ょ』だ。これをくっつけることができる文字は『じ』しか存在しない。よって一ブロック三レールか二ブロック二レールの二択になる。文字数が少ないため後者はないだろう。
この文字列を一ブロック三レールに分けると――
【ほうかご】
【おくじょ】
【うでまつ】
【ほうかごおくじょうでまつ】→【放課後屋上で待つ】
となるわけだ。
指定通り、偵秀は放課後に屋上へと赴いた。普段から解放されている屋上の扉に鍵はかかっておらず、人払いでもされているのか誰もいない。
「こんなネットで調べりゃすぐ解き方が出てくる簡単な暗号で俺を呼び出して、なんのつもりだ?」
偵秀を呼び出した人物以外は。
「須藤」
夕陽を背にして屋上のベンチに腰かけていた大柄な男子生徒は、偵秀の姿を認めるとのっそりとした動きで立ち上がった。
その唇は斜に構えた笑みになっている。
「ハッ、てめえらのくだらねえ推理対決とやらに面白味を与えてやろうかと思ったんだが、やっぱ名探偵様には簡単すぎたか? 差出人がオレだともわかってたみてえだしよ」
「あの過剰に力が入った字はお前しか知らないからな」
「他人の字の癖まで覚えてやがんのか。気持ち悪ぃな」
肩を竦める須藤信明を偵秀は睨む。
「それで、用があったのは俺だけなんだろう?」
「ああ、そうだ。決着をつけようと思ってな」
「なんのだ? お前がシスコンだってバラしちまった件か?」
「誰がシスコンだゴラァ!?」
不良然とかましていた須藤の余裕が一気に剥がれた。バツが悪そうに舌打ちする。
「チッ。決着ってのは、オレの気持ちに対してだ」
「悪い。俺は至ってノーマルだから」
「そういう話じゃねえよ!?」
告白される可能性を万に一つ考えていた偵秀は心の底から安堵した。もしそんなBL展開だったら回れ右して全力ダッシュだった。
「あー、くそっ! やっぱてめえは気に入らねえ。なにが『それは警察の役割だ』『俺は探偵で軍師じゃない』だ。一度関わっちまったんなら最後まで責任持ちやがれ! オレはそういう責任逃れに必死になってる腐った大人みてえな奴が大嫌いなんだよ!」
理解した。
つまり須藤は朝の続きがしたいということか。
「真っ当な意見だが、適材適所って言葉がある。俺は喧嘩がからっきしだって知ってるだろ」
「運動神経は別に悪くねえだろうが」
「そりゃスポーツは人並みにできる。ルールがあるからな」
喧嘩や犯人との取っ組み合いはルールなんて存在しない無秩序の世界だ。理屈で動き、手より頭で考えることを先にしてしまう偵秀には不向きな分野である。
「ルールがねえから喧嘩はできないって? ハン! 怖ぇだけだろうが! もしてめえ一人で殺人犯を相手にしないといけなくなったらどうするつもりだ? あぁ?」
「考えるさ。どうすれば生き延びられるか、考えて考えて考える。俺にはそれしかできないからな」
偵秀ならまずそういう状況にならないように手を回すだろう。
「……なるほど、よくわかったぜモヤシ野郎。そんな温いこと言ってられねえ状況を今作ってやる」
「待て、なにをする気だ!」
嫌な予感に一歩後じさって問いかける偵秀に、須藤は凶悪な笑みを貼りつけた。
「人の殴り方、教えてやんよ」
固く握った拳が飛んでくる。
「――ッ!?」
顔面を狙ってきたそれを紙一重でかわし、偵秀は屋上の入口へと走ろうとした。
が――
「逃げんな!」
「がっ!?」
襟首を掴まれて反対方向に投げ飛ばされた。床を転がる偵秀に須藤はポキポキと指を鳴らしながら歩み寄ってくる。
「てめえは頭はいいが馬鹿だな。ノコノコやって来やがって、学校じゃ暴力は振るえねえとでも思ってたか?」
須藤は意外と真人間なところもあるが、暴力沙汰の噂を聞いたことがないわけではない。別の高校の不良と揉めて五人ほど病院送りにしたという話もある。
他に誰もいない屋上で、無策で顔を合わせるほど偵秀はマヌケではない。
「やめとけ。もうすぐ教師が見回りに来る。見つかったら停学になるぞ」
生徒に解放されている屋上だが、放課後は別だ。時間になれば教師が施錠をしにやってくる。念のためそのタイミングに合わせて偵秀は屋上に乗り込んだのだが、正解だったようだ。
「本当に来ると思うか? 鍵はここにあるんだぜ?」
「なっ!?」
「今頃は職員室中を探し回ってんじゃねえか?」
まさか須藤が職員室から鍵を盗んでいたとは思わなかった。
いつ? そういえば五時間目は授業をサボっていた。須藤は苦手な英語の授業をよくサボるので気にしてなかったが、その時に隙をついて忍び込んだのかもしれない。
軽く蹴飛ばされる。
「どうした? 考えるんじゃなかったのか? 俺が殺人犯だったらてめえはもうとっくに死んでんぞ?」
痛い。
思考が鈍る。
これだから暴力は苦手だ。偵秀がいくら抵抗したところで須藤には勝てない。それだけはハッキリしている状況をどうすれば打破できる?
カチャリ、と。
いつの間にか落としていたスマートフォンに指があたった。
助けを呼ぶ? 誰に? 生憎と、不良に絡まれているから助けてくれと電話して駆けつけてくれるような勇者は友人にいない。
だったら――
「あ? 電話? 誰だこんな時に」
須藤が自分のスマートフォンを取り出して画面を見る。その隙に偵秀は跳ね起き、須藤に向かってタックルをかました。
「おらぁあああああああああッ!!」
「おおっ?」
不意を突かれた須藤は背中から転倒した。同じく勢い余って倒れた偵秀だが、先に起き上がってよろめきながら出口に向かう。
「ハッハ! やりゃできんじゃねえか! 小細工しやがったのは気に入らねえがな!」
もう偵秀から須藤に電話をかける手は使えない。偵秀も運動音痴ではないが、口で言った通り平均程度だ。身体能力が遥かに上の須藤にはあっという間に捕まってしまった。
また出口とは反対方向に放り投げられた。須藤も床を蹴って物凄いスピードで迫る。その巨体が繰り出す突撃は、まるでブルドーザーが突進してくるような威圧感があった。
「くっそ、こいつマジだ!?」
偵秀は転がって須藤の踏みつけを回避した。
楽しそうに須藤は嗤っている。屋上は寂寞として武器になりそうなものはなにもない。あったとしても偵秀が日本刀を持とうが須藤には勝てない。
「誰か!? 誰かいないのか!?」
「情けねえなぁ、名探偵。誰も助けになんて来ねえよ」
「そんなことはありません!」
声は屋上の出口から響いた。
「ああ?」
そこには夕陽を浴びて輝くゴールデンブロンドを屋上風に靡かせた小柄な少女が立っていた。
「シャーロット……ホームズ……?」
「事情はよくわかりませんが、これ以上はただの弱い者イジメです!」
眉を吊り上げて須藤を睨むシャーロットが偵秀を庇うように割って入った。
「お前、なんで?」
「暗号を解いたんです」
「……よく解けたな」
「ミレイさんがインターネットで調べてくれました」
「ああ、そういう」
見ると、屋上の扉から美玲がハラハラした様子でこちらを覗いていた。
「どけ、チビ」
「どきません!」
シャーロットは須藤の威圧感に怯えることなく気丈に睨め上げた。なんという胆力だ。
「いや、逃げろよ。お前がどうにかできる相手じゃないだろ」
「逃げません!」
「聞いたか杜家? 腰抜けのてめえみたいな奴なんかよりオレはこういう奴の方が好きだぜ」
須藤はついにロリコンまで拗らせたようだ。冗談だが、口にするとブチ切れるだろうからやめておく。
「まあ、流石のオレもチビの女を殴る気はねえ。この辺で終いにして――」
フワッと。
須藤の巨体が浮き上がった。
「は?」
いや、違う。
シャーロットが須藤の腕を両手で掴み、一本背負いの要領で投げ飛ばしたのだ。
「てやぁああああああああああああッ!!」
「ごぶぅうッ!?」
須藤の体は地面に叩きつけられるのではなく、何メートルも水平に飛んで落下防止用のフェンスに激突した。へしゃげたフェンスから須藤がずり落ちる。意味がわからないといった顔で呆然としていた。
偵秀も目の前で起こった現象が理解できない。
人が、飛んだのだ。
「え? なに、それ?」
「バリツです。日本の柔道をベースにして、世界中のあらゆる武術を取り入れて改良したホームズ家伝統の格闘術ですよ」
むふんと鼻息を鳴らして平坦な胸を張るシャーロット。バリツはシャーロック・ホームズの小説にも出てきた武術だが、まだそっちの方が現実味はあったと記憶している。
事実は小説より奇なりというが、これは少々現実離れしすぎだと偵秀は思う。
だが、今起こったことは紛れもない現実だ。
「こいつ、頭はポンコツなのに……」
偵秀はやたらと自信に溢れている小さな姿を視界に映して、戦慄する。
「もしかして、めちゃくちゃ強い?」
転置式暗号の一種であり、文字の位置を入れ替えることによって解読できるようになっている。一文字以上の『ブロック』を、二段以上の『レール』にジグザグに分割し、最後に結合するだけの初歩的な暗号だ。ブロックが何文字でレールが何段なのかはヒントがなければ何通りも試すことになってしまうが、今回はその必要はない。
【ほおううくでかじまごょつ】
まず注目するのはたった一つだけ存在する捨て仮名――小書き文字の『ょ』だ。これをくっつけることができる文字は『じ』しか存在しない。よって一ブロック三レールか二ブロック二レールの二択になる。文字数が少ないため後者はないだろう。
この文字列を一ブロック三レールに分けると――
【ほうかご】
【おくじょ】
【うでまつ】
【ほうかごおくじょうでまつ】→【放課後屋上で待つ】
となるわけだ。
指定通り、偵秀は放課後に屋上へと赴いた。普段から解放されている屋上の扉に鍵はかかっておらず、人払いでもされているのか誰もいない。
「こんなネットで調べりゃすぐ解き方が出てくる簡単な暗号で俺を呼び出して、なんのつもりだ?」
偵秀を呼び出した人物以外は。
「須藤」
夕陽を背にして屋上のベンチに腰かけていた大柄な男子生徒は、偵秀の姿を認めるとのっそりとした動きで立ち上がった。
その唇は斜に構えた笑みになっている。
「ハッ、てめえらのくだらねえ推理対決とやらに面白味を与えてやろうかと思ったんだが、やっぱ名探偵様には簡単すぎたか? 差出人がオレだともわかってたみてえだしよ」
「あの過剰に力が入った字はお前しか知らないからな」
「他人の字の癖まで覚えてやがんのか。気持ち悪ぃな」
肩を竦める須藤信明を偵秀は睨む。
「それで、用があったのは俺だけなんだろう?」
「ああ、そうだ。決着をつけようと思ってな」
「なんのだ? お前がシスコンだってバラしちまった件か?」
「誰がシスコンだゴラァ!?」
不良然とかましていた須藤の余裕が一気に剥がれた。バツが悪そうに舌打ちする。
「チッ。決着ってのは、オレの気持ちに対してだ」
「悪い。俺は至ってノーマルだから」
「そういう話じゃねえよ!?」
告白される可能性を万に一つ考えていた偵秀は心の底から安堵した。もしそんなBL展開だったら回れ右して全力ダッシュだった。
「あー、くそっ! やっぱてめえは気に入らねえ。なにが『それは警察の役割だ』『俺は探偵で軍師じゃない』だ。一度関わっちまったんなら最後まで責任持ちやがれ! オレはそういう責任逃れに必死になってる腐った大人みてえな奴が大嫌いなんだよ!」
理解した。
つまり須藤は朝の続きがしたいということか。
「真っ当な意見だが、適材適所って言葉がある。俺は喧嘩がからっきしだって知ってるだろ」
「運動神経は別に悪くねえだろうが」
「そりゃスポーツは人並みにできる。ルールがあるからな」
喧嘩や犯人との取っ組み合いはルールなんて存在しない無秩序の世界だ。理屈で動き、手より頭で考えることを先にしてしまう偵秀には不向きな分野である。
「ルールがねえから喧嘩はできないって? ハン! 怖ぇだけだろうが! もしてめえ一人で殺人犯を相手にしないといけなくなったらどうするつもりだ? あぁ?」
「考えるさ。どうすれば生き延びられるか、考えて考えて考える。俺にはそれしかできないからな」
偵秀ならまずそういう状況にならないように手を回すだろう。
「……なるほど、よくわかったぜモヤシ野郎。そんな温いこと言ってられねえ状況を今作ってやる」
「待て、なにをする気だ!」
嫌な予感に一歩後じさって問いかける偵秀に、須藤は凶悪な笑みを貼りつけた。
「人の殴り方、教えてやんよ」
固く握った拳が飛んでくる。
「――ッ!?」
顔面を狙ってきたそれを紙一重でかわし、偵秀は屋上の入口へと走ろうとした。
が――
「逃げんな!」
「がっ!?」
襟首を掴まれて反対方向に投げ飛ばされた。床を転がる偵秀に須藤はポキポキと指を鳴らしながら歩み寄ってくる。
「てめえは頭はいいが馬鹿だな。ノコノコやって来やがって、学校じゃ暴力は振るえねえとでも思ってたか?」
須藤は意外と真人間なところもあるが、暴力沙汰の噂を聞いたことがないわけではない。別の高校の不良と揉めて五人ほど病院送りにしたという話もある。
他に誰もいない屋上で、無策で顔を合わせるほど偵秀はマヌケではない。
「やめとけ。もうすぐ教師が見回りに来る。見つかったら停学になるぞ」
生徒に解放されている屋上だが、放課後は別だ。時間になれば教師が施錠をしにやってくる。念のためそのタイミングに合わせて偵秀は屋上に乗り込んだのだが、正解だったようだ。
「本当に来ると思うか? 鍵はここにあるんだぜ?」
「なっ!?」
「今頃は職員室中を探し回ってんじゃねえか?」
まさか須藤が職員室から鍵を盗んでいたとは思わなかった。
いつ? そういえば五時間目は授業をサボっていた。須藤は苦手な英語の授業をよくサボるので気にしてなかったが、その時に隙をついて忍び込んだのかもしれない。
軽く蹴飛ばされる。
「どうした? 考えるんじゃなかったのか? 俺が殺人犯だったらてめえはもうとっくに死んでんぞ?」
痛い。
思考が鈍る。
これだから暴力は苦手だ。偵秀がいくら抵抗したところで須藤には勝てない。それだけはハッキリしている状況をどうすれば打破できる?
カチャリ、と。
いつの間にか落としていたスマートフォンに指があたった。
助けを呼ぶ? 誰に? 生憎と、不良に絡まれているから助けてくれと電話して駆けつけてくれるような勇者は友人にいない。
だったら――
「あ? 電話? 誰だこんな時に」
須藤が自分のスマートフォンを取り出して画面を見る。その隙に偵秀は跳ね起き、須藤に向かってタックルをかました。
「おらぁあああああああああッ!!」
「おおっ?」
不意を突かれた須藤は背中から転倒した。同じく勢い余って倒れた偵秀だが、先に起き上がってよろめきながら出口に向かう。
「ハッハ! やりゃできんじゃねえか! 小細工しやがったのは気に入らねえがな!」
もう偵秀から須藤に電話をかける手は使えない。偵秀も運動音痴ではないが、口で言った通り平均程度だ。身体能力が遥かに上の須藤にはあっという間に捕まってしまった。
また出口とは反対方向に放り投げられた。須藤も床を蹴って物凄いスピードで迫る。その巨体が繰り出す突撃は、まるでブルドーザーが突進してくるような威圧感があった。
「くっそ、こいつマジだ!?」
偵秀は転がって須藤の踏みつけを回避した。
楽しそうに須藤は嗤っている。屋上は寂寞として武器になりそうなものはなにもない。あったとしても偵秀が日本刀を持とうが須藤には勝てない。
「誰か!? 誰かいないのか!?」
「情けねえなぁ、名探偵。誰も助けになんて来ねえよ」
「そんなことはありません!」
声は屋上の出口から響いた。
「ああ?」
そこには夕陽を浴びて輝くゴールデンブロンドを屋上風に靡かせた小柄な少女が立っていた。
「シャーロット……ホームズ……?」
「事情はよくわかりませんが、これ以上はただの弱い者イジメです!」
眉を吊り上げて須藤を睨むシャーロットが偵秀を庇うように割って入った。
「お前、なんで?」
「暗号を解いたんです」
「……よく解けたな」
「ミレイさんがインターネットで調べてくれました」
「ああ、そういう」
見ると、屋上の扉から美玲がハラハラした様子でこちらを覗いていた。
「どけ、チビ」
「どきません!」
シャーロットは須藤の威圧感に怯えることなく気丈に睨め上げた。なんという胆力だ。
「いや、逃げろよ。お前がどうにかできる相手じゃないだろ」
「逃げません!」
「聞いたか杜家? 腰抜けのてめえみたいな奴なんかよりオレはこういう奴の方が好きだぜ」
須藤はついにロリコンまで拗らせたようだ。冗談だが、口にするとブチ切れるだろうからやめておく。
「まあ、流石のオレもチビの女を殴る気はねえ。この辺で終いにして――」
フワッと。
須藤の巨体が浮き上がった。
「は?」
いや、違う。
シャーロットが須藤の腕を両手で掴み、一本背負いの要領で投げ飛ばしたのだ。
「てやぁああああああああああああッ!!」
「ごぶぅうッ!?」
須藤の体は地面に叩きつけられるのではなく、何メートルも水平に飛んで落下防止用のフェンスに激突した。へしゃげたフェンスから須藤がずり落ちる。意味がわからないといった顔で呆然としていた。
偵秀も目の前で起こった現象が理解できない。
人が、飛んだのだ。
「え? なに、それ?」
「バリツです。日本の柔道をベースにして、世界中のあらゆる武術を取り入れて改良したホームズ家伝統の格闘術ですよ」
むふんと鼻息を鳴らして平坦な胸を張るシャーロット。バリツはシャーロック・ホームズの小説にも出てきた武術だが、まだそっちの方が現実味はあったと記憶している。
事実は小説より奇なりというが、これは少々現実離れしすぎだと偵秀は思う。
だが、今起こったことは紛れもない現実だ。
「こいつ、頭はポンコツなのに……」
偵秀はやたらと自信に溢れている小さな姿を視界に映して、戦慄する。
「もしかして、めちゃくちゃ強い?」
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